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ぴざぶどう。
393
りぴー
23
「ほくと」(𝓡𝓲𝓷)『ジェシー』(友達)「じゅり』(友達)
「お、北斗。おはよ』
ジェシーとの待ち合わせ場所に向かって歩いていると、後ろから聞き馴染みのある軽い声が降ってきた。
振り返ると、同じクラスの田中樹が眠そうに目をこすりながら歩いてきている。
樹はそのまま僕の肩にガシッと腕を回し、気怠そうに体重をあずけてきた。
「ちょっと、急に組んでくるなよ。重いんだけど」
僕がぐっと足を踏ん張り、全体重をかけて樹の腕を押し戻そうとした。
ーーが、目の前の樹はびくともしない。
すると、樹は僕の必死な抵抗に気づいたのか、ニヤニヤしながら僕の顔を覗き込んできた。
「え、何その可愛い抵抗(笑)もしかして、照れ隠しでハグしようとしてくれた感じー?』
「……ハグなわけねーだろ、気持ちわりぃ。いいからさっさと退けって」
己の非力さを直球で弄られ、静かにイラついている僕を気にも留めず、樹はさらに腕の力を強めて僕にすり寄ってきた。
「っていうか北斗、まじで腕細くね?ちゃんとメシ食ってる?折れちゃいそうなんだけど(笑)』
「食ってるわ。お前が重すぎるんだよ、何キロあんだよその無駄な筋肉」
「えー、俺ひょろひょろだし。あ、わかった。北斗が弱すぎるから、俺が重く感じるんだ?可哀想に、今日から俺がダンベル代わりに毎日こうやって鍛えてあげるねー』
「お前のそのあざとい喋り方まじでウザい。いいから早く離れろ、普通に歩きづらい」
「やだ。俺、今日ガチで寝坊して歩く体力残ってないから、北斗に運んでもらうって決めたもん』
「僕は乗り物じゃない。……っていうか、寝坊したならのんびり歩いてる場合じゃないだろ。走れよ」
「いーのいーの、1人で走るのダルいし。俺もジェシーが来るまで一緒に待っててあげるわー』
「いや、待っててあげるじゃなくて、お前が遅刻するだろ」
そこまで話したところで、待ち合わせ場所に立つジェシーの姿が見えた。
だけど、いつもと様子が違う。
いつもなら僕を見つけた瞬間に大きく手を振るはずのジェシーが、スマホを握りしめてソワソワと辺りを見回しているのだ。
結局、樹の腕を退かせないまま、僕は彼を引きずるようにして待ち合わせ場所にたどり着いた。
「よお、ジェシー。何してんの?』
樹が声をかけると、ジェシーはビクッと肩を跳ね上げて僕たちを見た。
『あ、樹!北斗も!遅いよ~!』
「遅くないよ、いつもと同じ時間。……っていうか、何その格好。なんか気合入ってない?」
ジェシーは心なしか、制服のシャツの襟元がいつもより整っているし、髪の毛も心なしかセットされている気がする。
『フフン、実はね……今日から登校ルートを変えます!』
「は?なんで?いつもの裏道の方が学校近いじゃん』
樹が不思議そうに首を傾げると、ジェシーはニヤニヤしながら僕の肩に腕を回してきた。
『あのね、優吾が毎日通るルートを突き止めたの!ほら、あっちの、みんなが通る大きい安全ルート!』
「……出たよ」
僕は思わずおでこを押さえた。
優吾先輩に会いたいがために、わざわざ遠回りになる大通りのルートで行くと言い出したのだ。
「え、優吾ってあの3年の先輩?お前、マジで一途だな。っていうかルートまで調べてんのウケるわ』
樹は呆れるどころか、面白そうにケラケラと笑っている。
『ストーカーじゃないよ!?偶然を装って『あ、優吾おはよ!』って言いたいだけ!』
「十分計画的だけどね……。まぁ、いいよ。付き合うからそのルートで行こう」
『やった!さすが北斗、大好き!』
「調子いい奴。お前には優吾先輩がいるだろ」
『いるけど?でも北斗は「俺の最高な友達」だから大好きで正解じゃん!』
「俺は!?俺のポジションどこ!?』
こうして、僕とジェシー、そして急遽加わった樹の3人で、いつもとは違う賑やかな安全ルートを歩き始めた。
通学路は、他の生徒たちでかなり混み合っている。
ジェシーの視線は、すでに前方を歩く3年生の背中たちへと注がれ、今か今かとその姿を探していた。
コメント
3件
北斗くん、樹くん、ジェシーちゃんの3人の掛け合いが、もう本当に青春そのもので胸がほっこりしました☺️ 樹くんのあざとい絡み方と北斗くんのツッコミのリズムが絶妙で、つい笑顔になっちゃいますね。そしてジェシーちゃんの恋する行動力、可愛すぎます! 優吾先輩に偶然を装って会いたい一心でルート変更、しかもそれを「大好き!」って言いながら友達を巻き込む感じ、最高に尊いです。3人の関係性が丁寧に描かれていて、読んでいてとても温かい気持ちになりました。次も楽しみにしています🌷