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言葉が分かるようになって、改めて本を見直す。
【魔法とは、魔力と言霊を用いて起こる奇跡である】
魔力は分かる。だが言霊? 詠唱のことだろう。
生憎まだ話せないが、予行練習で頭のなかで読み上げる。
偉大なる風の精霊シルフよ、汝の力を我に貸したもう、【ウィンド】
魔法の名前を頭の中で読み上げたとたん、掌から冷たい風が柔く吹く。言葉に出さなくても、魔法が発動したのだ。喜ぶのもつかの間、視界が歪んで気を失う。
次に目を覚ましたのは、空が闇におおわれた後だった。少しの目眩と頭痛に、曇り声を吐く。それに気づいた母親と父親があなたを抱き上げて胸に引き寄せる
「あぁ、タカト…私の子…良かった…ごめんなさいダンテ、 私が目を離したせいで…」
「君のせいじゃないよクレア。良かった…タカト、おまえは強い子だな…」
そうか、スキルのお陰で言葉が分かるのか…
どうやら、寝かせていたはずの僕が床で気を失っていたことに相当憔悴のようだ。
泣いている2人を見ると、申し訳ない気持ちでいっぱいになる…僕は彼らの半身なのだ。思えばこちらに来てから自分の事ばかり考えていた。認識が甘い…そう言わざるを得ない。
翌日、流石に彼らの目の届くリビングにベビーベッドが移された。
父親の名前はダンテ。どうやら剣士のようだ。服の上からでも分かる筋骨隆々な肉体を持ち、今庭で木剣を振り回している。素人目でも分かる、一連の動きに無駄が殆ど無い。洗練された動きと言うのだろう。
母親の名前はクレア。魔法使いなのだろう。僕が一回使っただけで気絶した初級魔法をポンポン使っていた。 恐らく魔力は100以上あるだろう。僕のステータスに変わりは無いだろうか…
ステータス
名前:タカト・エルベール
レベル1
年齢:6ヶ月と25日
職業:赤子
称号:世界を渡った者
スキル:言語理解・無詠唱Lv1・苦痛耐性Lv1
体力:3
筋力:5
魔力:10
素早さ:1
防御力:1
幸運:10
驚いた。少しだが強くなっている。スキルも増えてるし、魔力も2倍になっている。何でかは分からないけど、考えられるのは魔力を枯渇させたことくらい。本を読んだだけで上がるわけ無いし、きっと前者であっているはずだ。今はあの本もないし、暫くは風の初級魔法を使って魔力を枯渇させよう。ベッドの上なら気絶していてもバレないかもしれない。
偉大なr… ヒュゥ~
【ウィンド】を使おうと、頭で風が吹くイメージをしたら、詠唱していないのに魔法が発動した。
新たなスキル【無詠唱】のお陰だろうか…魔法はイメージだと、ラノベを貸してくれた友達から聞いたことがあるが、本当に出来るとは…いちいち時間がかからないから便利だ。
そして、問題の二回目。僕は覚悟を決めて【ウィンド】を使う。
するとどうだろう。気絶することを覚悟していたのだがひどい目眩と頭痛だけで気絶は免れた。スキル【苦痛耐性】の効果だろうか。クレアさんに心配をかけないで済むのは嬉しいことだ。しかもスキルにもレベルがあるようだ。使えば使うほど上がるなら、魔力の増加と共に、スキルのレベルアップも出来るだろう。この調子でどんどん強くなってやる!
–つづく–