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一人のメイドの元へ革靴をトントンと鳴らして近づいて行く。
 メイドの目の前まで来た時、そのメイドの首元にナイフを突きつけた。
 「お前、誰だ?」
 俺が一言そう言い放つとメイドは驚いたように目を見開いた。
 「俺が下級メイドの顔や名前を覚えていないとでも?」
 ナイフをさらにメイドの首元に近づけて、自分でも分かるほどの冷々とした声で威圧しながら話す。
 「メイドに扮した暗殺者か、スパイか。まぁ、どちらにせよ、お前に待っているのは死のみだ」
 「衛兵!連れて行け」
 後の処理は衛兵に任せれば良い。今日の俺の昼食に毒が盛ってあった理由が分かったからそれだけでも収穫があったと言えよう。あのメイドを雇った者の目星は大体だが付いている。後は時間の問題だ。
 自身の主が居る限り不死身のドールを良く思っていない輩は居るものだ。これが国内の貴族だったり、スコットランド王国の者が俺が居なければイングランド様を殺せると思っている馬鹿だったり、まぁ、多種多様だが、今回は、自国の貴族だろうな。
 内々に処分をして、変わりの貴族を立てれば良い。とても簡単な事だ。
 もう一度、西華とフランス王国の為にメイドを選ぶ。
 「アン・テイラー、サラ・エバンス。二人に任せる」
 アン・テイラーは、面倒見も良く、仕事が早い。それに、他のメイドからは、どんな内気であっても彼女となら仲良くなれると言われている。フランス王国には適任だろう。
 サラ・エバンスは、仕事が早く、子育ての経験もある為、看病等も慣れている。他のメイドからは、「お母さん」と親しまれている。体調を崩している西華には適任だと思う。
 「以上。解散しろ」
 全てのメイドに聞こえるように声を出して、それぞれの仕事に戻らせた。
 次の日。又、様子見の為に仕事終わりに西華の部屋へ足を運んだ。
 「サラ、様子はどうだ?」
 「お昼ご飯は完食できるようには成ったみたいですね。ドールの方って、体調を崩すと大変なんですね。英厳様もそうなのであれば、少しはお仕事をお休みになられた方が良いですよ」
 サラに話させると長くなるのを忘れていた。だが、彼女の話は有意義な時もある。この屋敷内の噂、国内の噂、メイドの様子だったり、本当に様々なことを話すから、ある程度の情報収集には役立つ。
 「あ!もう時間ですか、では、英厳様、私は失礼させて頂きます」
 綺麗に礼をしてサラは立ち去って行った。今日のサラの話は、自身の旦那自慢だった。サラの旦那は、俺の近衛兵をしている。この二人はおしどり夫婦だ。休憩時間はサラの旦那も俺に妻自慢をしてくる。
 部屋に入って西華に話しかける。