テラーノベル
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部屋に入って西華に話しかける。
「散歩でもどうだ?いくら体調を崩しているとは言え、ずっと室内だと息苦しいだろう」
西華は眉間にシワを寄せ、「は?」と声を漏らした。
「逃げるとか思わないんですか?」
西華のその質問は当たり前だろう。だが、俺は体調を崩しているドールに負けるほど弱くない。何より、こいつが走って逃げようが簡単に捕まえられる。
「逃げようが捕まえるだけだ」
俺はその一言だけを発し、西華と共にこの屋敷の庭に出向いた。
庭には休憩時間のメイドや執事、衛兵が居たが、俺が来た事に大きな反応はしない。反応するのはここを知らない者と、新人だけだ。
だが今日は、サラとアンが何やら楽しそうに話しているのを多くの使用人が聞いている。二人の話しに耳を傾けると、どうやらおとぎ話をしているようだ。相変わらず皆仲が良くて結構な事だ。
「変な所ですね」
ポツリと西華は呟いた。まぁ、初めてこの光景を見るのであれば当たり前だろう。
そんなこんなで過ごしていると、この二人の約百年にもなる戦争は我が国の敗戦で終了した。勿論、捕虜として捕まえていたフランス王国と西華は返した。
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