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「撫でるのが、板についてきたな。調教師に向いてるんじゃないか? 主」
「いや、調教してるつもりねえんだけど……てか、お前だって躾けられてるつもりないだろ」
「ないな」
「速答やめろよ。かわいげないなあ。あと、その姿で足組むなよ? 短い足を必死に組もうとしてるのはかわいいんだけどな? ちょっと、なんか違うんだよ」
「別にいいだろ。元が人間なのだから」
そう言いながら、ゼロはのびーと体を伸ばしてから、左右に体をゆすった。
あの後、ポメになったゼロを抱えて帰ってすぐに俺の部屋に入った。別に、ゼロがポメになることを公爵邸で働いている人間はみんな知っている。問題なのは、ツェーンにつかまって弄られることだった。すでに、精神的疲労が蓄積されたゼロに、天敵となるツェーンを鉢合わせてしまうのはかわいそうだと思ったのだ。だから、そそくさと部屋に入って癒して元の姿に戻ってもらおうという作戦だった。
俺のベッドの上で何回か旋回した後、もう一度ゼロは俺の膝の上に乗って、なでろと要求してきた。その要求にこたえつつ、俺は先ほどのことを懺悔するように目を細める。
「ごめんな、ゼロ」
「だから、何を謝っている。主は、ふんぞり返って笑っているほうがお似合いだろ」
「いや、だから俺そんなタイプだっけ?」
外から見た俺の印象って最悪だな、なんて思いながらも、まあ元が悪役だからとどうにか自分を納得させて気のない返事をする。
ゼロはうじうじしている俺の態度が気に食わないらしくちょっと唸っていたが、噛みつくこともひっかくこともなかった。
「……さっきのこと。俺、お前のこと何にも知らないのにでしゃばって。守るって言って、あんな方法しか思いつかなかった。お前の印象悪くしたかも。ごめん、って、それにごめんってこと」
「別に、初めから印象は俺だって最悪だ。今さらどうだっていい。俺は、そんな人目を気にする人間じゃない」
「いや、でも、俺、お前にキス……! 嫌だろ。嫌いな俺にキスなんてされて。お前は、合わせてくれたけどさ、すっげえ、罪悪感というか。ゼロ、あれ、ファーストキスとかじゃなかった? 女の子がいいよな。ファーストキス!」
「主、熱量がすごいな。そんなにファーストキスにこだわりがあるのか。それこそ、主は」
「俺はファーストキスだったよ!」
なんでこっちが暴露する羽目になったのか。勝手にこっちがいっただけだといわれればそれまでなのだが、俺がそういうとゼロは「そうか」といった後に「同じだな」とポメラニアンの姿で笑った。どこに笑う要素があったかはわからないが、そんなふうにへにゃっとした笑みを見せたかと思うと、白い煙を立てて人間体に戻ったのだった。
「おお、戻った。よかったじゃん……じゃ、ないのか」
「主、気にしていないからな。俺は。俺のために行動してくれたんだ。有言実行、約束を守ってくれているんだろ?」
と、ゼロは、髪をかきあげた後そういった。
そのしぐさがいちいちかっこよかったのだが、人間に戻ったということはそういうことで、俺はズボンの下ではちきれそうになっているゼロの息子に目が行ってしまった。ポメラニアンから人間に戻る際に、服を着ることができる魔法をかけたのは正解だったのだが、如何せん、こう見るとはち切れそうなのもかわいそうではあると思った。
俺は、ゼロをちらりと見て、やるか? と目で合図を送る。ゼロは無言でベルトを外し、俺に反り上がった己の剛直を見せつけた。
「もう、作業だな。これ」
こいつのこれを握るのも慣れてきた。もちろん、やらなくていいのであれば、率先してやりたくはないのだが。俺がゼロの息子を扱いている最中、ゼロは「あ、ああ」と声を漏らしながら、俺の服の裾をぎゅっとつかんでいた。
「主は、ああいったが……俺は、結構、あの言葉嬉しかったぞ」
「あの言葉って何?」
「替えがいる存在じゃない……って言葉、と他もいろいろ。主が、あんなこと言ってくれると思わなかった」
クッ、と気持ちよさそうに顔を歪めるゼロ。きっと、先ほどの伯爵夫人との話のことを言っているのだろうが、俺は早くこいつをイカせなければと思って、手を早めていた。
業務作業というか、もう当たり前になっているが、それでも最中にこんなに話しかけてくることは今までなかったようにも思う。だからこそ、耳を傾けてやりたいのだが、それでも俺はゼロのことを全部知っているわけでもないのにあんな発言を。キスも気にしていないし、むしろいろいろと感謝してる、そういわれてどう受け取っていいものか俺は考えてしまった。
素直に受け止めればいいのに、こいつにしてきたことは、夫人とやってきたことが一緒だったから。こいつが許せても、俺が許せない。
「主……っ! いい」
「何が。もうちょっとでイケそうだろ? だったら出しとけよ。一回でも、二回でもつきやってやるから」
「……そうじゃない。クソ。俺は、アンタのそういうところが嫌いだ」
そういったかと思うと、ゼロは俺の手を止めた。イキそうだったくせにと、ドクンドクンと脈打っているゼロのチンコを見る。
寸止めが今日の希望か? と思っていれば、ゼロは、もう片方の手で俺の股間をもみしだきはじめた。
「ばっ!? な、なにやってんだよ!」
「俺ばかり不公平だ……いや、アンタにも気持ちよくなってほしい。アンタ、最近抜いてないだろ?」
「は、はあ!? なんで、お前が把握……しま、じゃなくて。別に、いいだろ。お前の手がなくったって、俺はイケるんだよ!」
ごつごつと骨ばったかわいげもない手のくせに、妙に嫌らしい手つきで股間を撫でまわすので、俺の息子はすぐに反応を示してしまった。
ゼロはなぜか嬉しそうに笑みを浮かべて、ズボンの上から撫でるのをやめない。このままでは、パンツの中で暴発してしまう。
「やめろ、よ」
「日頃のお礼だ。俺は、今、主に奉仕したい気分だ」
「いや、いいから! 奉仕とか! うう……ああ、もう! きも、ちいから! さわんな、てっ……イキそ、だから」
なんで俺がゼロに撫でられてイキそうになっているんだろうか。確かに最近抜いていなかったが、ゼロの手で。屈辱だな、なんてもおもったが、そもそも、ゼロも日々そんな屈辱を味わっているのでお互い様かと、俺はあきらめることにした。
だが、さすがにパンツは脱がせてほしいので、俺はゼロの広い肩幅にもたれかかりながらとぎれとぎれに命令する。
「なら、脱がせろ……このままじゃ、やだぞ」
「御意」
ゼロは俺のズボンのボタンを外し、チャックを下ろしていく。その間も、俺の息子は元気で、パンツに染みができていた。恥ずかしいことこの上ないが、それも剥ぎ取られれば、さらに羞恥心が増していく。人にされたことなんてないからか、それともゼロの間でチンコを見せることが恥ずかしいのか。もう何が恥ずかしいのかわからない。同じ男で、別に大きさに対して肩を落とすか落とさないかとかそういう問題ならわかるのに。
(クソ、そんな、まじまじと見んなよ……)
視姦されているようで、その間もピクンピクンと下半身が動いてしまう。プルプルとチンコが震えて、たらたらと先走りが糸を引いている。前世ではこんなんじゃなかった。ということは、やはりこの世界がBL小説の世界だからか……なんて、分析しつつ、触るぞ、と耳元で息を吹きかけられるようにして言われたので、それだけで少しだけ達してしまった。幸いにも、バレていなかったが、余計に意識して、身体が硬直した。
反応するなと自分の身体に命令を出しても、触ってほしいと差し出すように腰が動いてしまう。意味が分からない。それでも、優しく振れたゼロの手がちょっと冷たくて、俺はブルリと震えてしまった。
「ン、あ……」
自分でも耳を塞ぎたくなるような甘ったるい声が出るが、ゼロは特に顔色を変えることもなく俺の竿を上下に扱き始める。いつもだったら、もう少し長いと思うのに今日はやたらと刺激を感じてしまって仕方がない。
「う、ああ……ん、っは」
「主……気持ちいいか?」
「しら、ね……」
「一緒にしごいてもいいか?」
「……んん!? お前、今日よくしゃべるな!? お前のは俺がしごかないとイケねえんだからな! ああ、もう、こう、やだけど、やるぞ」
やはり、やられっぱなしは性に合わないので、俺はゼロの動きをいったん止めて、向き合うように座った。それでも、座高が合わないので、俺はゼロの膝の上に乗って、己のチンコをゼロの剛直に摺り寄せる。絵ずらが最悪だがこの体勢じゃないと、二人分しごけないのだ。
ゼロは、俺の手に重ねるように包み込み、ちらりと俺を見た。欲情した、熱のこもったターコイズブルーの瞳が俺を射抜く。それだけでも、呼吸を忘れて、こいつに犯されたいっていう、これまでになかった衝動が内側から湧いてくるのだ。
(犯されたいってなんだよ。俺は、俺はそんなんじゃねえっての……)
なるべくしてなった快楽の奴隷。モブ姦の似合う悪役受け。最悪な単語がよぎっては消えていくが、この身体はきっとそういうようにできている。男を求めてしまうのではないかと。
「ゼロ、早く終わらせるぞ」
「だから、業務的に思わなくていい。主。気持ちよくなることに専念してくれ」
「だから、何で……んあっ!? は、おま、え」
「先っぽが弱いのか主は。了解した」
「いや、了解しなくていいから。おま、待って、そんなしごきながら、先っぽ……んぐっ!?」
急に、先端を重点的に攻められ俺の腰も声も甘く蕩ける。ほとんどゼロにすがりつくように、俺は手を当てていることしかできなかった。自分でするよりも何倍も気持ちいいのだから。俺はゼロの首筋に額を押し付けてなんとか耐える。
「あ、ああ……ゼロ、ダメ、いく……」
「主、俺のもちゃんとしごいてくれ。先に行くのはなしだ」
「いや、何で……!」
ゼロは俺の両手に己と俺のものをあてがい、俺は自分で手を動かさざるを得なくなった。それでも、指先に力が籠らなくて、やっぱり添えているだけだ。
さっきは俺が攻めていたはずなのに、立場が逆転している。主導権を握られてしまっているのに、それがなぜかたまらなく心地いい。頭がおかしくなっている。快楽だけを追い求めて、いや、そうじゃなくて……
(こいつ、顔……なんつー)
俺のこと嫌いなんじゃないのか? そう、言いかけたのに、口から出たのは俺がかつてゼロに言わせた言葉だった。
「ゼロ、い、いく、イッ!」
「……クッ」
申告なんてしなくてもいいのに、イクことを宣言しなくてはと思って口にする。言ってからじゃないと、イッてはいけないきがして。
そして、申告したと同時に、俺のだけではなくゼロもつられるように射精した。仰ぐ際臭いが広がり、手のひらには熱い飛沫が飛び散った。ゼロの肩で息をしながら、俺は、くたりと額をこすりつける。脱力感から動けず、俺はゼロの膝の上で意識を飛ばしてしまったのだった。