魔法界のドタバタファンタジー

女の子「はぁ…はぁ…」

勇者「ちょっ…ちょっと！まって…はぁ…走らないでっ！…ふぅ…疲れる…」

女の子「はぁ…はぁ…」

勇者「ねぇどうしたの？なんで急に走ったりするの？」

女の子「はぁ……あはは…ははは、あはははは！」

勇者「ど、どうしたの…急に笑って…こんな丘まで走ってさ…」

女の子「ついに…ついに！魔法界に住む魔王の持つ賢者の石を…全部集めた！」

勇者「はぁ…はぁ……うん！そうだね！やっと集まった！」

女の子「さぁ早く！その賢者の石を僕に渡して！」

勇者「うん！これで僕は強くなれるんだね！楽しみだよ！」

女の子「そうだね！ほら早く出して出して！」

勇者「分かった今出すから待って！はい、どうぞ！これで僕を強くして…！」

岩じい「まて！その賢者の石を渡すんじゃない！！」

勇者「え、岩じい…？なんでここに…」

女の子「ﾁｯ…」

岩じい「早くしまうんじゃ！お前さんは騙されとる！！」

勇者「騙され…誰に…？………うわぁ！？」

女の子「キャハハハハ！！もう遅いよ、今更気づいたってさ！」

勇者「え…か、かえして！」

女の子「まだ分かんないの？本当に君は……バカなんだね！僕の手のひらで泳がされてさ！！」

勇者「何言ってるの！？……訳が分からないよ！」

女の子「まだ分からない…？仕方ないなぁ…ならこれを見たらわかるかな？僕の本当の姿を………」

勇者「君は…」

ケン「まぁ今更分かっても遅いけどね、僕の言ったこと忘れた？僕は何にでも変身できる…最初の君と出会ったあの日、僕は海に潜った時も変身した…その時言ったよね？僕は何にでも変身できる！ってさ…それで気づくべきだったね！僕があの姿になれて、人間にはなれない訳ないよね？」

勇者「ケン…なんで…」

ケン「出来すぎてると思わなかった？君が困るたびに、僕かピンか銀河かポラリスが助けに来た…みんな僕の仲間だったんだよ！君を利用するために僕が支持したんだ助けてやれってね」

勇者「……」

ケン「最初は魔法界の城を見つけてくれるだけで良かったんだけど…まさか賢者の石まで集めてくれるなんてね！ これで僕達の計画がついに達成できる！キャハハハハ！！」

勇者「ケン…」

岩じい「クッ…遅かったか…坊やは早くわしの後ろに隠れなさい！」

勇者「え…でも…賢者の石が…」

岩じい「ええい焦ったい！良いから来んかい！あやつの手に渡ってしまったが最後返してくれるわけあるか！」

勇者「わ！そんなに引っ張らないで」

岩じい「わしが良いと言うまで顔を出すでないぞ！わしの体の下に隠れとれ…！とんでもない爆風が来るぞ！」

ケン「これが賢者の石の力だ！しっかり目に焼き付けててね！勇者君！！」

ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

勇者「岩じいのおかげで風は来ないけど…すごい音だ…岩じいは大丈夫…？」

岩じい「安心せい…わしは岩の魔王…風なんぞには飛ばされん！」

勇者「うん…僕…知らなくて…ずっと…」

岩じい「過ぎたことじゃ…それに…あの時すぐ気づくべきじゃった…悪かったのぉ…」

勇者「なんで岩じいは気づいたの？」

岩じい「同じだったんじゃ…ケンの出す魔力と同じ力を感じてのぉ…嫌な予感がしたんじゃ…」

勇者「ケン…大丈夫かな…」

岩じい「こんな事になっても…あの子を心配するか…む、風が止んだようじゃ…まぁ止んだというより、さっきまでと同じになったといった感じか…もう出てきて良いぞ」

勇者「ありがとう、岩じい…僕…これからどうしたら良いんだろ…分かんなくなっちゃった…」

岩じい「…とりあえず…国王達を呼びに行こうか…そして…この事件が全て、ケンによって起こされていた事を伝えるんじゃ」

勇者「うん…ありがとう岩じい…行って来るよ…」

岩じい「頑張るんじゃよ…わしはここで待っておるからの…」