テラーノベル
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放課後になって、さっさと帰ろうと急いでクラスを出る。
廊下で、ころんさんとすれ違ったけど、気づかないふりをしようとしたら、
「あ!るぅとくん!!」
声をかけられて、仕方なく振り向く。
「ころんさん、」
僕が名前を呼ぶと、
「さん付けだと、距離感じるから、呼び捨てとか、あだ名とかで呼んでよ!」
そう言われてたじろいた。ころんさんを、ん〜
「ころちゃん?」
「めっちゃいいじゃん!!」
すぐに大賛成する、ころんさん?、ころちゃん。
「今日、一緒に帰ろうよ!」
そう言われると、断る理由もないし、僕がころちゃんを救うって決めたから、承諾する。
「いいですよ。」
ころちゃんと一緒に校門を出て、暫く歩く。
「ころちゃん家はどこなんですか?」
さっきからずっと帰り道が一緒になって、流石に気になった。
「僕ん家はこっちだよ!」
僕らが来た道と逆方向を指すころちゃん。
「反対方向じゃないですか!?」
「えへへ〜だって、るぅとくん家が気になっちゃって…」
悪びれる様子もなく言うころちゃん。
「僕の家は普通の家と変わりませんよ?」
「えぇ〜?るぅとくん家に行ってもいい?」
「まぁ、いいですけど、」
「やった〜!!」
僕の家に行くだけなのに喜んでるころちゃんがおかしくてつい、笑ってしまう。
「はははっw」
そういえば、久しぶりに笑った気がする。
笑うことが、こんなにも幸せな気分になれるなんて、知りもしなかった。
他にも、他愛もない会話をしながら、歩いていくと僕の家に着く。
ころちゃんを僕の部屋に案内する。
「すご〜い!!ギターがある!」
ギターが置いてあることにはしゃいでいるころちゃん。
「るぅとくんって、ギター弾けるの!?」
興味津々で聞いてくるころちゃんに苦笑しながら、
「弾けますよ?」
「弾いてよ!!」
ころちゃんに言われて、僕はギターを手に取る。
自分で作った曲を演奏する。
ころちゃんは、僕の奏でる音色に聞き入っている。
弾き終わると、ころちゃんが、涙を流していた。
「どうしたんですか!?」
「いや、なんか感動したのと同時に、自分の気持ちが爆発しちゃって…」
「僕、死んでたらさ。こんないい曲も包み込むように優しい音色も、全部聞けなかったんだなって思うと涙が出てきちゃって、」
ころちゃんは涙を拭きながら言う。
「ありがとね、あの時話しかけてくれて。」
僕に感謝を伝えてくるころちゃんに、少し申し訳なくなった。
「ころちゃん、帰ります?」
「うん、結構長く居座っちゃったし…」
「送っていきますよ、」
僕はころちゃんと一緒に家を出て、ころちゃんの家に向かう。
その間、しばらくは無言だったけど、ころちゃんがポツリと語りだした。
「僕が、死にたい理由はね。」
「生きることに疲れたからだけじゃないんだ。」
急な告白に、少し驚きつつも、ころちゃんの話に耳を傾ける。
「うちの親はね、僕が小さい頃から仕事人間で、滅多にいなかった。」
「毎日一人で生活していくうちに、人の、親の温もりをほしいと感じるようになった。」
「小さい頃に、一度だけ抱きしめてくれたことがあって。」
「思い出すたびに苦しくなって、気付けば孤独を感じるようになってた。」
「周りに人が居ても、親の優しさっていうものを感じなかったから。」
「でも、るぅとくんの音色を聞いて、すごく温かさを感じた。」
「親じゃなくても、こんなにも温かみを知ることが出来るんだなって。」
「僕、るぅとくんに出会えて、良かった。」
「ありがとう。」
僕の音楽で人を救えるなんて、思ってもなかった。
だからこそ、純粋な感謝を伝えられることに嬉しく思ってしまう。
僕は、この音楽を続けることが出来ないのにッ_。
ころちゃんを家に送って、自分の部屋に戻る。
もう一度、ギターの前に行って立ち止まる。
手で触れようとしたけど、すぐに引っ込める。
僕は残りの余生でころちゃんを楽しませる。
余計な夢を持ったら、行けない気がした。
そう思うと、やるせなくなって、授業中に書いた、歌詞をクシャクシャにして、ゴミ箱に放り投げる。
そのまま、ベットにダイブして、額に手を当てる。
「僕には、未来はないのに_。」
「ころちゃんがいると、変な希望を抱いちゃうな。」
そんなことを考えながら、いつの間にか深い眠りに着いた。
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