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もう一度、世界に音楽を

15 - 玲央とゼノの取引

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2025年04月27日

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玲央がゼノの科学王国に滞在するようになって数日が経った。


与えられたのは、科学施設の雑用と、時折行われる”テスト”。ゼノの助手たちがやる作業を観察し、最低限の知識を吸収することが求められた。


しかし、玲央は科学に関しては素人だ。


玲央(……こりゃキツいねぇ。)


ゼノの要求は高く、玲央が適当にごまかして乗り切るには限界があった。


とはいえ、ゼノはすぐに玲央を切り捨てるつもりはないようだった。何かしらの‪”‬可能性‪”‬ を感じ取っているのか、玲央に興味を持ち続けている。


そんなある日──


玲央はゼノの部屋に呼び出された。


ゼノ「君には科学の才能はないが、代わりに歌の才能があるようだ。」


玲央「おや、俺のライブを聴いたことが?」


ゼノ「ふっ、君が夜に口ずさんでいた歌を聞いた。それなりに美しい旋律だったよ。」


玲央は少し驚いた。まさかゼノが聞いていたとは。


玲央「ま、音楽は俺の武器みたいなもんだからねぇ。」


ゼノは指を組み、じっと玲央を見つめる。


ゼノ「取引をしよう。」


玲央は片眉を上げた。


玲央「取引?」


ゼノ「君がここで有益な存在であると証明できるなら、ある程度の自由を認めよう。」


玲央は少し考えた。


(自由をくれるってことは、俺がここで役立つ何かを見つければいいってことだよねぇ。)


玲央「なるほどねぇ。それで、俺に何をしろって?」


ゼノは微かに笑い、紙を数枚差し出した。そこには、何やら細かい計算式や設計図が書かれている。


ゼノ「これを解読してみろ。」


玲央「……科学のことは分からないんだけどねぇ。」


ゼノ「分からなくてもいい。直感でいいから、何か思うことがあれば言ってみたまえ。」


玲央は紙をじっと見つめた。そこに書かれている内容はさっぱり分からない。ただ、音楽をやってきた感覚で、パターンや流れを読むことには慣れている。


(この数字の並び……なんか、リズムがあるねぇ。)


玲央は紙を指でトントンと叩きながら言った。


玲央「これ、途中でパターンが変わってるよねぇ?最初は安定してるけど、途中から流れが速くなってる。」


ゼノは興味深そうに目を細めた。


ゼノ「ほう?」


玲央はさらに考える。


玲央「音楽で言うなら、最初はゆったりしたテンポで、途中からアップテンポになる感じ?」


ゼノは少し沈黙した後、口を開いた。


ゼノ「……君は面白い視点を持っているな。」


玲央「おや?褒められた?」


ゼノは微かに笑った。


ゼノ「どうやら、君は‪”‬リズム‪”‬ を読むことが得意らしい。」


玲央は肩をすくめる。


玲央「ま、歌と戦いはリズムが命だからねぇ。」


ゼノは静かに頷いた。


ゼノ「ならば、君にはある実験に協力してもらおう。」


玲央「実験?」


ゼノが手を叩くと、助手の一人が何かの機械を持ってきた。それはスピーカーのようなものだった。


ゼノ「音の振動を利用して、物質の性質を変える実験だ。君の‪”‬リズム感‪”‬が役に立つかもしれない。」


玲央は興味深そうに機械を見つめた。


玲央「……面白くなってきたねぇ。」


こうして、玲央はゼノの実験に協力することになったのだった

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