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130 - 第130話*坪井side② お前を好きになれたから*5

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2025年06月01日

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そうだ、いつも交差していた。


初めて真衣香に話しかけたのは、2年前の新人研修の初日だった。

隣の席に座った真衣香を一目見て可愛いと思った。

そこに、特に深みはなく。


(ただドンピシャで顔が好みだっただけってゆーか、そんな程度)


帰り際、声をかけた。

『一緒に帰らない?』と。

しかし真衣香は『ごめんなさい』とだけ短く答え、小さく頭を下げてきた。

そして、ろくに坪井の方を見もせずに、その日研修を担当していた人事部の社員のもとへ駆け寄っていった。


何だ、あいつ。顔は好きだけど可愛げないな。と、思った。その印象を長く引きずっていたんだ。


しかし、いざ同じ本社に配属されて毎日その姿を見かけるようになると。自然と真衣香の姿を目で追う自分に気がついた。


毎日見かけるわりに、声はあまり聞かない印象だった。

他の社員との関わりを避けているのかと言う程に物静かだ。

黙々と毎朝掃除をしていたり、雑用をこなして走り回り、周囲には『楽そうな仕事でいいよね』と陰でこそこそ言われて。


それでも顔色ひとつ変えない。

やっぱ可愛げないじゃん。と思った反面、仕事してない時はどんな女なんだって興味もあった。


けれど、特に接点もきっかけもなく毎日は過ぎていく。


(あの夜、ほんと疲れてて乗り気じゃなかったし。 人数合わせだけ付き合って抜けようってテンションだった)


遅れて店に入って、ついさっき見たなって姿を視線の先に捉えた。

顔をあげ、こちらを見た真衣香と目が合う。


『た、立花!? え、なんでお前がいるの?』


思わず大きな声を出した坪井を見て、真衣香も困惑したような表情を見せた。


『私もびっくりした、坪井くん……お疲れ様』


困ったような表情のあと、遠慮がちに微笑んだ。

会社で見る、引きつったように一定の表情を見せる彼女ではなくて。


柔らかく、可愛らしい。初めて見た表情。


坪井はドクン、と大きく鳴った自分の心臓の音を聞いた気がした。


”あ、ヤバイ、可愛いかも”


直感のようなそれは思い過ごしではなかったようで、ちびちびと苦そうにビールを飲み、顔を赤らめる表情から目を離せなかった。

そのジョッキを奪って飲んでみたら、頬を赤らめるどころか真っ赤になって驚愕の眼差しを向けてきて。


(もしかして、あんまり男慣れしてない感じ?)


可愛いんだから、それなりに男はいるだろう。なんて予想してたものだから驚くほどに何かが高揚していく自分がいた。


二人きりになってみたいと、さり気なくバーに誘うと、ついてきてくれた。


あれ?実はやっぱり慣れてるのか?なんて、邪推しながら店に着く。


そこで、甘いカクテルを勧めて酔わせて。仕事してる顔しか知らない真面目そうな人間を、女の顔に変えていく楽しさに自身も酔って。

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