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牛沢メインノベル

13 - 恋心(rtus)

♥

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2025年03月09日

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《牛沢視点》



俺にいつも笑いかけてくれる人がいる。


朝起きた時も、夜寝る時も

ゲームをする時もお話をする時も

いつも楽しそうに笑ってくれる。

でも俺はコイツを知らない。

前に「レトルト」だって名前を教えてもらったけど、 きっと芸名みたいなもんだし全くコイツとの記憶がない。


でも俺はそれ以前に俺が何をしていて何を持つ人なのか覚えてない。から多分コイツもその記憶がある時に居た奴なんだろう。

俺はコイツといると安心するし、心が暖かくなって 幸せだって毎日思うから俺はコイツを知ってたんだと思う。

全部憶測でしかないけれど

もし違ったとしてもコイツと過ごすこの時間が好きだからずっと友達でいてほしい。

俺の側から離れないで欲しい。

彼は俺の孤独に射し込む光だから。


コイツは初めて病室で会ったとき号泣して泣き崩れていた。

俺はその光景に困惑するしかなかったが、

彼の泣きが引いてきた頃

俺はコイツの友達でシェアハウスしている奴だって教えてくれた。

そして、俺の仕事はYouTuberだって。

なにしてんだよ俺。もっと安定した仕事あっただろ!そう思った。

そしてコイツも俺の同業者らしい。

たまたま隣の病室で寝てた奴がYouTube好きだったから俺より登録者の多いYouTuberだと確認することができた。

ついでに俺のことも調べて本当俺がYouTuberだったことも確認した。

はぁ…何やってんだ俺本当に…(呆れ)


それから暫くして退院すると俺達の家に案内してくれた。

造りも何もかも記憶になくて内見に来た気分だった。

気持ちがフワフワして、興奮と高揚を感じた。


月日は流れ、だいぶ今の生活に馴染んできた。

けれど、まだ俺はYouTuberの復帰はしていなくて、ずっとバイトだけで日々を過ごしている。

その為、アイツには電気代やらガス代等、家に関するものやあらゆる物の何から何まで負担させてしまっていて、本当に申し訳ない。


俺はコイツに甘えたままではいけないと思うが今のままで社会復帰はとても難しい。

コイツの力を借りなければまだまだ生活はできない。

だから、アイツがどこの女を引っ掻けてこようと目を瞑るし、犯罪を犯さなければどんなことでも目を瞑る覚悟はあった。

なのに、あいつはそういった色恋沙汰や、

友達との飲み、YouTubeよりも俺を優先してくれた。

何故こんな俺にここまでしてくれるのか

俺は本当にコイツとはただの友達なのか

色々考えたが結局答えはでないから

考えるだけ無駄だった。


けれど、コイツに彼女も居らず、俺1人のための人生を送らせるなんて勿体無い。

そう思って何度も恋愛の話を持ち出したりするが コイツは決まって暗い表情をみせた。


コイツはとってもいいやつだから他の女はほっとかないだろう。

男の俺でさえコイツに惹かれるんだ。

コイツが本気を出せば飲みで簡単に女を連れられそうだ。

けれどそうしないらしい。

前にアイツの携帯で飲みの誘いがあったからOKの返事をしたらすぐに全部バレて飲みもキャンセルされてしまった。

なんでだろう。

俺はコイツが離れるのは嫌だけどコイツの世界は俺だけじゃない。

コイツはあらゆる面で異性を惹き付ける力を持っていると思う。


俺が勘違いで好きにならないように影でも見せてくれたらいいんだけどな…

俺が女なら良かったのに…

なに考えてんだ。こんなの友達に対して考えることじゃねぇよ…。

俺は彼に友としての感謝を常に抱く。そう心に刻み、彼との生活が続く限り、精一杯生きようと決意した。



《レトルト視点》


うっしーが記憶喪失になった。

理由は前方不注意の軽自動車が横断歩道へ突っ込んできたこと。

幸い、たいした怪我は無かったが代わりに記憶を失った。

過去のこと全てを忘れたらしい。

勿論俺のことだって覚えてない。

あぁ…最近やっとうっしーと想いが繋がったのに……

人生うまくは事を運んではくれないらしい


彼は初めの一言「お前誰?」と言った。

流石に冗談だと思った。 けれど彼の目は濁りなく不審な目で見てきた。

今までされたことのない目。

俺は目に水溜まりができた。

お医者さんに現実だと言われても上手く頭は働かなくて真っ暗な中で1人取り残された気持ちになった。

本当に取り残されてるのは彼なのに…

彼が一番不安だろうに俺は目の前の彼から目を背けることしかできなかった。

彼を見ていると今までの楽しい日々が崩れるように見えたから。

2人の時間が消えてしまったように感じたから。

目の前の彼は俺を知らない。そう思うと過呼吸になりそうで辛かった。

目の前の大好きな彼はもう俺を好きになってくれない。現実だと受け入れようとする度涙が込み上げる。

彼は優しいからまだ病院で医師の処置を待って居る頃、泣いている俺を病室のベッドからそっと受け入れるように優しく頭を撫でてくれていた。

彼はまだ俺を知らないのに…っ。

そう思うとまた涙が込み上げた。

なんでうっしーだったんだよ!

うっしーは何も悪いことしてないのに!

悪いのは全部わき見運転をしたあいつなのに!

なぜ苦しむのは被害者なんだ!止めどない怒りとやるせない苛立ちがまた俺の心をかき乱す。

ごめんねうっしー

俺は君に嘘つくよ

きっと俺らが恋人だって言ったら困るでしょ?

俺は彼に1から説明するとき嘘を交えて話をした。

恋人じゃなくたって俺は君を愛してるから

俺が君の支えになるよ。

君を1人になんてさせない。

辛い思いはうっしーだけに背負わせないよ

俺に全部分けてね?

俺の愛しいうっしーさようなら

友よおかえりなさい


俺は心に深く厚い蓋をすることにした。



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