[時を超えた共通点]
涼架side
ユウヤと若井が二人で少し離れた場所で話し込んでいる間、ユリと私は湖畔の岩場に腰を下ろしていた。
私はまだ、目の前で繰り広げられている非現実的な光景に戸惑いを隠せないでいた。
「ねぇ、涼架ちゃん。若井くんと私のユウヤ、とっても似てると思わない?」
ユリが涼架に尋ねると、涼架は少し驚いたように頷いた。
「はい、私も…びっくりしました。話し方とか人をからかうようなところとか…本当にそっくりで」
私の言葉に、ユリは楽しそうに笑った。
「そうよね!私、初めて会った時、すごく驚いちゃった。それにね、涼架ちゃんも私とすごく似てるのよ」
「え…?」
私は戸惑ったような顔をした。
ユリは私の肩にそっと手を置き、優しく微笑んだ。
「その、ちょっと頑固で、でも、本当はすごく優しいところとか。それに、音楽が好きなところも」
私は、ユリの言葉に何も言えなかった。
彼女は、まるで私の心を全て見透かしているようだった。
「ねぇ、涼架ちゃん。私ね、知ってるの。ユウヤは、いつも私をからかうけど、本当は私のことを誰よりも大切に思ってくれているって」
ユリはそう言って、遠くで話しているユウヤと若井を見つめた。
「多分、涼架ちゃんの若井くんも、きっとそうよ。本当に大切な人だからこそ、素直になれないの。でも、それってすごく温かいことだと思わない?」
私は、ユリの言葉に、胸が熱くなるのを感じた。
ずっと、若井の不器用な優しさに気づいていた。
彼のからかいの裏に隠された、本当の気持ちに。
でも、それを確かめるのが怖くて、ずっと目を逸らしてきた。
「私ね、ユウヤといつか離れるって、なんとなくわかるの。でも、私はこの時間を大切にしたい。だって彼がくれたこの温かい気持ちが、きっとこれから先の私の人生をずっと支えてくれるから」
ユリは、そう言って微笑んだ。
その笑顔は、どこか寂しそうで、でも、とても穏やかだった。
私は、ユリの言葉に涙が溢れてくるのを感じた
私は、ユリに一つだけ、聞きたいことがあった
「ねぇ、ユリさん。ユウヤさんは…後悔してないかな?」
ユリは、私の問いに穏やかに首を振った。
「後悔なんて、あるわけないわ。だって、私たちがこの出会いを大切にすれば、きっとこの温かい気持ちは永遠と続くから」
その言葉に私は、若井のことが誰よりも大切な人だと改めて確信した。
ユリさんと話していると、遠くからユウヤさんの声が聞こえた。
「おい、いつまでそこで話し込んでるんだい?そろそろ帰るぞ!」
ユリは声が聞こえた方へ振り返ると、にこやかに微笑んだ。
「あら、ユウヤが呼んでるみたい。ユウヤったら、いつも私をからかうくせに、一人だと寂しくなっちゃうんだから」
ユリはそう言って、私の肩に手を置き立ち上がった。
「いきましょ!若井くんも待ってるわ」
私は頷きながら、ユリに手を引かれて歩き始めた。
ユリの手は、温かくて、とても優しい。
私は、ユウヤとユリの間に流れる、穏やかで温かい空気を感じていた。
それは、若井との間にも確かに存在しているものだった。
「ねぇ、ユリさん。私、いつか、若井に素直な気持ちを伝えられるかな?」
私がそう尋ねるとユリは、そっと私の手を握り返した。
「大丈夫よ。あなたたちには、運命の女神さまがついているもの。きっと、一番良い道へ導いてくれるわ」
ユリの言葉に、私は胸が熱くなるのを感じた。
遠くに見える、若井とユウヤの姿。
彼らが待つ場所へ向かって、私は一歩、また一歩と踏み出した。
次回予告
[消えたオーロラと残った温もり」
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コメント
2件
ユリさんが優しすぎて泣きそうです😭ぜひ涼架ちゃんと若井さんには結ばれて欲しいですけどね!!
結ばれるかな!?