テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「あ、 死んだわこれ」
これが私の最後の言葉である
しばらく激痛に耐えていた時、暖かい日差しのような気持ちの良い感覚に包まれた。
(死んだ?そんなのどうだっていいくらいだ。ずっとこのままでは行けない気がするどうしてだろう………ていうか私は誰なんだっけ?どこにいるんだろう…?あれ?眩しい、助けて!)
「あれ?ここは?」
「お嬢さん大丈夫?ぼーっとして」
「あ、はい!」
どうやら転生してしまったみたいだ。人間じゃなくて、天狗みたいだけど
私の名前は璃稔華澄と言うらしい
「やっほー!かすみ!一緒に寺子屋行こー!」
「いいよ」
「かすみなんか雰囲気変わった?」
「…別に」
「あ!分かった!厨二病でしょ!」
「違う」
「あーはいはい、かすみもついにそういう時期か……」
「違うから」
「冗談!冗談!」
「もー」
「おかえり!」
「ただいまー」
「今日はどうだった?」
「楽しかったよ」
「もうちょっと感想ないの?誰と遊んだとか?」
「るると遊んだ。楽しかったよ」
「もー、感想薄いって。」
「そんなことより、今日のご飯は?」
「もー、はいはい手作りパンよ、」
「やったー」
こんな感じの日常を呑気に過ごしていた。1ヶ月また1ヶ月と時が過ぎていく
(天狗も人間も変わらないな。流石に20代の大の大人が中高生の子供はきついけど)
「おやすみー」
「おやすみ」
『バーン!』
そういったその瞬間、爆発音が里中に響いた。
(なっ何!?)
「お母さん、今の何?」
「……!?かすみは隠れてて」
「どういうこと?」
「……魔族の軍勢が攻めてきてるの、お母さんは応戦に行ってくる」
「で、でもお母さん」
「あなたは隠れてなさい」
「絶対無事に帰ってきてね」
「もちろんよ。ああ、それと御守りにこれもってて」
「うん、分かった」
『ドォォン』
「ひっ!」
「ここに誰かいるな」
すぐそばで魔族の声がする。
(怖い、今まで感じたことの無いくらいに)
「ここにはいない、ここら辺に反応するんだけどな、あ、いたいた。」
「ひっ!?」
「なんだ、ガキじゃん」
「来ないで!」
「うるさいなぁ、さっさと死ね」
魔族の容赦の無い攻撃が華澄を襲う
「…………!?あ、危ない……」
「避けるなよー」
「来るな!」
『バチッ!』
その時、何かが爆発した
「えっ?」
「は?」
(私の周りに結界ができてく?御守りのおかげかな?)
「ゲッ面倒だな……」
(今のうちに!)
「逃がさないよ、炎球」
「きゃ!」
『ボゥ』
(え?)
「あーあ、燃え移っちゃった。」
「やばっ!?」
(いや、行けるかも)
「はぁはぁ、行けっ!」
「何これ?小麦粉?」
(全力で逃げる!)
「学ばないの?炎球」
『バァァン!』
(はぁはぁ、やばいクラクラする。粉塵爆発を狙ってやったけど思ったより威力が強くて酷い火傷を負ってしまった。水…………あっ!里はっ!?)
「え……?」
そこにあったのはボロボロの家と炎の香りだけ。
「るる!お母さん!誰か!」
ただ声が響く、返事はなかった。それどころか、人の気配すらも何もかも
「ああ?生き残りか?」
ビクッ!
(やばい……)
「気のせいか?」
その日は里から数キロ離れたところで寝た。
お母さんは約束を破った、帰ってこなかった。それどころか里の人々はもうほとんど帰ってこなかった
こうして長い歴史を持った天狗の隠れ里はたった一夜で滅んだのであった