『今日は全国的に晴れて夏らしい一日となりそうです。』
つけっぱなしのテレビから流れてくる天気予報、今年に入ってからもう嫌というほど聞いた。
母「大介、来週は模試あるわよね?」
大「…うん。」
母「前回みたいな悲惨な結果だったら転校してもらうからね。」
母「第一、あなたはお父さんの跡継ぎなんだからしっかりして貰わないといけないのよ。仲良くする友達もしっかり選びなさい。あなたに悪影響を与えるような…」
大「あーもう、うっさいな、わかったよ。」
母「あ、ちょっと!大介!?」
何も聞きたくなくて、勢いで外に飛び出した。
模試やらテストやらの前後日になると聞かされる母からの小言は、どんな悪天候の天気予報よりも憂鬱なものだった。
空を見上げると痛いくらいの輝きが目を突き刺した。燦々と降り注ぐ太陽の光は眩しくて明るい。それでもどこか威圧的で、畏怖の対象となり得る。
熱を吸ったコンクリートが暑さを倍増させて、倒れそうなくらいの暑さが俺を襲う。
꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳
学校までの道を突き進んでいると、ふと目の前に長身の青年がウロウロしているのが見えた。
制服は俺の学校と同じ、けれど見たことの無い顔。
青年は俺に気づくと早足で向かってきた。
?「あっ!あの、すいません!」
大「え、あ、なに?」
?「その制服、素ノ高校の方ですよね?」
大「そう…だけど。」
?「良かった…!高校に行くのに道に迷っちゃって、ついて行ってもいいですか?」
大「別にいいよ。」
高校に着くまでの時間、沈黙が耐えられなくなって色んなことを話した。
阿部亮平。
親が転勤族で、高校3年生の初夏、ここに引っ越すことになった。でもそれも短期的なもので、夏休みの中盤にはまた別の学校へ転校するらしい。
大「てか、同い年なら敬語いらなくない?」
亮「それもそうだね!うん!」
大「転校ってさ、大変じゃない?」
亮「ん?なんで?」
大「いや、ほら、その…友達、とか?」
亮「あ〜、笑 居たことないから分からない笑」
大「え、?マジで?」
亮「うん、すぐ転校しちゃってたし!」
大「転校嫌だとかも無かったってこと?」
亮「そうだね〜、思い入れも特にないし」
大「そっ…か。……いいな。」
亮「佐久間くんも転校するの?」
大「あー…いや、模試の成績悪かったら…ね笑」
初対面の奴に、何を話しているんだろう。
けど、亮平ならなんでも聞いてくれそうで、なんでも言ってしまいそうになる。
亮「おうちの人、厳しいんだね」
大「そうかも。苦笑」
大「って、やば!遅刻する!走るよ!」
亮「あっ!うん!!!」
to be continued…
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