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横須賀市人口420389人
面積
100、83km2
アメリカ軍施設軍人
6638人
軍属
721人
家族
5721人
横須賀海軍施設従業員数
MLC 基本労務契約
軍の機能そのものに従事する者 4577人
IHA 諸機関労務協約
食堂 クラブ 販売所等で働く者 532人
アメリカ海軍第7艦隊の、実質的な母港として知られる横須賀ベースを構える中核都市である。
5月最終日曜日のこと、横須賀ベース近くのドーナツショップで、タブレットの画面に見入る3人の若者達が、窓際のテーブル席で長居をしていた。
朝の10時からすでに5時間、動画サイトを見ながらメモを取り、笑いながら話し込んでいる。
店員は、憮然とした表情を隠さなかった。
それだけ迷惑な客だった。
完全に冷めきったコーヒーをすすりながら、宇徳智也は澄ました顔で店員に会釈をした。
隣の村上萌がクスッと笑った。
「いい人ぶっちゃって」
宇徳は萌の表情が嫌味に感じて、反論しようか迷った挙句、余計な神経を使いたくなかったからやめた。
それに、どっちにしたって彼女を好きだと言う想いに迷いはなかった。
彼女の声が気になってしまうのも悔しくて、それでいて歯痒い。
これが恋なのだと、宇徳は確信して負けを認めた。
ふたりの目の前で、細かくメモを取る渡辺蓮は大学3年生で、動画サイトでそれなりの収入を上げている。
同じ大学の後輩にあたる宇徳と萌を仲間に引き入れて、新たな新作動画を今夜アップするつもりでいた。
タイトルは既に決めてあった。
「アメリカ軍に決死の突入! 東京ジェノサイドで恋人が目の前で消えた女性の抗議に涙!」
もちろん全ては作り物で、哀しい女性を演じるのは萌、カメラマンは宇徳、抗議に突入するのは渡辺の役回りとなっていた。
シナリオ作りも入念だった。
時事ネタを取り入れて、台詞もカメラワークも絵コンテに収めていた。
渡辺は、将来映画監督を目指していた。
「1発で決めっからな。ちょっと車でリハやろーぜ」
渡辺は、意気揚々と言ってのけた。
気分は映画監督だった。