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「第三幕 第二章 砂に眠る記憶」(後編)
影の守り手たちが、砂を撒き散らしながら迫ってくる。
その動きは人間よりも速く、足跡を残さず地面を滑るようだ。
「来るぞ!」
ラシードが低く叫び、あなたは星槍を前に構えた。
最初の一体が腕を振り下ろす――その瞬間、槍先から星光が走り、影の腕を貫く。
しかし、影は切断されてもすぐに形を戻し、再び襲いかかる。
「普通の攻撃じゃ効かない!」
セレスティアが短剣で影を払いながら後退する。
あなたは槍を高く掲げ、祭壇の上空に浮かぶ星々に意識を集中させた。
すると夜空の一点が輝き、槍に光が集まっていく。
「……星槍・断星閃!」
振り下ろした瞬間、眩い光が地面を切り裂き、影たちは悲鳴をあげて霧のように消えた。
残った最後の一体に、ラシードが跳びかかる。
彼の槍が影の胸を貫いた瞬間、影の奥から銀色の光が零れた。
それは小さな金属片――古代の地図の一部だった。
戦いが終わり、祭壇の中心部に近づくと、石の蓋がずらりと動き、地下へ続く階段が現れた。
降りた先の部屋には、壁一面に巨大な地図が刻まれている。
大陸全土に星の印が描かれ、その多くが赤く塗り潰されていた。
「……これ、月殿が星を集めてきた場所だ」
セレスティアが声を震わせる。
そして一角に、小さな村の名前が刻まれていた。
――それは、ラシードがかつて暮らしていた村の名。
ラシードはしばらく動かなかった。
やがて、低く押し殺した声で言う。
「……やっぱり、全部あいつらの仕業だ」
握った拳から血が滲む。
しかし、その瞳にはただの怒りではなく、決意の光が宿っていた。
「次は……海の向こうだ」
ラシードは地図の先を指さした。そこには、月殿の本拠地らしき島が描かれている。
あなたたちの旅は、ついに海路へと向かおうとしていた。