私はこの学校のバスケ部のマネージャーを務めている。
部員は全員帰って、今は片付けをしているところだ。
「あれ?みんなは?」
「もう帰りましたよ」
ドアから顔を覗かせたのは、バスケ部の顧問の京本先生。球技は苦手らしい。
「あ、手伝おっか」
「しまうだけなので大丈夫ですよ」
「俺だって一応顧問だし」
ボールをカゴに投げ入れようとして、角に当たって跳ね返った。それを見て思わず吹き出す。
「先生下手すぎ、だっさ〜」
笑われたのが気に食わなかったのか、どかっと私に背を向けて椅子に座って黙り込んだ。
「だって面白かったんだもん。拗ねないでくださいよ」
「先生に謝りなさい」
「はいはい、ごめんなさい」
「はいは1回!」
こんなやり取りをしてるうちに片付けが終わった。
「まあ、先生ってへなへなしてるもんね」
普段から地味で弱々しい人だからな。だから周りの生徒からも舐められてる。
「そう?」
深刻そうな顔で体をぺたぺた触りだした。京本先生はからかいがいがあって楽しい。
「なんか弱そうっていうか、実際私のほうが強いんじゃない?」
備品のチェックをしながら、先生とは背を向けて話し続ける。
「どうかな」
後ろからガチャン、と音がした。
振り向くと先生が部室に鍵をかけている。なんで閉めてるの?
「どうしたんですか?」
先生が歩いて来る。
距離が近ずいても立ち止まらないことに、おかしいと感じた瞬間同時に体を壁に押し付けられた。壁の硬い感触が背中から伝わる。
「え、せんせ」
状況が呑み込めない。咄嗟に胸を押し返そうとすると両手首を掴まれた。抑えられて圧倒的な力の差を感じさせられる。
「抵抗しないの?さっきまで強気だったじゃん」
「なっ、冗談ですよ…!」いつもと違って先生の目は鋭くて怖いくらいだった。
こんなつもりで言ったんじゃない。
「あーあ、あんなこと言わなきゃ良かったのにね」
「なんでそんなに怒ってるんですか、!」
振りほどけなくて、鼓動が早くなっていく。
「今から分からせるよ」
コメント
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フォロしつです! 続き楽しみにしてますね🐱
京本先生サイコーです! 続きいつ出しますか?