ボーリングの玉を取り外す。キラン…そんな音がして、パーカーを着ている人いつもの格好に戻る。
『………、こんなに、良くさせて貰えて良かったわ。…ほんま、』
国では…、沢山の事があったから俺らは市へと移住し、姿を隠した。皆、別人のように姿を消した。…でも、俺は、…今の俺が…、みんなと居たって言う思い出を消したくないから。
姿は、完全には消さない。消したくないって話を大先生にした時、凄い悩んどった。でも、大丈夫がくられ先生にお願いしてボーリングの玉を被ると、服が代わり、手足が透明になる。
そんな凄いものを貰った。
だから、ボーリングの玉を取れば今まで通りの俺がいた。
みんなと仲良く一緒にいて、笑ってるそんな俺が居たんだ……大丈夫、まだ俺は
皆とまだ居れた頃の俺や。
『……、』
今日は12月11日。俺があそこにいたら10周年が経ったことになる。
『去年なら、…』
今日は、みんなが祝ってくれて俺の頭を撫でてくれた。…今年からは、…もう、誰も祝ってくれへんね。もう、俺は9月1日に死んだんや。
12月11日は、もう…俺の誕生日じゃない。
『……』
昔みんながくれた手紙を読み返しながら、俺はボーリングの玉を被る。悲しくても、もう…俺らは乗りこれるしかないんや。
その先にあるものが何であろうと、俺は受け入れるしかない。それが定めだと思ったから。
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