『四角関係なんて好きじゃない』〜この気持ちに嘘はつけない〜
第4頁 丁寧な謝罪。
『あ、ユーハン、今日の部活の事なんだけど…。』
『えぇ。確か合同でしたよね。』
『うん。2階の和室に集合だって。』
『分かりました。楽しみですね。』
『うん!』
『…おや、廊下にいるのは…。』
『バスティン?どうしたんだろ。』
『朝に済まない、少しいいだろうか。』
『う、うん。』
バスティンに呼び出され、廊下へと出る。
『昨日は突然済まなかった。花澄さん。』
『え?』
『昨日いきなり告白してその…驚かせてしまったと思って。』
『いやいや全然…謝ることなんてないよ。びっくりはしたけど…。まさかバスティンが私を好きなんて…』
『そうか…良かった。だけど、俺が1番花澄さんのことを想ってる。』
ドキッ。
『え…っ。』
『俺はただの先輩として接したことなんてない。ずっと……。大事な女性の1人として見ている。』
『っ……。』
(バスティンは真っ直ぐだなぁ…。他の2人とは違って素直だし。)
『あ、りがと…。』
『あぁ。それだけは忘れないで欲しい。』
『う、うん。わかった。』
『じゃあ俺は戻る。またな。』
『うん。またね。』
『……。流石バスティンさんですね。素直でストレートです。これは手強そうですよ。ロノさん。』
影で2人の会話を聞いていた。
そして、放課後――。
私とユーハンは合同部活の為、一緒に和室で部活をしていた。
『……。』
『……。』
『華道をしているときの花澄部長は本当綺麗だわ…。』
『ユーハン君のお茶を点てる横顔…凛々しくて素敵。絵になるわ…。』
チョキンッ。
『…出来ました。夏の花々を使った生け花。
『瑞々夏』です。』
『流石花澄さんだわ。貴方らしさが出ていてとても素敵よ。』
『ありがとうございます。先生。』
華道の先生が私の生け花を褒めてくれた。
『他の子達も出来たかしら?ふふっ。花澄さんに見とれて手が進んでなかったようね。』
『す、すみません。』
『大丈夫だよ、私とゆっくりやろっか。』
『は、はい!』
『私のを真似しなくていいの。貴方の思う生け花を作れば綺麗だから。』
『が、頑張りますっ!』
『…どうですか、先生。』
『えぇ。抹茶の苦味と渋みが綺麗に出ています。そして、最後にほんのり甘い…また腕を上げたわね。ユーハン君。』
『恐縮です。』
(花澄さんは後輩の方にも優しいのですね…これはロノさんが好きになる理由も分かります。)
数分後。
『そろそろ休憩にしましょうか。
ユーハン君の点ててくれたお茶と、花澄さんが生けた花を見ながら和菓子を食べましょうか。』
『先生今日もお菓子を持ってきてくれたんですか?』
『美味しいお茶と綺麗な花には美味しいお菓子よ。ほら、召し上がれ。』
『頂きます。』
『美味しいです。』
『ユーハンのお茶と凄く会うね。』
『ありがとうございます。花澄さんの生けた花を見ながら食べるのはとても手が進んでしまいます。』
『えへへ、ありがとう。』
『それにしても…花澄さんはどうして華道をやるようになったの?』
『え?』
『貴方は華道はもちろんのこと、和に関しての手先はとても器用だもの。弓道や囲碁、将棋、かるたでも賞を取ったことがあるとか…』
『いえ、それはもう昔の話ですから…。……。
私が何故華道選んだのかは……自由だからです。』
『自由?』
『はい。弓道も囲碁も将棋もかるたも一定のルールがあります。だけど……華道は自分の好きなように花を生けることが出来ます。そして完成した姿を見て…とても嬉しく思うんです。自分だけの……たった一つの作品だってことを。』
『貴方らしい自由な発想ね…。聞くのは野暮だったわね。』
『いえいえ。久しぶりにやって見るのも楽しいかもしれませんね。』
私はニコッと微笑む。
そして、部活が終わり、私とユーハンは片付けをしていた。
『…花澄さんは昔色々やっていたんですね。』
『うん。楽しかったからね。弓道で真ん中に当たった時とか。囲碁や将棋やかるたで勝った時とか。』
『そうだったんですね。』
『うん。でも今は花を生ける方が凄く楽しいから。』
『確かに花を生けてるときの花澄さんは凄く綺麗です。ロノさんが好きになる理由も分かります。』
『っ!な、何いきなり…。ま、まぁロノは私の大事な後輩というか…告白されてびっくりはした、けど……。』
『ふふっ。』
(おやおや、華道であんなに綺麗な花を生ける時とは打って変わって…。恋には不器用みたいですね。)
『頑張ってくださいね、花澄さん。』
『え、何を?』
『ふふっ。』
『え、ユーハン何笑ってるの!教えてよー!』
次回
第5頁 調子が狂う。
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