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中心を越えたレビン達ではあるが、そこはまだまだ中心部と呼べる場所。

まずはそこを越えることにした。

「恐らくだが、いくら精霊魔法で守ろうとも、中心部では魔物が強すぎて守りきれん。

しかし、幻術のような精霊魔法を常時維持するとなれば、エルフの隠れ里も中心部からそこまで離れていないはずである」

「魔素の濃いところでないと維持が難しいから。ですか?」

「うむ。常に人が制御しているとは考えられんからな。恐らく魔素を使った何かしらの方法だろう」

ここに来て魔法に精通しているゲボルグが覚醒していた。

お荷物ではなかった。…多分。

「じゃあ後少しですね!」

常人にとってはその後少しが命懸けなのである。

魔物が集まる魔の森。

そして、その中から生存競争を勝ち抜いた強きモノのみ辿り着ける中心部。

そこを庭のように駆けていくレビンを見て、ゲボルグは首を僅かに振りながら追いかけるのであった。



翌日、異変は昼過ぎに訪れた。

「レビン!待てっ!お前光っておるぞ!?」

「は?僕は蛍じゃないです……よ?」

いつものように魔の森を駆けていたレビンだったが、後方にいたゲボルグに呼び止められる。

そしてその言葉に訝しそうに答えた後、首を下げると胸の辺りが発光しているのを確認した。

「えっ?…僕って蛍だったのか」

「んなわけあるかっ!レビンが首から下げている翡翠が反応しておるのだ!出してみぃ!」

ゲボルグの指摘に従い、レビンは首飾りを取り出す。

「あれ?こんなに輝いていたっけ?」

「…はぁ。そんな事はなかった。いいか?首飾りは恐らく精霊魔法が込められた魔導具である。

それが反応したということは、エルフが近くにいるか、エルフの隠れ里…エルフの国が近くにあるのか、そこに踏み行ったかのどれかであろう」

ゲボルグの説明にレビンは満面の笑みを浮かべ反応する。

「ホントですか!?おーい!エルフさーん!ん!?なにぼぉ?!」

「馬鹿者!エルフが好意的であると決まったわけではあるまい!もし近くに潜んでおって精霊魔法で攻撃されたら、いくら魔法に精通しておる我でも防げん。

それほどエルフの使う精霊魔法は、魔法とは異なるモノなのである!」

叫んだレビンの口を何とか塞いだゲボルグは一息で説明した。

「ぷはっ。はぁ。わかりました。でも、どうすれば?」

「それは…その首飾りに何かしらの精霊魔法が込められておるのは確実だ。

であれば、エルフであればその気配に気付き、やがてここへと来るのではないか?

その時に敵対しない事を示せれば話くらいは聞いてくれる……と願おう…」

ゲボルグにも確信はない。幻の種族である魔族ほどではないが、エルフもまたレアな種族のため交流がないからだ。

レアと激レアが出会う事など、天文学的数字の確率であることは言うまでもない。

そんな話を続ける二人。そこに……

「その魔族の言う通りだ。敵対しないのであれば話くらいは聞こう。

しかし、その前に答えよ。その首飾りをどこで手に入れた?人…お前人族か?いや…まさか…」

急な乱入者に、二人は心臓が止まるほど驚いたが、いち早く正気を取り戻したレビンが乱入者の疑問に答えた。

「僕は魔王じゃないです。善良な一般農民です」

レビンは生まれてこの方、一度たりとも農民ではなかった。

「一般農民…?それよりも答えよ。その首飾りをどこで手に入れた?」

乱入者は20歳くらいの青年だった。耳が尖っていること以外は、人族と変わりのない。

「その前に…初めましてエルフさん。僕は友達の父親である、エルフのバーンナッドさんに会うためにここまで来ました。首飾りの由来ですが…長い話になるのでどこか落ち着けるところでお話しできませんか?」

「む……わかった。ついて参れ」

人の懐に飛び込む事が取り柄のレビンは、話の流れで重要人物の名前を出し、エルフの国に入ることに成功した。

「わ、我は…」

敵対はしていないが、長く交流のないエルフの国に入ることを嫌がったゲボルグであった。

「ゲボルグさんも行きましょう?さっ」

(流石に殺されはせんよな?)

レビン子供の前なので狼狽える事も出来ず、ゲボルグはドナドナされていくのであった。



「へぇ。お兄さんはエターナルさんって言うんですね。綺麗な名前だなぁ」

自然と相手をヨイショする。そんな怖い子供を連れ込んだエルフは、名前を褒められて満更でもない様子だった。

「えっ!?バーンナッドさんってそんなに凄い人だったんですね!いやぁ。僕の友達も凄いけど、やっぱり親も凄いんですね!」

(コイツは…うん。任せよう。我は何も知らない)

グイグイと相手の懐に入っていく物怖じしないレビンに、遂に現実逃避を始めたゲボルグのコンビは、無事にエルフの国へと入国を果たした。

入国というが、関所はない。

精霊魔法で守られている見えない壁を突破したのだ。

その先にはレビンの知らない世界が広がっていた。


「うわぁ…綺麗…あっ!あんな高いところにお家が…」

「う、うむ。壮観であるな…」

これまでは無造作に育った木々が森を成形していた。

しかし、壁を超えるや否や、辺りの木々は低い部分は枝打ちされていて、その木々自体も他の木の成長の邪魔にならないように等間隔で生えていた。

もちろん木々が勝手にそうしたわけではなく、長い年月を掛けてエルフが手入れをしているのだ。

この森が永遠に繁栄するように。

そして肝心の木の上の家は、支えである木を傷付けないように、伐採したモノではなく枝打ちで出た枝や枯れた魔の森の木を使って作られた家であった。

見える壁などは細い枝で編まれているようだ。

屋根は恐らく何かの葉。実際には家を支えている大木の葉が、屋根の役目を果たしているのであろう。

レビン達は見たこともない家や、自然に溶け込んだエルフの国に驚愕していた。

「こっちだ。陛下の居住区はここから二時間ほど掛かる」

「ありがとうございます。でも、いきなり会えるものなのですか?」

レビンの疑問ももっともだ。エルフはキチンと国を運営していた。

その国の長に、身元が明らかでない者がいきなり会えるとは考えづらい。

「それは私が決めることではない。だから約束は出来ん。その伺いをたてるために向かうのだ」

「わかりました。よろしくお願いします」

「……」

ゲボルグは何か言いたかったようだが、諦めの境地に立たされている。

(絶対良いことにならんよな?!)

レビン達は武器を取られてもいない。ここまで不用心なのはどんな理由からだろう?レビンは歩きながらも思考の海にドップリ浸かっていた。

沢山のエルフの好奇の視線に晒されて歩いているレビン達であったが、レビンは気にしない。いや、気付いていないとも言う。

(やっぱりエルフでも魔族は珍しいんだね。ゲボルグさんもこんなに見られて大変だなぁ)

他人事であった。一方ゲボルグはというと。

(レビンはこれだけ見られても気にしないのであるか……この風格はもしかしなくとも人族の中で権威のある家の出なのだろうな)

勘違いが勘違いを呼んでいた。



「ここだ。しばし待たれよ」

レビン達を案内していたエターナルが足を止め、二人に指示を出す。

これまでの話によると、エターナルはこの国の自警団の団員とのこと。

「ここだけ人の出入りが激しいね。でも国の主要機関がある建物にはどうしても見えないなぁ」

「の、呑気であるな…どう考えても警戒されて囲まれているというのに……」

そう。二人は元々自警団員に囲まれてここまで来たのだが、ここに来て木の上からも見張られている。

歓迎ムードとは対極的な扱いに、ゲボルグは戦々恐々としているのに対して、レビンはいつも通り気になるモノをしっかりと観察していた。

「だって普通のお家より少し大きいだけですよ?あの中にミルキィの親であるバーンナッド王や、国のお偉いさんがいるとはどうしても思えなくて…」

そこでレビンはハッとした。

(そうか!信用できない人族が来たから偽装しているんだ!なるほどなぁ…)

人知れずエルフは濡れ衣を着せられる。

そんな事を考えていると、レビンを取り囲むエルフより多くのエルフに囲まれたエルフが、レビン達の元へと急ぎ足でやって来ているのが窺えた。




レベル

レビン:72→74(173)

ミルキィ:100

混血の吸血姫と幼馴染の村人

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