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「でも有夏、もぅ入んない」
「………………」
唐突に、沈黙。
「……今の、もっかい言って」
「なに? なんか言ったっけ。ありかもうはいんな……」
そこで有夏、ようやく気付く。
「お前、まさかこの流れでそういう……!?」
早く食べろと言う幾ヶ瀬の必死な形相が和らいだ。
かわりに、だらけた笑みに支配される。
彼の頭の中の有夏はしなをつくって「もう挿んなぁい」なんて言っているのであろう。
「有夏ぁ」
迫る顔を有夏の掌底が押しとどめる。
「お前バカだろ。メシじゃなくて有夏のこと食ってどうすんだよ!」
「有夏、うまいっ!」
「うまくねぇよ。わいてんのか!」
幾ヶ瀬は箸を置いて、本格的に手を出しにかかっている。
「ヤだよ。ヤってる間にメシが冷めましたなんて、くだらねぇオチはもうコリゴリなんだよ」
でもさ、と幾ヶ瀬が声をひそめる。
「運動したらお腹へるかもよ?」
「うんどう……」
「運動」という言葉だが、幾ヶ瀬が言うと爽やかなスポーツとはかけ離れたイメージが沸きあがるのは何故だろう。
「ヤだよ。絶対しねぇから! 有夏は食べる! あとちょっとだけなら入る」
「ちょっとだけ? いっぱい挿るくせに」
「最悪だ、コイツ」
腰に伸びた腕を、有夏は完全に無視した。
肉じゃがのジャガを頬張ってみせる。
「いいよ、食べてて」
Tシャツの裾から侵入した手が、有夏の腹の上で軽やかに踊る。
「んーっ!」
ゆっくりとに上へとのぼってくる指に、有夏が身をよじった。
「むっ……心を無にするのだ」
青椒肉絲を口に運びながら、そんなことを言っている。
「心に宇宙をえが……っ、描くのだっ」
どうやら心は無にできないし、宇宙も描けないでいる様子。
這い上がってきた幾ヶ瀬の指先が左の乳首を僅かに掠めただけでギュッと目を閉じ、固まっている。
「さすればそなたは……っ、真理に到達するであろ……うっ。はい、老師……っっ」
何かの漫画の台詞を、1人2役でそらんじるが上手くいかない。
「感じすぎたって、有夏」
突起の先端を、指の腹がやさくしなぞる。
やがてその指がツンと乳首を突つき出した。
「これが……っ、老師っ、の、最終……おうぎ……闇から、んっ! いくせっ、それヤだ!」
【続きは明日更新します】