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私
の名前は『エターナル』。
この世界を創造する者だ。
この世界の人間には発音できない言葉を使っていることからわかる通り、私はこの世界の人間ではない。
私が元々いた世界では魔法が発達しており、その力はあらゆる不可能を可能にするまでに至っていたが……しかし残念なことに、科学というものの発展だけは阻害されていたのだ。
例えば、炎を起こすにしても、呪文を唱えれば一瞬で起こせたのだが、機械を使って起こすことはできなかった。また、水を生み出すことさえできなかった。もちろん火種もない状態なのでマッチ一本すら存在しない。
そのため、この世界で生きるためには魔法が必要不可欠だったわけなのだが――そこで問題になるのが魔力の存在だ。
魔力とは生命エネルギーの一種であり、人間の体内に存在するものだが、普通では目に見えるものではないらしい。
ところが、俺には生まれつき魔力が見えるのだ。しかも人並み外れた量の魔力があるらしく、このままだと近い将来俺は命を落とすことになるそうだ。
そこで考えたのが、体内に溜まった魔力を消費して新しい肉体を作り、そこに魂を移す方法だ。
幸いなことに、今の身体に未練はなかった。むしろ邪魔な存在だったので、これ幸いと思い、早速実行に移すことにしたのだが……ここで誤算が生じる。
俺にはこの世界の通貨がなかったのだ。
金がなければ何もできない。しかし元勇者だった俺の顔を知っている奴もいるかもしれない以上、表立って動くわけにもいかない。そこで俺は考えた末に裏社会に身を置くことに決めた。
そして今、俺はスラム街にある酒場にいた。
薄暗い店内の中、俺はカウンター席に座って酒を飲んでいた。ちなみに酒を飲むのはこれが初めてだ。
店の中には俺の他に数人客がいた。全員ガラの悪い男たちばかりで、しかも全員が酔っぱらっていた。中には女もいたが、こっちもかなり酔っているようだった。
「おい、聞いたか?最近王都の方じゃ、また魔族が現れたらしいぜ?」
「あぁ、なんでもそいつらが暴れまわって大変だとか言ってたよな……」
「そうなんです!それで今朝から街では避難勧告が出されてまして……」
「そうなのか……」
(ふむ……)
「えっと……それでですね……お願いがあるのですけど……」
「ん?」
「わたくしも連れていっていただいてもよろしいでしょうか!?」
「断る」
「どうしてですかー!」
「当たり前だろうが。なんで俺がお前みたいなガキを連れて行かなきゃならないんだよ」
「だって!この国を救う勇者様が現れたんですよ!?それなのに貴方は何もしないつもりなんですか!?」
「何もするもなにも俺はただの冒険者だしな。それにそもそも国の事情なんか知ったことじゃない」
「もうっ!こんな時にまでつれない態度を取らないでくださいよ!!」
「うるさい黙れ。だいたいなんでついて来ようとするんだ?大人しく家で待ってろ」
「嫌です!!絶対に一緒に行きますからね!!!」
「あっ……」
『あぁ……』
「ん?」
「どうしたんですか?」
「いえね……ふと思い出したのですけど……
私も昔、同じような夢を見たことがあるんですよ」
「そうなんですか?どんな夢なんですか?」
「えっとですね~……
あれは確か……私が中学生くらいの頃だったと思います」
「へぇ~」
「当時の私は今と違って内気な性格だったのですが、ある日突然、不思議な男の子に出会ったんです」
「不思議な男の子?どういうことですか?」
「私もその当時はよくわからなかったのですが、なぜかその子を見ると胸がドキドキしてしまって、それでつい……」
「えっと、つまり、好きになったんですね?」
「はい、そうです」
「それっていつ頃なんですか?」
「中学2年のときですね」
「じゃあ、今が3年生なので6年前くらいになるわけですよね?」
「そうなりますね」
「その間ずっと思い続けていたということでしょうか?」
「いえ、実は1年生のときにも気になっていた時期があったんですよ」
「ということは、そのときもやっぱり好きだと思ってしまったんでしょうか?」
「そうなりますね」
「どうしてまたそんなことをしてしまったのでしょう? 失礼なことをお聞きしてしまうかもしれませんけど、その気持ちを抑えられなくなってしまった理由があるんじゃないでしょうか?」
「私も当時はとても混乱していたのではっきりとはわからないんですけど、きっとこの子は、私が産む前に死んでしまった娘だと思います。」
「なるほど、そうですか。」