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死んだ旅人を大陸で弔う話/死ネタ/旅人(性別決めてない)が死にます/ちなみに本人は出てこない/中身も目的もない/暇だったら続き書きます


『旅人が死んだ』

そんな突然の悲報は雷のごとくテイワット大陸全域に伝わった。『旅人』。そう呼ばれた勇敢な人物は、想定していたよりも簡単にこの世を去ってしまったようだ。涙を流すもの。絶望するもの。かたや、乾いた笑いを零すもの。怒りに狂い、血が滲むほど拳を握り締めたものもいた。しかし、もうあの『旅人』は、帰ってくることは無いのだ。たしかに、もう世界は救われた。あの人物がいなければ、今頃テイワットは闇に染っていただろう。あの、眩しいほどに光る我らが勇者は、もう役目を果たした、といってもいいのだ。じゃあ、もう忘れてもいいのではないか?いいや、それは全くもって違う。『旅人』を、忘れてはいけない。忘れられるはずもない。どうにかして…。

璃月が一角。とある山の麓に七神と呼ばれるものたちは集っていた。生憎、二人は訪れていないようだが。

「旅人が死んだって話。聞いたかい?」

「あぁ、聞いた。」

「そんなの聞きたくなくても、耳に入るほどですよ」

「そうね、スメールでもその話で持ち切りだわ」

「はぁ…フォンテーヌなんてずーっと雨だ」

今日で旅人の悲報が届いて三日目。だが、神は皆揃って、落ち着いている様子だった。彼らも一同して、驚きと悲しみはあった。しかし、彼らは旅人から、生前こう伝えられていたのだ。

『もし、自分が死んでも、あなたたちなら大丈夫。自分は信じてる。だってあなたたちはこの世界の神だ。どうか、哀しみにくれないで。今まで通り、やっていればいい。』

その言葉に従って、彼らは何も気にしていないように振る舞い。いつも通り、普段どおり。『旅人』が生きていた時のように過ごしていたのだ。

数刻の沈黙。その沈黙を破ったのは、モンドの吟遊詩人であった。

「…あのさ」

「ボクたちで、旅人を弔おうよ。祭を開こう。旅人を労る。祝う。感謝を伝える。そんな祭を」

「……この状況で…バルバトス。あなたは祭を開けると思ってるのね。」

「じゃあどうするの?この暗い世のままで、人々を生かしていくの?そんなの。それが、一番旅人が望んでないことでしょ」

微かに震える腕を抑えながら、そう少年は嘆いた。最後の方は、もう、独り言かのような儚い、弱い声で囁いているだけだった。その訴えに、残りの3人は息を詰まらせた。その通りであったからだ。

「……なるほど、祭。」

通っていた険悪な空気を気にせず、感心したかのように岩の化身は顎に手を当てた。

「いい提案だ。祭を開けば、旅人もきっと救われるはずだ。この世に未練を残さず、家族の元に安心して帰れるだろう。あいつは心配性だからな。お前たちも分かっていることだろう」

「……たしかに、稲妻にもそのような祭は幾らかあります。そう考えれば、何故旅人の死去にはそのような文化を作らないのか。疑問でしょう」

「…そうね。良く考えればメリットもあるわよね。ごめんなさい、バルバトス。私もあまり考えが纏まってなくていて」

白色の髪を揺らして、幼げな少女はウェンティへ頭を下げた。こんなところで揉めている場合じゃない。それはここにいる全員が分かっている。

「……それで、バルバトス。祭を開くとしたら、どこでやるんだい?場所によっては、協力するのが難しくなるかもしれないよ」

「うーん…そうだね」

今まで、顔を俯かせていたフリーナが、そう問う。旅人を弔う祭、とならば限界まで盛大にやらなければ。だが、もしその祭の場所が稲妻にもなろうものなら、フォンテーヌからは海をひとつ超えて行かなければならない。そう易々と移動できる距離ではないのだ。

「では、各地域でやる。というのはどうでしょう」

「各地域で……。ふむ、俺はとてもいい案だと思う。きっと、全大陸から人が集まるだろう。流石の璃月港でも、そのような人数は収まりそうにないからな」

影の提案に、鍾離は頷く。あの旅人なのだ。今迄に見た事のない規模になる。そうとなれば……

「よし、じゃあそういう事にしよう!」

うん、と納得したようにウェンティは立ち上がり、ばっと腕を勢いよく広げる。立ち上がった風神に残りの神達も、椅子から腰を上げた。

ふわり、と爽やかな風がひと吹き。

「じゃあ、開催場所はそれぞれの街で!」

「開催日は、ここから21日後」

「方法や屋台、それらは各々に任せます」

「参加人数の制限は、無し、よね」

「祭の名前も自由に決めてよし、とする!」

ぱっ、ぱっと、周りに光が集まり始める。そうだ、これは。

「君たち、絶対忘れないでね!」

ぱちり、とウィンクをひとつ。

神々は各々のグラスを高く持ち上げ、高らかに笑った。

刹那、五人の声が揃い、空へ響いた。

__我らが”盟友”に感動を!

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