テラーノベル
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いつも通り凪と私は学校へ登校する。
一つ違う点を挙げれば、キーホルダーの有無。
「今日、1時間目なんだっけ」
胸元まであるロングヘアーを弄りながら私に問いかけた。
「体育だったはず。」
そういえば私は肩までの髪を高くくくる。
「えぇ〜、朝から?嫌だなぁ」
凪は溜息を零して、その後困ったように笑った。
「ね〜、やる気でない」
私は欠伸をする。
白いライラックのキーホルダーは、私達の会話に挟まれて光った。
───キーンコーンカーンコーン
日が斜めに降り注ぐ教室に、終業のチャイムが鳴った。
「紬バイバイ!」
凪が私に手を振り、足早に教室を出ていく。
今日は早急の用事があるらしく、部活も休むらしい。
淋しげな心を隠して、更衣室へと足をすすめる。
更衣室のロッカーに荷物を置き、部活着を取り出して着替え始める。
体育館に行けば、いつもの風景が目に収まった。それは、皆の目から見ればだが。
私にとっては、凪が居ないことは大きく違う。
凪が居ないと練習もままならない。いつもニ人でペアを組んで練習をし、試合の時は二人のチームワークが軍を抜いていた。
「白城さん、やるよ」
先輩が私の顔を覗き込んでそう言う。
「あっ、すみません」
私は我に返り、ボールを両手で握る様に持った。
───試合開始
三ポイント
ファウル
試合終了───
斑に鳴る音に惑わされながら、私は執念深くボールに食らい付いていく。
でもどうしても上手くいかない。
皆は私と凪のことを姉妹だとか言うが、私は誰よりも頼れて仲の良い親友でありたい。
「これで今日の部活を終わります」
長い部活が終わると、私は水をゴクゴクと飲んで更衣室へ向かう。
蒸し暑い体育館を出る。何処にでもありそうな平凡な街並みを歩いていく。
「やっぱり凪が居ないと駄目だな…」
体を伸ばして一人呟く。
中学生の頃の紗奈と同じような感覚。
だが、高校が離れてからあまり話していない。
辺りも暗くなり、家にももうすぐ着く頃。明日提出の宿題を忘れたことに気付いた。
「…やっば」
急いで学校へ戻る。奇跡的に門はまだ開いていた。
教室へと駆け上がり、ドアを開ける。冷静になれば、鍵が掛かっていなかったのはどう考えても不自然だった。
もう空は暗く、星が見える時間。教室の中に一つ人影が見えた。
後ろ姿だったから顔は見えなかったが、泣いていることは分かった。
私は居てもたっても居られなくなり、彼女に話しかける。
「こんなところで何してるの?」
後ろから彼女に話しかける。彼女が驚いたように私の顔をみて、ボソボソと話し始める。
「なんだかもう辛くて、ずっと一人で泣くことしかできないんです。」
涙で埋もれそうな目を擦り、私に話し始める。
「そっかぁ…。でも、こんな綺麗な星空の夜に泣くなんて勿体無いと私は思うよ?」
私は彼女が元気になれるように、極力明るい笑顔を向けた。
「でも…」
彼女が話そうとする言葉を遮り、
「私には君の気持ちとか置かれてる状況とか分かんない。けど、私は君の泣いてる顔じゃなくて笑顔を見たい。だから、ね?」
私は彼女を手を差し伸べる。すると彼女は私の手をみて、震える手を乗せた。
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