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えとさんの白いマントのような衣装……何だろ…?
通知来なかった、、 いやほんと好き!もっかい良いね押してきます!
待ってます!!
観覧車を降りてしばらく歩くと、遊園地の出口近くに小さな灯りがぽつん、と揺れているのが見えた。
にぎやかな音楽が流れていた周辺とは違い、
その場所だけ、静かで落ち着いた空気が流れている。
――お土産屋さん。
看板にはカラフルな文字。けれどどこか色あせていて、
“昔ここに賑わいがあった”と語っているみたいだった。
「ここにも……誰かとの記憶があるんだよな。」
扉を押すと、小さな鈴が“ちりん”と鳴る。
店内には、ぬいぐるみ、キーホルダー、お菓子、メモ帳……
ありとあらゆる雑貨が棚にびっしりと詰まっている。
そのどれもが少し古びていて、
まるで時間が止まっているみたいに静かだった。
じゃぱぱが一歩踏み込むと――
棚の奥で、ひとつのストラップが突然“ぽとり”と落ちる。
「……え?」
拾い上げると、それは
小さなガラス玉のついた、不思議なストラップだった。
触れた瞬間――
“ぱちっ”と、指先に小さな魔法の火花が走る。
「うわっ!?」
「ごめんごめん!ちょっとびっくりしたよね!」
急に店内の空気が、ぱっと明るくなる。
顔を上げると、そこに立っていたのは――
えとさんだった。
白いマントのような衣装。
明るくて、少しだけ悪戯っぽい笑み。
「やっほ、じゃっぴ!ここまで来れたんだね!」
「えとさん……そっか、えとさんとの記憶か。」
「そうみたい。なんかね、この場所には
“忘れちゃダメな気持ち”がいっぱい詰まってるんだって。」
えとさんは棚の間を軽やかに歩きながら、
時々商品に触れては「わっ」「おぉぉ」と反応して楽しんでいる。
「ねぇ……なんで俺は、こんなに記憶が欠けてるんだろう。」
「ふふ。それを言っちゃうと“秘密”だけど……」
えとさんはウインクした。
「でもね、ひとつだけ言えることがあるよ。」
えとさんは棚の奥に手を伸ばし、
小さなガラスの置物――
魔法学院の紋章に似た形のキーホルダーを取り出した。
「じゃっぴは、“誰かのために”色んなことを忘れてるんだよ。」
「……俺が?」
「そう。
誰かの心が傷つかないように、
誰かが笑えるように、
誰かが前に進めるように。
そのために、君は自分の記憶を少しずつ手放したんだ。」
胸がぎゅっとする。
そんなこと、覚えてない。
でも、その言葉だけで……胸の奥が熱くなる。
「これはね――じゃっぴが“みんなを守ろうとしていた証拠”。」
えとさんが手渡したガラスの置物に触れた瞬間、
じゃぱぱの視界に鮮やかな光が走った。
――えとさんと撮影前にお土産屋さんを散策した時間。
――変なグッズを見つけて2人で笑い転げた瞬間。
――“やっぱ仲間って最高だね!”ってえとさんが言った声。
記憶が、どっと流れ込んでくる。
「……俺、えとさんのこと……たくさん、覚えてたんだな。」
「うん。
そして、忘れてたわけじゃないよ。
胸の奥にしまいこんでただけ。」
えとさんは店の中心でくるっと回り、
軽く杖を振るような仕草をする。
すると店内に散らばっていた雑貨たちが
ほんの少しだけ輝きはじめた。
「これで、じゃっぴの心の“鍵”がまた一つ戻ったね。」
「ありがとう、えとさん。」
「どういたしまして!
……でも気をつけてね?
この先は、今までよりずっと大変だから。」
えとさんの身体が光に溶けるように消えていく。
「じゃっぴ、また会おうね。
君が本当の“最後”にたどりつけるよう……
私も、魔法の端っこで応援してるよ。」
光が完全に消える。
店内は静かで、でもどこか温かい。
「……よし。次の場所へ行くか。」
橙色のガラスの置物をポケットにしまい、
じゃぱぱは再び外の光へと歩き出した。