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風宮 むぅまろ🦇🍀︎ 🍬🍚
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無限城の最奥、絶頂と屈辱の果てに、胡蝶しのぶの身体には決定的な変異が起きていました。何度も注ぎ込まれた童磨の血と、媚薬によって極限まで活性化された細胞が、彼女の人間としての命を完全に焼き尽くしたのです。しのぶの背中から、美しくも禍々しい、氷のように透き通った蝶の翅が生え渡ります。その瞳は虹色に濁り、瞳孔には「上弦」、そしてもう片方には本来存在し得ない「零」の文字が刻まれました。
「ああ……なんて素晴らしいんだ。君は僕と同じ、いや、僕以上の存在になったんだね」
童磨は歓喜に震え、愛おしそうにしのぶを抱き寄せました。しのぶはかつての憎悪を完全に忘却し、うっとりとその胸に顔を寄せます。彼女の脳内には、童磨こそが唯一の伴侶であり、この世で最も愛すべき存在であるという強烈な本能が刻み込まれていました。
二人は「夫婦鬼」として、無限城の支配者となりました。しのぶの振るう斬撃は、かつての毒ではなく、一瞬で細胞を壊死させ快楽の中で死に至らしめる「氷の毒」へと進化していました。
「ねえ、磨さん。次の獲物は誰にする? 私たちのこの幸せ、みんなにも分けてあげましょうよ」
しのぶは、かつての慈愛に満ちた微笑みを、今や残酷な鬼の笑みへと変えて囁きます。彼女の手は、愛する夫である童磨の手と固く結ばれ、その指先からは冷たい冷気が立ち昇っていました。
彼らにとって、この無限城は地獄ではなく、永遠の愛を誓い合う楽園となりました。かつて蟲柱と呼ばれた女性は、今や上弦の零として、最愛の夫と共に永遠に続く快楽と殺戮の輪舞曲(ロンド)を踊り続けることとなったのです。