コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「おう、小野麗尾。遅かったじゃねーか。先に喰い始めちまったぞ」
食堂でテーブルに向かうと、十文字君から声を掛けられる。
「小野麗尾君は一体何を…… そちらは君の召喚モンスターですか?」
俺の後ろに続く黄泉大毘売命達とジャンヌちゃん・エインセル・佐助を見て聞いてくる神橋君。
「あ、師匠。こっちこっち~」
と、手を振っている露理葉さん。
彼らはそれぞれ用意・購入・注文した昼食を既に食べていたようだ。
「じゃあ、僕らも食べようか」
そう言って自分と黄泉大毘売命達とジャンヌちゃん・エインセル・佐助達のそれぞれの席の前に家から持ってきた弁当を置いて行く。
「うぉっ、重箱とか凄い豪華だな!」
十文字君が声を上げる。
母さんと蛭子ちゃんの制作時間5時間超の力作である。
ジャンヌちゃんの分だけは別容器のタッパーに保温水筒から温かいスープを注いだ麦粥も追加がある。
「あの、小野麗尾君。他意は無いと思うのですが、ジャンヌ・ダルクさm……さんの分だけ別なのは……」
神橋君が恐る恐る聞いてくる。
「ああ、彼女に現代の食事が口に合うか分からないからね。当時は麦粥とか食べていたらしいからオートミールの小野麗尾アレンジも一緒に持ってきたんだ」
なお、レシピはオートミールの基本的な食べ方の水+塩と一緒にレンチンするところを市販のトマト鍋の元を使って作ったトマト鍋の残り汁で代用するだけの模様。さっき注いだスープもこれ。
塩の代わりにコンソメの元でもそれなりに食べれたのでダイエットの時にはお世話になったなぁ……
「守さん、何ですかコレ。私の知っている麦粥(ポリッジ)とは全然別物なんですが」
「農家の人が美味しく食べれるように頑張ったんじゃないかなぁ」
「そうなのですか。……この麦を育てた方々に神の祝福が在らんことを!」
唐突に祈りだしたジャンヌちゃんを慌てて止めたが時すでに遅く、東北在住の農家の方々が無差別祝福を受けたと夕方のニュースで知ったのはまた後ほど改めて書くとして、
「ヘヘッも~らいっと!」
十文字君が人の重箱の卵焼きを摘まもうとしたところで、すさまじい悪寒が。
このままでは危険が……危ない!?
自分でも分からない衝動でテーブルに乗り上げて卵焼きを口の中に入れようとしていた十文字君の横っ面を蹴り飛ばす。
「グフォ!!!」
蹴り倒された十文字君よりも衝撃で飛んだ卵焼きはどこに……右斜め上空に飛んでいた卵焼きをキャッチしてテーブルから降りて、
「お騒がせしました」
と、周囲に一礼する。すかさず立ち上がった十文字君が、
「おい!小野麗尾!ひょっとしたら好物だったのかもしれないが、それにしてもこれはないだろ!」
と騒ぐのをスルーして、
「蛭子ちゃん、ひょっとしてこの卵焼きは……」
「はい、お義母様には申し訳ないのですが、やはり使い慣れた厨房で調理したかったので、食材と作り方だけ教えて頂いて、実家(あちら)の方で……」
セーフ……! 圧倒的セーフ……!
「実家(あちら)ってまさか……」
何かに気付いたのか戦慄した表情で俺の前の重箱を凝視する露理葉さん。
未だに喚いていた十文字君も神橋君に黄泉竈食の説明を聞いたのか徐々に落ち着いてきた。
「悪かったのは俺だし、これ以上言うのもアレだけど、小野麗尾はそれ食べて大丈夫なのか?」
「ああ、契約の時に向こうで3年間毎日3食食べていたし」
それを聞いた露理葉さんが、
「何でそれで大丈夫だし……」
と呟いた。
解せぬ。
そんな一幕があった物の、その後は落ち着いて食事を再開 ……したはずだったのだが。
「はい、ご主人様。あ~ん」
エインセルがこんな真似を始めて、
「はい旦那、あ~ん」
「旦那様、こちらもどうぞ。あ~ん、です」
それを見た黄泉大毘売命達が続き、
最後にはジャンヌちゃんも、
「マモルさ~ん。私が口を付けたスプーンで恐縮ですが、フーッフー、はい、あ~ん」
「おい、神橋。俺達は何を見せられているんだ……!?」
「十文字君は鈴鹿御前がいるじゃないですか、天使は基本性別が無いんですよ……」
「これは一寸許せねえよなぁ……パシャ(スマホで撮影した音」
「おい、何しようとしていやがる。見せもんじゃねーぞ」
「見世物何だよねー ……うわ、動画の再生数、ヤバッ!」
本当に何してくれているのか。不利益を被った場合、これをネタにして身体(ロウドウ)で返してもらおうか……
作中のオートミールレシピは適当男のアレンジ版です。
そこそこ食べれる物であるのですが、家族はオートミール嫌いなので布教すべく作中で公開。
別媒体で飯テロやろうとして不発だったので今話でリベンジ。
この話見て夜食食べる人が居たら感想頂けると作者の自己肯定感が満たされますので是非。