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「くそ……。」
俺は今瀕死状態だった。
不老不死である吸血鬼はこの状態でも死ねない。
楽にならないと一生この状態だ。
誰でもいい。とにかく血を飲まないと。
俺は適当に通行人を襲った。
そして首筋にガブりと噛み付く。
不味い。本当に最近の人間の血は不味かった。
しかしある程度まで吸ったら回復してくる。
もういいかと顔をあげるとそこには男が立っていた。
俺はゆっくりと目を合わせた。
彼は怯えた表情で後ずさりをする。
俺はこの一瞬で彼の目に吸い込まれてしまった。
走っている彼を上から見つけ、後をつける。
吸血鬼だから走るより飛んだ方が早い。
彼の家を特定した。
そうしてその日から彼をストーカーのように調べていった。
通勤場所やよく行くスーパー。
とにかくきっかけを作りたかった。
わざとスーパーでぶつかり彼と接触する。
そして後日夜に再び声をかけた。
彼は怯えていた。当たり前だ。
逃げようとした彼を催眠術で眠らせる。
パタリと俺の腕の中で眠る彼は本当に可愛かった。
そのままお姫様抱っこをして家まで飛んで帰る。
彼は軽すぎた。色々と心配になる。
そうして眠っている彼に布団をかけて起きるのを待った。
起きてから彼は恐怖で泣き出してしまった。
全部俺のせいだ。
申し訳なさでいっぱいになる。
でも俺は気持ちだけ伝えたかった。
ただそれだけ。伝えたら解放しようと思っていた。
彼は思った以上に優しかった。
こんな恐怖体験をしたのに黙って話を聞いてくれる。
ありがとう。そう思って彼を帰した。
帰る際彼は何か言いたそうな目をしていた。
でももう、これで良かったのだ。
散々ストーカーして監禁紛いの事をしたのに十分満足した。
もちろん数週間立っても彼を忘れる事なんて出来なかった。
色んな人の血を吸ってみたがほんとうに不味くて吐きそうだった。
またストーカーでもしようかなんて思ったりもした。
でも潔くもう彼には近付かない、そう決めたのだ。
しかし後日彼は自らこの家にやってきた。
心配だったと言われた時はどこまでお人好しなのだろうかと逆に心配した。
来てもいいか、そう聞かれてそんなものいいに決まっている。
彼の首筋には絶対に触れない。そう誓った。
俺は本当に彼が好きだと改めて思ったのだった。