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白山小梅
12
#借金
1,754
「一回が長いし激し過ぎるよ……」
「す、すみません。つい夢中になってしまいました」
申し訳なさそうに話すものの、瑠維は今も春香の中に身を沈めたままだった。
「春香さんの前だと余裕がなくなってしまうんです……本当にすみません」
しかし彼が出ようとしたのを止めたのは春香の方で、瑠維の腰に足を回すと自分の方へぎゅっと引き寄せる。
「は、春香さん……?」
「瑠維くんが可愛すぎるんだもん。離れたくなくなっちゃうよ……」
彼と繋がっているだけで幸せな気分になれる。だからこそ少しでも長く瑠維を自分の中に引き留めていたくなってしまった。
「あの、そろそろお風呂に行きますか?」
「……もう少し私の中にいて欲しいって言ったら、いてくれる?」
瑠維が頬を染めながら、困ったように口を結ぶ。
「春香さん、それは僕にとってはご褒美でしかありませんよ。でもシャワーを浴びたいと言ったのも春香さんですから、好きな方を選んでください」
そうやってすぐに私を甘やかすんだから……だからこんなに幸せな気分に浸れてしまう。
春香は足を離して瑠維を解放すると、彼は春香にキスをしながらゆっくりと外へと出てしまった。
それから瑠維は、残念そうにため息をついた春香の体を抱き上げ、浴室へと向かう。温かな湯気に包まれた浴室に春香を下ろすと、瑠維は曇ったメガネを外して洗濯機の上に置いた。
「やはり外で食べて正解でした」
「あはは。確かにそうかも。あのまま家に帰ったら、二日連続で夕飯にありつけなかった気がする」
春香の体を、ボディソープをのせた瑠維の手が優しく撫でていく。わざと敏感になっている部分を念入りに洗うので、足がガクガクと震えた。
春香も瑠維の筋肉質な体を両手で洗うのだが、彼の筋肉質な体に目も心を奪われ、それどころではなくなってしまう。
「瑠維くん、メガネがなくても見えるの?」
「ぼんやりとですが、一応見えてますよ」
お互いに体を洗い合うと、徐々に先ほどまでの身を焦がすような熱が戻ってくる。体には彼と繋がっていた時の感覚が残っていて、再び求めるように熱くなっていく。
シャワーで流してから、瑠維が先に浴槽の中に入る。ゆっくりと座って足を広げると、春香を誘うように両手を広げた。
春香は恥ずかしそうに俯きながら、右足からお湯に入り、瑠維に背を向けるように足の間に座ると、躊躇いがちにそっと彼の胸元に寄りかかった。
瑠維の胸は硬くて、春香の体をしっかりと受け止めてくれた。いつも覆い被さってくる瑠維の胸を下から触れることしか出来なかったが、こうして体を預けると、直接触れ合う肌から一層彼の逞しさを感じる。
よく考えてみれば学生時代は剣道部だったわけだし、瑠維が体を鍛えていないわけはないのだ。
それなのに制服に隠れていた部分を知らなかった春香は、瑠維は細身だと勝手に思い込んでいた。
そういえば瑠維くんが剣道をやっているところをちゃんと見たことってないかもーー今になってしまえば、どうして博之ではなくて瑠維を見なかったのだろうと悔やまれる。
とはいえあの時の春香の視界には博之しか目に入っていなかったから仕方ない。
春香は首だけくるりと回して瑠維を振り返る。
「瑠維くん、剣道はもうやめちゃったの?」
「本格的にやっていたのは高校までですね。今は友人の家の道場で時々練習させてもらっています。どうしてですか?」
「うん……瑠維くんが剣道しているところを見たことなかったなぁと思って」
「あぁ、確かにあの頃の春香さん、僕の方を一切見ていませんでしたからね。僕はずっと春香さんを見ていたのに」
「うっ、それは言わないで。今頃になって後悔してるんだから……」
「……では今度一緒に道場に行ってみますか? もう僕も高校の時ほど動けはしませんが」
「えっ、いいの? 行きたい!」
春香の反応に瑠維は驚いたように目を見開いたが、すぐに照れたように口角を上げた。
「春香さんが僕に興味を示してくれる日が来るなんて、夢みたいです」
「今は瑠維くんしか目に入ってないよ……」
振り返りながら呟いた春香は、突然瑠維に顎を引き寄せられ唇を塞がれた。舌が絡み合いながら、彼の指が春香の胸の頂を優しく弄るので、呼吸が乱れ、体に力が入らなくなる。
瑠維くんが相手だと、こんなにも自分を抑えられなくなってしまう。自分の中にこれほどの性欲が眠っていたことに驚きしかなかった。
程よい快楽の中で頭がぼんやりとしてきた頃、瑠維の手が止まり、そっと腰に回される。唇が離れ、瑠維の舌が春香の耳をなぞり始めた時だった。
「そういえば、今日春香さんのお店に鮎川さんが行きませんでしたか?」
その言葉を聞いた途端、春香の意識は現実に引き戻され、熱くなっていた体は緊張感に包まれた。