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りるら
334
𝒩𝑜𝒶 𑁍𓏸𓈒
151
シャルル・アント
64
汐梨
87
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ナルシソホテル一の大広間には大勢の男が集まっていた。そこにはルビーのショーを見に来ていた大物人物が何人も大広間に現れていた
どこから見てもこのレセプション会場のような大広間に、今や200人を超える黒のスーツに身を包んだ、男達が集まっているのは圧巻だった
やがて会場のライトは薄暗くなり、自動カーテンがすべての窓を覆い、あちこちで幻想的なキャンドルが灯され始めると、まるで夜のどこかの教会のミサさながらだった
そこにはジャスティンもいた、ブラックのシルクのシャツに、ブラックの皮のスキニーパンツ、そしてブラックの皮のドレスブーツに身を包み、前のボタンを第二ボタンまで開けている、今日のこのセレモニーの主役の彼は髪型もキチンと整えられ、若く、勇ましく、とても美しかった
部屋のあちこちでジャスティンをもう見知った男達は、新しくチャックの組織に入る彼の両肩に手を置き、しゃがれた声で祝福の言葉を述べる
暫くして・・・とある一つの集団が部屋の中に入って来た
ジャスティンは心臓が高鳴った、ここで初めて噂に見聞きしていた、憧れの強大で神秘的で、手が届かないように思えていたこの世界を動かしている幹部団を、実際に目の当たりにした
彼らはどこからともなく現れ、まるでそこにいないかのように気配を消し、そっと新しい仲間が入るのを見届けていた・・・
いや・・・もしかしたら、どんな人間が自分達の兄弟になるのかを見定めらているような雰囲気も持っていた
次第にジャスティンの額にも緊張の汗が滲んで来ていた、中にはルビーのショーを見るためにこのホテルにとどまっていたのは表向きで、今日のためにチャックに呼びつけられている者もいるだろう
とにかく、今世界中から黒装束のおよそ200人の男達は、人目を避けて街に入り、この儀式のためだけに、そしてある人物のためだけにここに結集していた
ジャスティンはギュッ・・・と拳を握りしめた
.。 .:・.。. .。.:・
真ん中上座のスペースだけを開け、円を描くように並べられた椅子に、幹部団が全員座り、じっと何かが始まるのを待っていた
コンチネンタルファミリーのメンバーが祭壇のような白いテーブルクロスに道具を置き、準備を整えている、この時点で飲み物を配っていたウェイターや客室係などの部外者は、一人残らず部屋を退場した
今夜はジャスティンをはじめ、新人三人が今日の儀式を受けることになっており、正面の机には白いクロスに巻かれたテーブル三席が用意され、それぞれの場所に右からキャンドルと聖杯、ダイヤが埋め込まれた短剣、そして一番右端にはコンチネンタルファミリーの象徴「赤い薔薇」の紋章が刻まれた、「四十五口径のコルト」が置かれていた
やがて、チャックコンチネンタルが部下と共に大広間に入って来た、途端に辺りは水を打ったように沈黙が広がった
チャック自体は迷信深い人間ではなかったが、コンチネンタル配下の中には、迷信深く、信仰深い者が多いのでいつの頃か新人を新しく仲間に入れる時は、儀式的な物を中心に行うことになっていた
信仰深い彼らは、新人の人数は奇数人数でなければいけないと主張する、なぜなら偶数だと組織をパッカリ割ることが出来る恐れがあり、互いにいがみ合っても、もう一人が必ず橋渡しをするという意味で、新しく組織に入る新人は必ず奇数年の奇数人で儀式をおこなわなければならない
数人の幹部がチャックコンチネンタルの前に進んで膝を覆って頭を垂れてから・・・三人の新人の数を数えて好ましそうにコクコクと頷いた
儀式が始まり、三個の机の前に膝間づいているうちの二人の、隠しきれない不安を背負っている若者に、チャックは少し物語を聞かせた
これは人生のただの1ページに過ぎず、常に己が何者であるかを自覚し、恐怖を否定するのは愚か者だと言い、そしてまた危険を甘く見るのも愚かな事だと唱えた
チャックは今日の良き日に、堂々たる態度で聖杯をかざし、飲み物を持っていた男達も全員かざした
「コンチネンタルの守護聖人の諸君、ここに居並ぶ名誉ある若者達も、またコンチネンタルの「家族・ファミリー」だ、我々の仲間に入ることを望むのなら、ぜひ諸君達にもそのように生まれ変わってもらいたい」
ジャスティンはこの新しく組織に入る新人隊長として一歩前に出た
この儀式をたかが区役所などでの書類更新みたいな形式なものだとは、ここにいる暗黒の聖人達は、誰一人としてとらえていない
血の契りは一度結ぶと死ぬまで逃れられない・・・「チャックコンチネンタル」は社会の表向きの顔はこのホテルのカジノの胴元締めだが、真の顔はここにいる暗黒界の同胞のゴッドファーザーであり、彼の権威はこのアメリカ中で絶対的である
そんなチャックの後ろに守護神のように左右に控えているのは、名前を改名し、自らが親の名前を名乗っている「フレッド・コンチネンタル福首領」マイアミ・ナルシソカジノ胴元「ジョセフ・コンチネンタル」チャックの顧問弁護士の「マイケル・ジェラード・コンチネンタル」がじっと佇み・・・この光景を見守っていた
「我々の仲間に加わるにあたって・・・」
チャックが静かに言った
「これは法などでは縛られない、人間の尊厳と、名誉の儀式である――ジャスティンアレン!前へ!」
「ハイ!」
ジャスティンが返事をして立ち上がった、途端に会場中から刺すような視線を一斉に浴びて体が緊張する、その気配は凄まじく、今や彼は冷や汗が止まらない、この自分がおじけづくなんてと心の中で思った
「我の前へ」
チャックがよく響く声で呼んだ
「汝は古くから続く、沈黙の掟オメルタの伝統を守り、この社会の秘密を決して漏らさぬことを誓うか?」
「Yes・Father(ハイ父よ)」
「汝は我が同胞や友を裏切らず、女房よりも母親よりも、子供達よりも、この魂の父を愛し、命令に従うと誓うか?」
「「Yes・Father(ハイ父よ)」」
「そして召喚されたらファミリーのために生死をかけて戦い、裏切ったものは死をもって償うと誓うか?」
「「Yes・Father(ハイ父よ)」」
「汝に名誉の武器を授け、敬愛すべき守護聖人と共に戦う資格を授ける・・・これよりのち、我に従い来よ」
「「Yes・Father(ハイ父よ)・・・」
チャックは恋人にするように恭しく、目の前のテーブルに膝間づいているジャスティンの左手を取り、人差し指を伸ばさせた、そして目の前のダイヤが組み込まれた短剣を手に取りジャスティンの銃の引き金を引く人差し指に、浅い切り傷を入れた
ジャスティンは微動だにせず・・・その様子をじっと伺った、チャックは刻んだ人差し指を優しく包み、傷の部分に圧迫をかけ、一滴二滴と、真っ赤な血液をコンチネンタルファミリーだけが所持する事を許される、赤い薔薇の紋章が入った「拳銃・コルト四十五口径」に滴らせた
そして最後にジャスティンの頭を大切に持ち上げ、司祭のようにキスをした、これで儀式は完了した
そしてチャックは他の新人の二人にも同じ誓いの宣言をさせ、同じ儀式を行った、ジャスティンの背中は汗だくになった
「聖なる資格ある者達に!諸君!祝福を与えてくれ」
室内の自動カーテンが開けられ、照明が煌々と灯された、ふとジャスティンが入り口に結集していた幹部団の方を見ると、そこにはもう誰もいなかった
ジャスティンは幻を見た感じだった・・・いつか自分が幹部の誰かと話をする時がくるのだろうかと思うと少し怖かった
そしてチャックもいなかった、そこから室内は一気に、にぎやかな祝賀の雰囲気に包まれた、シャンパンのコルクが抜かれ、新しいメンバーに次々と祝辞とハグが送られた
ジャスティンも最後は誰が誰かわからぬままハグされたり、背中をバンバン叩かれたりした、あちこちで談笑が起こり、新人はペコペコ米つきバッタのように、お辞儀をして回っている
そしてジャスティンは、シャンパンを飲みながら窓に近づき・・・外を見た
そんな大広間の外では、先ほどの闇の儀式などまったく知らない観光客達が、夕日に照らされ、野外のプールで大勢遊んでいた
ジャスティンは、プールサイドのバーカウンターで楽しそうに笑っているルビーと竜馬を、長い時間見つめていた
そしてジャスティンの視線に気づいたルビーがカクテルを彼にかざし、口パクで「おめでとう」と言った
竜馬はカウンターで他の客を相手に、素敵な笑顔でシェーカーを振っていた
ジャスティンも眉を片眉をあげ「ありがとう」とシャンパンをルビーにかざした
魅惑に微笑むルビーの胸の谷間には、コンチネンタルファミリーの象徴、赤い薔薇のタトゥーが刻まれていた・・・
これで竜馬と心の溝が出来た・・・
ジャスティンはどことなくこれまでとは違う自分になった気がした
コメント
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第166話、読みました!いよいよジャスティンがコンチネンタルファミリーに入る儀式…ものすごく荘厳で緊張感がありましたね。短剣で指を切り、血を拳銃に滴らせるシーンは映像が目に浮かぶようでゾクゾクしました。そして窓越しに見えた無邪気なルビーと竜馬…胸の薔薇のタトゥーがまた意味深で。ここから竜馬との間に溝ができる伏線にもドキドキします。続きが気になる!