テラーノベル
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なかなか成果の出ない施設での視察中
私は、天使を見つけた。
整備されていない雑多な中庭の中で、陽光を受けて金色に輝く天使は、小さな体を屈めて小さな花を摘んでいた。
「あの子は…?」と問うと、職員は計画で集められた子供の一人で最年少であり、幼過ぎるためデータも取っていないと答えた。
「…いい……絶対、私のコレクションに加えたい。」
想像するだけでうっとりとしてしまう。
コレクションルームに置いているあの彫刻の隣にいるだけで、飾っているあの絵画の前で佇むだけで、ただそこに居るだけで全ての作品を完璧なモノに昇華しうる私だけの天使コレクション…
今すぐ欲しくて通路から外れて中庭に足を踏み入れると、こちらに気が付いた天使は驚いたように目を丸くさせて私を凝視している。
黒く大きな艶々とした瞳が私だけを映し出しており、そんな美しい光景に笑みが溢れると、天使は持っていた小さな花を落として「だ、だれ…ですか…?」と声をかけて来た。
鈴を転がすような声が雑草だらけの中庭に響き、私の鼓膜を擽ぐる…欲しいと言う感情は強くなるばかりだ
「私は、麻樹…ここの施設の所長とお友達なんだ。」
「あさき、さん…?」
「そう…君は、シンくんだね?」
「うん…」
優しく話しかけても不安そうにして居るのは、職員以外の人間をあまり見たことがないからだろう…モジモジと手を擦り合わせている姿は愛くるしく、愛でたくなる。
何か興味を引くものさえ与えればすぐに懐いてくれそうだ…残念な事に子供が喜びそうなお菓子やおもちゃはない
どうしようかと考えていると、天使はチラチラと私の袖口を見ている事に気がついた。
そこについているのは宝石があしらわれたカフスだ、陽光が反射して光っているのが気になるらしい
「気になるかい?」
「え…ぁ……うん、キラキラ、きれー…」
「可愛いね…そうだ、コレを君にあげよう。」
「いいの?」
「あぁ、お近づきの印にね…私がつけてあげよう、さぁ……こっちにおいで。」
胸元のボタンに通そうと手を伸ばした時
「やめろっ!!」
通路脇から声が上がり、走り寄る足音が聞こえて来た。
見れば、そこに居たのは【弟】の憬だった。
血相を変えて私と天使の間に入ると、私を睨み付け「この子に何をするつもりだ。」と……生意気に意見をして来た。
「このカフスをあげようとしただけじゃないか…そんなに怒ることではないだろ?」
「ケー…くん……?」
「……こっちにおいで。部屋に戻ろう。」
天使を抱き上げて走り去って行く憬、私は背中越しにコチラを見ている天使に向かって手を振る。
小さな手がヒラヒラと振り返した。
欲しい、欲しくなってしまうじゃないか…お前がそんなに必死になって守るモノは、さぞ大切なモノなのだろう?
確かに、その気持ちも分かる……美しく無垢なモノほど綺麗なまま留めておきたくなる。
自分だけのモノにしたくなる。
だが、独り占めは良く無いよ。
***
憬の腕に抱かれ、シンは恐る恐る「ケーくん…?」と名前を呼んだ。
いつも優しいお兄ちゃん。なのに、今はピリピリと殺気立っていて話しかけるのも恐ろしい…勇気を出して声を掛けたにも関わらず、憬はシンの呼び掛けに気付いていないのか、早足で部屋に入るとベッドにシンを下ろしガッと肩を掴んだ。
その力の強さにシンはビクッと身体を震わせる。
「なんで、部屋から出たんだ…シン!」
【シンは一人で部屋から出てはいけない。】そう言われ続けているにも関わらず、一人で出歩いて麻樹に出会ってしまった。
すぐに怒られているのだと分かったシンは、泣きそうな顔で憬を見つめ「ごめんなさい…」と謝った。
少し外に遊びに行っただけで何故こんなにも怒るのか…幼いシンには分からなかったが【大好きなケーくんを怒らせてしまった。】と言う罪悪感でシンは憬に謝る。
いつもなら「もう、こんな事したらダメだよ。」と許してくれる憬が…今日はそうもいかなかった。
「部屋からでちゃいけないって…約束したじゃ無いか!」必死な形相で責める憬に、シンはただ「ごめんなさい…ごめんなさい…」と謝ることしかできなかった。
本当は、最近ずっとピリピリしている姉や兄に花を上げたかっただけ…少しでも「きれいだね。」と言って笑って欲しかっただけだった。
しかし、四歳になったばかりのシンにはまだそれを伝えるだけの言葉がなく「ごめんなさい。」しか言えない。
憬もそれを汲み取る余裕がないのか「なぜ、勝手に部屋を出たんだ!」と責め立てるようにしか言えず…とうとうシンはポロポロと涙を流ししゃくり上げることしかできなくなってしまっていた。
「ひっく……ご、ごえんりゃしゃぃ…っ!」
「シン、謝るんじゃなくて、なんで部屋を出たのか聞いてるんだよ。」
「ちょっと、憬!なにやってるのよ!!」
それを止めたのは、訓練から帰ってきた熊埜御と楽だった。
二人ともガーゼや湿布を貼ったボロボロな状態ではあったが、部屋に入った瞬間の異様な雰囲気と泣いているシンにすぐに気が付き、責め立てる憬を熊埜御が抑え、泣いているシンを楽が慰めていた。
憬もやっと自分がシンを威圧していた事に気が付き、少しバツの悪い顔をした後、直ぐに「シン、ごめん…泣かせるつもりじゃなかったんだ。ごめん。」と膝を着き、謝罪する。
憬の常軌を逸した態度に熊埜御も楽も顔を見合わせ、一体なにがあったのかと問うと、憬は苦虫を噛み潰したように顔を歪め「シンが麻樹に見つかった。」と答えた。
その名を聞いた瞬間、熊埜御は言葉を失い…楽は泣いているシンを強く抱きしめた。
「がっくん?」
「シン、アイツと会ったの?なにかされた?」
「お花、みんなにね…お花とってたら…アサキさんがキラキラくれるっていったの。」
「シンはお花がほしくって外に出たの?だったら私か楽に言ってくれたら良かったのに…」
「ちがうの!シンくんがみんなにお花あげたかったの!!」
「……オレたちに花を渡したかったから部屋から出たのか?」
「うん……シンくんだけずっとお部屋で…みんなケガいっぱいだから、お花あげたかったの」
やっと伝えることができた理由に憬は頭を掻き、熊埜御はシンの元へ近付くと優しく手を握った。
それは姉が弟に約束をさせる体制で、シンも何か言われるのだろうと待っていると「いい?シン…」と熊埜御は真剣な眼差しで語り掛けた。
「あの男とはもう会っちゃダメ…もし出会ったら、走ってお部屋まで逃げて…お願い。」
「アサキさんは、わるいヒトなの?」
「そう、すごく悪いヤツ…みんなのケガがいっぱいなのは、全部アイツのせい。」
それを聞いたシンは「アサキ、わるいヤツ!くぅねぇねもがっくんも…ケーくんもハルくんも、いっぱいいたいのに!」と、話を理解してくれたようだった。
それを見ていた憬も(あの男の危険性が伝わって良かった。)と安堵していると、ベッドから降りたシンが申し訳なさそうに憬の手を握ってきた。
「ケーくん…わるいヤツからたすけてくれて、ありがと」
「……うん、シンが酷いことされる前でよかった。」
先程までの険悪な雰囲気が消え、熊埜御も楽も安堵しているとハルマと宇田も部屋に戻ってきた。
その日の夜
シンと楽が寝静まった頃…起き出していた憬とハルマと熊埜御は、いかにして麻樹からシンを守ろうかと話し合っていた。
会ってしまったのなら、あの男は必ずシンを気に入る筈である…誰かが側にいれば接触は回避できるが、今回のように勝手に外にでて行かれてはなにもできない
「やっぱり、外からかけられる鍵を…」
「憬、流石にそれはダメだよ…それに、そんなことをしたらシンが私たちに不信感を抱くかもしれない。」
「でも、そうでもしないと…」
「今まで通り、訓練の隙を見て抜け出すしかないんじゃないかな…できるだけ俺が付いておくようにするよ」
「ハルマはもうダメだよ、シンがケガのことを気にし始めてる……ハルマはただでさえよくシンの様子見てくれてるからアイツらに折檻受けてるのに…」
「体が丈夫なのが俺の取り柄だから、気にしなくって大丈夫だよ。」
「ダメだ、ケガが増えればますますシンは僕らに何かしてあげようとする子だ…だから、ハルマがケガを増やすのも得策ではない。」
「……合図を送り合って目を引くようにして抜け出せる状況作ろう。今はそれしかないよ。」
施設にいることで身動きのできないもどかしさに、三人は眉を寄せる。
自分たちの境遇を嘆くことしかできない今の現状に、憬は頭を抱える…早く、早く大人になって…みんなをここから救い出さなければ…──
無力で何もできない自分が苛立たしかった。
***
『お部屋から出ちゃダメだよ?』
いつも通りそう言い残して、シン以外の全員は部屋から出ていく。
静かな部屋…シンは、この時間が大っ嫌いだった。
みんなが帰ってくるまでずっと一人……大好きなクマのぬいぐるみといっぱいお話をしても、大きな画用紙にいっぱい落書きをしても
……──シンくんはひとりぼっち。だったからだ。
職員はシンに気がついても【用無し】で誰も声をかけてこない…まるで、居ないもののように扱われていた毎日…──こっそりと外に出て見つからないように過ごしていたあの日、声を掛けてきてくれた人
姉や兄ではない人に声を掛けられ、嬉しかったのに…その人は【悪いヒト】だったことが悲しかった。
(アサキはわるいヤツ…アサキはわるいヤツ…)
シンが一人で画用紙にクレヨンで落書きをしていると、とつぜん部屋のノブがガチャッ!と音を立てドアが開いた。
職員達でさえ立ち入らない部屋のドアを開けたのは、【悪いヒト】と教えられた麻樹だった。
そんな状況に、シンはどうしていいか分からなくなった。
【麻樹に会ってはいけない】【麻樹に会ったら走って部屋に逃げる】それの全てが、部屋のドアを開けられたことによって無効になってしまい……シンはぬいぐるみを持ったまま固まってしまった。
「やぁ、シンくん…また会えたね。」
「ぁ…ぅ……」
「この前渡せなかったカフスをあげようと思ってね……さぁ、おいで。つけてあげよう。」
麻樹は片膝をつきしゃがみ込むとシンを手招くが、シンは固まったままギッと麻樹を睨み付けて動かない……それを見た麻樹は(ガキどもに何か吹き込まれたか。)と察し、膝についた埃を払いながら立ち上がるとシンの目の前に立った。
大人から見下ろされ、恐怖で小さく震えている。
それでも威嚇するようにプクッと膨らませたピンク色の頬を見て、麻樹は哀れな姿のシンに嘲笑した。
「なにか、言いたいことでもあるのかな?」
「お、おまえのせーで…みんなケガいっぱいするってゆってた!おまえなんかだいっきらい!!」
シンが麻樹に向かって声を上げた瞬間…クマのぬいぐるみに麻樹の足がめり込んだ
クマのぬいぐるみを抱えていたシンの小さな体は、その足に蹴り上げられ…ポン!とボールのように軽く跳ね上がり、壁に勢いよくぶつかるとシンは衝撃で朝食を吐き戻した。
今まで受けたことのない大人からの容赦ない暴力に訳がわからず呆然としていたシンだったが、次第に侵食していく身体中の痛みに「うぇ”え”ええんっ!!」と声を上げて泣くと麻樹に胸ぐらを掴み上げられ、バチンッ!と頬を叩かれた。
「躾がなってない。」
「い”だぃい”い”っ!うぇえん!!ね”ぇね”ーっ!!に”ぃに”ーっ!!」
「うるさい。」
泣けば泣くほど頬を強く叩かれて、それでも声を上げて泣くシンに、麻樹はため息を吐きシンの腹を殴った。
頬を叩かれる以上の鈍い痛みに「ぅぐ、うっ…!!げほっ!!」と呻くと、再び吐き戻し…胸ぐらを掴まれたまま麻樹の目線まで引き上げられていく恐怖に震えた。
殺し屋からの殺気と暴力に、失禁をしたシンに対し「汚い…」と声を掛けると、ハンカチで汚れたシンの口元を拭き取った。
「全く、生き物を飼うのは大変だ。」
「けほっ、ぅぎ…くぅね”ぇ”ね…ッ…がく、くん……っ!!」
「キミは本当にあのガキどもの弟なのかい?ん〜……一体なにが違うんだろうか、子供如きに今までこんなに面白いものを隠されていたなんて…心外だなぁ」
蹴っても叩いても泣き喚かない熊埜御と楽
対して、光り物に簡単に目を輝かせたり、少し小突いただけで大泣きするシン…やはり反応が返ってくるだけでも印象が変わるのだな、そう思うと麻樹はシンの小さな小指の爪を摘み……ゆっくりと柔らかく小さな爪を引き剥がした。
「い”だぃ!い”たぃ”いっ!やめ”て!!いたいっ!やだぁあっ!!ぅえぇええんっ!!」
「うん、やっぱり………よし!飼おう!!こういうのは勢いが肝心だからね。キミを飾る部屋は作ったんだ、直ぐに上等な部屋に移してあげるよ。」
血が滴る剥いだばかりの小さな小指の爪をピン!と弾き床に捨てると、麻樹は泣きながら謝り続ける小さなシンの身体を引き摺り、部屋を出ていく。
最後の抵抗とばかりにシンは部屋のドアノブになんとかしがみ付いたが、引き剥がされ……ドアを閉めるだけしかできなかった。
***
「シン、いい子にしてた?」
憬とハルマが職員の気を引き、熊埜御はこっそりと部屋に戻ってきていた。もう少しすれば楽も合流する予定だ
昨日の事もあり、きっと不安な思いをしているだろうと末弟を心配した姉は、喜ばせようと職員の休憩室からお菓子をくすねて来ていた。
シンが大好きなチョコクッキーとジャムがのったクッキーだ…それを美味しそうに頬張る姿を想像し、そっと部屋のドアを開けた瞬間…──熊埜御は持っていたクッキーを落とした。
シンの姿がない………そこに広がっているのは、踏み潰されたクレヨンとお絵描き途中の画用紙、お気に入りのクマのぬいぐるみには大きな革靴の跡があり、壁際の嘔吐物と微かな尿の臭い、床に落ちた白と赤の小さな異物に気が付き…それを手に取った。
「し、ん…?」
その小さなモノが子供の爪で有ると理解する事に時間がかかってしまった。
明らかに無理やり剥がされたと思えるソレに、熊埜御の身体中の血液が冷え切っていく…探さなければ、と振り向いた時…──熊埜御はその場に座り込んだ。
そこには、恐ろしい殺気を纏った憬が立っていた。
「け、ぃ…どうしよう…シン、が…っ!シンがいないっ!!」
やっと話ことができた熊埜御は取り乱し、震える膝を立たせ部屋を出ていくと「シン!!」と名前を叫び、施設中を走り回った。
いなくなってから時間は経っていないはずだと…希望を抱いて……
「ケイ…これ、どういうこと…っ!?」
熊埜御が出て行って直ぐ、部屋へと戻って来た楽も室内の惨状を見て殺気を纏わせる。部屋の外からは熊埜御のシンを呼ぶ声だけがしていた。
「ダメだ。」
「……ケイ?」
「ダメだ…ダメなんだよ…僕のだ…シンは……ダメだ。」
「ダメ」としか言わなくなった憬に楽は眉を寄せたが、シンを探すために部屋から出て行った。
一人残された憬は、フラフラと踏まれた画用紙、ボロボロになったぬいぐるみ、剥がされた爪を回収し…冷たくなった嘔吐物に触れた。
寒いお部屋。
シンくんはペットだから、お洋服はいらないってアサキ様が言ってた。
だから、シンくんの首には首輪が付いてる。
お腹がすいてるけど、チョーコクの横に座ってアサキ様を待っている。
ごはんは一日二回、でも、ときどき何日もない時がある。そういう日はお腹がシクシクするからずっと寝てる。
変なお部屋にきてどのくらいたったか、よく分からない。
「くぅねぇね、がっくん……」
どうしてもさみしい時にお姉ちゃんとお兄ちゃんの名前をゆうとさみしくなくなる。
いい子いい子してくれるねぇねもがっくんもいないけど…でも、きっとおむかえに来てくれるから…。
「ハルくん……ケーくん……」
かなしくて泣きそうな時は、強くてカッコいいお兄ちゃんたちの名前をゆう。そうしたら、強くなった気分になれる。
今日は、ごはんあるのかな………しずかにしているとアサキ様の足音がした。よかった。ごはんの時間だ。
「すまなかったね、餌のことをすっかり忘れていたよ…さぁ、お腹が空いただろ?」
アサキ様がくれたのは、あたたかくて、おいしそうなおかゆ。
本当はもっといっぱい食べたいけど…お腹がシクシクいたいから、ゆっくりたべた。
「そろそろ首輪も新調しないといけないね、次は赤色にしようか。プレートも金色にして…」
アサキ様はそういって、シンくんの首輪をなでた。
よかった。今日のアサキ様はやさしい。
「さぁ、シン……行こうか。」
アサキ様はシンくんの首輪のジャラジャラをはずしてベッドにつれていってくれる。
ヒラヒラが天井についた大きなベッドに寝っころがる…あたたかくてフワフワのベッド寒くないからスキ。
アサキ様は「綺麗だね。」っていいながら、シンくんをギュッてする。ほんとうは…アサキ様にギュッてされるのスキじゃない。
でも、キライっていうとごはんをもらえなくなるから、アサキ様のことをギュッてする。きもちいいことをいっぱいして、いい子ってゆってもらわないといけない。
「あ、ン…んんっ…はァ…っ」
「私に会えたのがそんなに嬉しいのか?シン。」
「ぅん…あさき、さまに…あえなくて…ッ、さみし、かった…」
「可愛いことを言ってくれるね…最近、殺連でのゴタゴタが面倒でね……とても疲れているんだよ。」
「アサキ様…かわいそぅ…いっぱい、がんばってる…っ!のに…!ァあ、んぅうっ」
「私を労ってくれるのはシンだけだよ。」
「いいこ、いいこ…んっ、あぁんっ!」
ゆっくりゆっくり、シンくんの中で動いてるのをギュッてする。なんかいもなんかいも…ズクズクなかでグルグル、グチュグチュなってる、だんだん体があつくなってくる。
ドロドロのあついのがお腹の中にじくじく広がっていく。
ぽかぽかあたたかくなった体、でも…かなしくなるのがわからない……寒くて、かなしい。いやだ。
シンくんが泣いてると、アサキ様はシンくんからはなれてジャラジャラをひっぱった。
「あ、あさき…さま…?」
「この保管庫は冷えるな…部屋を移ろう。」
「は、ぃ…」
ペタペタつめたい廊下を歩く…おしりからあついのがドロドロ出てきてきもちがわるい。
とってもつかれてるけど、アサキ様の後についていく…もうたたかれるのもなぐられるのはイヤだから。
(みんなに会いたい。お家にかえりたい…。)
アサキ様におねがいしてみても「ダメだよ。」ってゆわれる。
ねぇねも…にぃにも…
だれもおむかえにきてくれない。
でも、いい子にしていれば……きっと……きっと……
だから。
シンくんは、ずっといい子でまってる…
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