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あの屋上での一件以来
天馬くんとの距離は確実に縮まっている気がした
昼休みは当たり前のように一緒に屋上へ行くし
時には彼が僕の席まで迎えに来てくれることもあった
「水瀬、メシ行こーぜ」
そんな風に気軽に声をかけてくれる彼の存在が、少しずつ僕の中での“当たり前”になりつつあった
◆◇◆◇
放課後───
今日は天馬くんと、美術用品を扱う雑貨店に行くことになった。
「水瀬、行こーぜ」
僕が荷物をまとめ終えるより先に
天馬くんが席まで迎えに来た
「う、うん……っ」
思わず挙動不審になりつつも、できるだけ平静を装って返事をする。
「今日行きたいとこってさ、最近オープンした新しいとこだろ?俺まだ行ったことないんだよなー」
「うん、僕も。だから…せっかくだから、一緒に見たいなと思って…」
「楽しみだな」
彼は楽しそうに語りながら、当然のように僕の隣を歩き始めた。
(うぅ…やっぱりまだ慣れなくて緊張するな……)
周囲の視線を感じてしまう自分に辟易しながらも
同時に、心地よい温かさのようなものも確かにあった
校門を出てしばらく歩き、商店街の一角にある雑貨店『ARTIST’S CABINET』に到着した。
扉を開けると微かに漂うインクと木材の匂い
店内は様々な画材や額縁、文房具などが整然と並べられていた
「すげー品揃えいいじゃん」
天馬くんは好奇心旺盛な子供のように、ショーケースを眺めながら感嘆の声を漏らす。
僕も自然と目が冴える。
(どれも素敵だなぁ……)
ふと足を止めてしまったスケッチブックのコーナー
その中の一冊に目が留まる
厚手のクリーム色の紙が使われており
表紙には月桂樹の模様がレタープレスで刻印されていた。
「それ気になる?」
突然隣から天馬くんの声が聞こえて驚く。
「あっ……うん…描きやすそうで……」
「へぇ……センスいいな」
彼は興味津々といった様子で覗き込む。
「それ一緒に買わね?おそろっちでいいじゃん」
「う、うん……!」
なぜか頬が熱くなる
(…本当に天馬くん明るいな……)
そう思いつつも、彼の笑顔につられて同じ商品を手に取っていた。
次にペン類のコーナーへ移動する
ガラスペンや万年筆、色彩豊かな色鉛筆などがあり
どれも魅力的だった。
特に目を引いたのは淡いブルーが美しいガラスペン。
先端が細くしなやかで、光を反射して神秘的な輝きを放っている。
(これ使ってみたいかも……)
内心で呟きながら商品棚を見つめていたら、横から天馬くんがひょいと一本手に取った。
「これなんかどう?」
#シリアス
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