テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
6月の夢路
夜の教室は静かだった。
窓の外には、星が一つずつ瞬き始めている。
6人は一列に並び、目の前の空間を見つめていた。
その空間に、淡く揺れる光の文字が浮かび上がった。
かすかに震え、ぼやけながらも、次第に形を成していく。
――「Akira」
誰もが、その名前を見た瞬間に、息を呑んだ。
胸の奥が熱くなり、涙が溢れた。
それはただの名前ではなかった。
6人の記憶の中心にあった、“失われた存在そのもの”だった。
broooockが震える声で言った。
「Akira……お前は、ずっと俺たちのそばにいたんだな」
nakamuが顔を上げ、強くうなずいた。
「名前を忘れても、存在は消えなかった」
シャークんは静かに拳を握りしめ、こう続けた。
「忘れることで守ろうとしたけど、本当は守れてなかった」
きんときの瞳に、深い悲しみと同時に決意が宿る。
「これからは、絶対に忘れない」
スマイルは優しく微笑みながら言った。
「Akiraがここにいることを、みんなに伝えよう」
きりやんは冷静に言葉を締めくくった。
「この名前を取り戻すことが、俺たちの旅の本当の意味だ」
名前が光となって消えたあと、6人の胸の中に確かな温もりが満ちた。
忘れていた記憶がゆっくりと戻り始める。
声。笑顔。仕草。すべてが次第に鮮明になっていく。
Akiraは、ただの過去の影ではなかった。
6人の絆の核であり、旅の始まりそのものだった。
「さあ、行こう」
broooockが振り返り、6人に呼びかけた。
「Akiraを、もう一度連れて帰るために」
その言葉に全員が頷き、ゆっくりと歩き出した。
光が彼らの背中を押し、未来へと続く道を照らし出していた。
つづくーーーーーーーーーーーーーーーー