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〜宮城リョータside 〜
「花道がいないから…なんか静かだなー。」
休憩中、隣で水分補給をしていた三井さんがつぶやいた。
初のインターハイは、ベスト16で終わった。
受験に向け、ダンナと木暮さん引退、花道は山王戦の背中の怪我のため、入院中で、湘北バスケ部の人数はグッと減った。
「アイツも、いないならいないで、なんか寂しいもんですね。」
「流川ー、桜木がいなくてどんな気分だー?」
三井さんが興味本位で流川に聞く。
「…邪魔してくる奴がいなくて、集中できる。」
そう言って、ジャンプシュートをする。
「相変わらずだな…。」
スポッ
放ったボールはリングを掠ることもなく、ネットに吸い込まれていく。
「お前こそ、キャプテンになってどうなんだ、宮城?」
三井さんは休憩時間を伸ばそうとしているのか、すっかりおしゃべりムードになってしまった。
「まぁ、大変っすよ。ダンナは今までどうしてたんだろー?冬の選抜も乗り切れるか不安っす。…目の上のタンコブもいるし。」
「誰のことだ?」
「アンタのことだよ、三井さん!」
「ははーん、チームの即戦力がいてよかったな。」
「はいはい。もう休憩終わりっ!次、コート半分に分けて3on3な!」
俺の声を聞いた部員たちが、それぞれ配置につき、試合を始める。
俺はメガホンをとってプレイヤーに注意をする。
冬の選抜…、スタメンはダンナの抜けた分はどうするんだ?
花道をゴール下に固定させるか?
じゃあその花道のポジションは?
そもそも、花道の怪我の治りが遅くて、選抜までに間に合わなかったら…?
コートを見渡し、代わりになれるメンバーを探す。
もともとベンチが弱いとされる湘北で、次のスタメンを決めるのは難しいことだった。
身長でもパワーの面でも、花道や流川ぐらいのやつはいない。
そもそも、168cmの俺がコートに立っている時点で、チームにとっては穴になる。
翔陽のようなチームに立ち向かえないようじゃだめだ。
…俺の代になってやっと、湘北の弱点が浮き彫りになってきた。
キャプテンの俺がカバーしなくちゃ。