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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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〜寮〜

チュンチュン

芥川(…ん?何故だか良い匂いと話し声が…)


そこには朝ご飯と鏡花、銀の姿があった。


鏡花「お早う御座います」


〜事務所 〜


芥川「…中原さん、せめて一言お願いします。 」

中原「はは…すまねぇな。部屋が足りてなくてよ…寮で3人は狭いだろ。なんとか打開策は練っとくから暫くは監視も兼ねて一緒にいてくれねぇか?あと家賃も折半になるしよ。」

芥川「はい…わかりました。」

国木田「おい、中原。早くマフィアに囚われた件の報告書を出せ。」

中原「あぁ、すまねぇ。ついでに芥川に報告書の書き方教えてやるよ。お前にも関わるしな。」

国木田「どういうことだ?」

中原「芥川に懸賞金を懸けた黒幕の話だよ。」

芥川「判ったのですか?」

中原「マフィアの通信記録にると支出者は〝組合ギルド〟と呼ばれる北米異能集団の団長だ。」

国木田「実在するのか?組合は都市伝説のたぐいだぞ。構成員は財政界や軍閥の要職を担う一方で裏では膨大な資金力と異能力の数多あまたはかりごとを底巧む秘密結社…まるで三文小説の悪玉だ。第一そんな連中が何故芥川を?」

中原「直接訊くしかないな。逢うのは難しいだろうがうまく相手の裏をかけば…」「バッた、大変です!」

ゴォゴォゴォ

中原「 !ガラガラ」

バババババッガシャッ

フランシス「カンカンカンカン」

ザッ

フランシス「ニッ」

中原「チッ先手を取られたな。」


ヘリから降り、会社へ入ってくる。一人の男と赤毛の少女、その中央に金髪の男性が立っている。


フランシス「ドン会えてとても嬉しいよ。プレジデント・フクナ…フクダ…」

福沢「福沢」

フランシス「パチンッそれだ。ところでヘリを道路に停めさせたのがまずかったかね?何しろヘリポートの無い会社を訪ねるのが初めてでね。」

福沢「外国とつくにの方が遠路遥々ご足労でしたな。して用件は」

ナオミ「カチャッ」

フランシス「ヒョイッほう珍しいデザインだ。陶磁器には詳しいつもりだったが。どこのブランドかな?ロイヤル・フラン?あるいはエル・ゼルガか」

ナオミ「隣の下村陶器店です。プイッ」

フランシス「それは失礼。スッフィッツジェラルドだ。北米本国で『組合』という寄合を束ねている。そのほか個人的に3つの複合企業コングロマリットと5つのホテル、それに航空会社と鉄道と…」

福沢「フィッツジェラルド殿。貴君は懸賞金でマフィアを唆し我らを襲撃させたとの報が有るが誠か」

フランシス「あぁ!あれは過ちだったよ親友オールド・スボート。ニコッまさかこの国の非合法組織があれほど役立たずとは!謝罪に良い商談を持ってきた。」

男「スッコツコツ」

フランシス「悪くない会社だ。建物の階層が低すぎるのが難だが街並みは美しい。」

男「ドッ」

フランシス「ガチャッこの会社を買いたい。」

福沢「!」

フランシス「勘違いするな。俺はここから見える土地と会社全てを買うこともできる。この社屋にも社員にも興味はな い。あるのは一つ」

福沢「…真逆」

フランシス「そうだ、『異能開業許可証』をよこせ。この国で異能者の集まりが合法的に開業するには、内務省異能特務課の発行した許可証が必要だ。特務課の石猿共だけは金で買収できない。何しろ表向きはない事になっている秘密組織だ。連中を敵に回さず大手を振ってこの街で『捜し物』をするにはその許可証が…」

福沢「断る。」

フランシス「そうか?何ならこの腕時計もつけよう。限定生産で特注ダイヤが…」

福沢「命を金で購えぬ様に、許可証と変える物など存在せぬ。あれは社の魂だ。特務課の期待、許可発行に尽力して頂いた夏目先生の想いが込められて居る。頭に札束の詰まった成金が易々やすやすと触れて良い代物ではない。」

フランシス「…『金で購えないものがある』か。貧乏人の決め台詞だな。だが、いくら君が強がっても社員が皆消えてしまっては会社は成り立たない。そうなってから意見を変えても遅いぞ。」

福沢「御忠告、心にめよう。スッ帰し給え。」

フランシス「ガタッまた来る。」

宮沢「お送りします。」

フランシス「バッ明日の朝刊にメッセージを載せる。よく見ておけ親友。俺は欲しいものは必ず手に入れる。」

チンッ

宮沢「どうぞ」

赤毛の少女「その帽子素敵ね。」

宮沢「そうですか?ありがとうございます。」

ガーピンッ

ガッ

赤毛の少女「どう、似合うかしら」

男「麻袋でも被ったほうがまだましだな。」

赤毛の少女「何よ、いつもそうやって。ペイッ」

フランシス「先ず一人」

そこには宮沢の何時もの麦藁帽子だけが置かれていた。

〜翌日〜

バンッ

国木田「おい朝刊見たか?」

ザワ

中原「報道ニュースでもやってるぜ。」

『事件現場です!ご覧下さい。七階建ての建物が一夜にして消滅してしまいました!』

『一部情報筋では消滅した建物はポートマフィアのフロント企業が入っており、構成員の事務所として使われて居たとの情報もあります。』

『市警では敵対組織による襲撃の可能性もあると見て軍警に協力を要請しつつ…』

国木田「クシャッ『メッセージ』とは此れか。」

谷崎「やはり寮にも賢治君は居ません。」

中原「逆らう探偵社も用済みのマフィアも凡て消す、なぁ…」

国木田「谷崎、これ以上単独で動くな!芥川と組んで賢治を探せ。中原は俺と会議室に来い。社長会議だ!敵と接触しても戦わず逃げろ!」

中原「芥川」

芥川「?何でしょう?」

中原「襟、曲がってるから直してやる。」

芥川「すみません。ありがとうございます」

中原「いや、いいんだ。行って来い。」


〜街〜


ナオミ「あんなにピリピリした探偵社は初めてね。」

ピッ

谷崎「ナオミ、矢ッ張り社に戻るンだ。」

ナオミ「嫌よ。ナオミも手伝うわ。こんな時に兄様と離れたくない」

谷崎「危険過ぎる!」

ナオミ「危険は社も同じよ。建物ごと消されるわ。ねぇ芥川さん、そうでしょ?」

芥川「あ、あぁ。それはそうだ」

谷崎「芥川くん。君とは違って妹には異能が無いンだ。足を引ッ張る。」

ナオミ「何よ兄様、ナオミの云う事は何でも聞くと云ったじゃない」

谷崎「ギョッき、昨日の夜のアレはお前が無理矢理…!ハッ」

芥川「?」

ナオミ「ドヤァ」

谷崎「…何でもありません」

ピッ

谷崎「と…兎に角!事務員は社に戻るンだ!」

ナオミ「あらあら、何なら昨日の懇願を思い出させてあ」


その瞬間、先程まで喋っていたナオミの姿がない。


谷崎「!」

芥川「! 」

谷崎「…ナオミ?」

芥川「…真逆」

谷崎「バッナオミっ!?奴等の攻撃だ!莫迦な、何の気配も無かッたぞ!」

芥川「敵がすぐ近くにいます…谷崎さん危険です」

谷崎「何処だ!糞ッナオミを返せ!」

芥川「谷崎さん!」

おじさん「頼むからでてきておくれ。何処だい、エリス?困ったねぇ」

谷崎「ドン退けッ!」

おじさん「わっ痛たた…」

芥川「すみません、大丈夫ですか?」

谷崎「!見つけたッ!ダッ」

赤毛の少女「グルッ遊びましょ☆」


〜謎の部屋〜


芥川・谷崎「!?」

赤毛の少女「ようこそ、アンの部屋へ。ザッあらもう嫌だわ、こんな沢山の方たちに見詰められて。あたし初対面の方とお話するの苦手なの。でも駄目ね。ちゃんと説明しなくちゃあ、皆さんお困りだわ。きっとすっごくお困りだわ。だってこんな見知らぬ所に突然連れてこられたんですもの。あたしだったら心臓が飛び跳ねて…」

谷崎「ナオミは何処だ」

赤毛の少女「あらご免なさい。その説明が最初よね。探偵社の皆さんはあちらよ。」

谷崎「賢治くん!ナオミ!バッガチャガチャ」

赤毛の少女「鍵なしでは開かないわ。開くのはあっち。」

芥川「外の景色が…静止している。」

ルーシー「あたしの名前はモンゴメリ。ここはあたしの異能力で創った空間なの。でも安心なさって、そのドアから誰でも出られるわ。お仲間を取り返したくなければですけどニィ」

谷崎「どうする心算だ」

ルーシー「簡単よ。この部屋でアンと遊んで頂きたいの。アンいらっしゃい」

アン「ズズズズズオォオォオオ」


__ルーシー・モード・モンゴメリ

能力名…『深淵の赤毛のアン』

______Anne of Abyssal Red

ルーシー「アンは遊びのが大好きなの。」

アン「コキパキコキペキ」

市民「ひ…」

ルーシー「少し甘えん坊だけれど可愛いのよ。」

アン「ギッ」

市民「わああああぁぁぁぁ」

ルーシー「あっただしそのドアから出たら部屋の中のことは忘れちゃうわよ。よろしくて?」

市民「あああああああぁぁぁ」

ルーシー「残ったのは3人だけ?」

芥川「ここは危険だ。逃げた方が良いとおもうが…ボソッ」

おじさん「女の子を捜して居るんだ。天使の様に可愛い子なのだよ。何処かで見なかったかな?」

芥川「いや…残念ながら」

おじさん「エリスちゃんと云う名前でね、もう目に入れても痛くない位愛らしいのだよ!あ、真実ほんとうに入れたら少し痛たかったがね。兎に角この娘とはぐれて私はもう気が気でなくって…あの扉の向こうに居るかも知れない。若しそうなら、今逃げたら私は一生後悔する。だから私も残るよ。」

芥川「…判った。」

ルーシー「ルールは簡単よ!可愛いアンと追いかけっこしてタッチされたら皆さんの負け。捕まる前にその鍵でドアを開ければ皆さんの勝ちよ。人質をみんなお返しするわ。それで参加されるのは誰?」

谷崎「ザッ二人同時でもいいのか?」

ルーシー「パァッ勿論よろしくってよ。お遊戯はみんなの方が楽しいもの。」

芥川(鬼遊おにごっこならば…勝てるな。空間に虚像を映し出す谷崎さんの〝細雪〟が有れば捉まる訳があるまい…)

ルーシー「一応お断りしておきますけど部屋の中では暴力は禁止よ。この部屋の中にあるものは傷つけたり壊したりできないようになってますから。準備はよろしくて?」

谷崎「パシッああ」

アン「ガッ」

芥川「!」

ルーシー「ひとりめ捕まえた☆」

芥川(…は、疾過ぎる)

バンッ

芥川・谷崎「!?」

ゴォォォガシッ

谷崎「わあああああぁぁぁ」

ルーシー「ニッ」

バタンッ

ルーシー「またお友達が増えちゃったわ!嬉しいわねアン!」

アン「コキコキ」

ルーシー「なあに?まだ欲しいの?それじゃあ…ギロッ」

芥川「!」

アン「ダッガッ」

芥川「羅生門!」

黒獣「グォッダンッ」


芥川は羅生門で手を台にし上昇する事によって間一髪かわす。

ルーシー「!」

アン「グルッギイイイイイィィゴォッガガガガガガ」

芥川「スタッダッザットントン」

上手に羅生門を駆使しかわしていく。

ルーシー「すごいすごい軽業師かるわざしみたい!もっと見たいわ!」

芥川(攻撃速度だけなら中島同等、またはそれより少し下か…ぼんやりとしてるれば一瞬のうちに捕まってしまう。いつまで体力が持つか…)

ルーシー「何て力強くて便利な異能でしょう。さぞ幼少から皆にちやほやされたに違いないわ」

芥川「…」

ルーシー「貴方、元孤児なのですってね。あたしも孤児院育ちなの、とても寒いところよ。 凍ったみたいな水で一日雑巾がけをした後は何日も指の痛みが取れなかったわ。それに私の異能はこんなだから、皆から気味悪がられちゃって」

アン「ギギギッ」

ルーシー「貴方がさらわれた時、探偵社は必死に捜したそうね。素敵だわ。きっと貴方が良い異能を持ってるからね。 」

芥川「僕は…」

ルーシー「あたしも異能を買われて組合に拾われたの。けど組合は失敗を許さないわ。今回の作戦をしくじったら汚れた紙ナプキンみたいに捨てられる。そしたらまた独りよ。ギュッそんなのって信じられる?ねえなぜ貴方なの?なぜあたしではないの?」

芥川「…っ 」

おじさん「…」

ルーシー「不公平よ。貴方もあたしの気持ちを思い知るべきだわ。コツこの部屋で永遠にね」

アン「ザッゴォッ」

芥川「く…」

芥川(あのドアに鍵を挿すしか法法はない…)

黒獣「ガッ」

ガラガラ

アン「!」

芥川「ザッ」

ルーシー「!」

芥川「バッよし」

おじさん「少年!危ない!」

芥川「は?…!」

鍵?「シュンッバッ 」

芥川「シュッくっピッ」

チャリッ

ルーシー「あら、大事な鍵をこんな風に扱って、孤児院の先生に叱られるわ」

変化した鍵。つるのようなものがあり大きく鋭い口がある。


鍵?「ケケケ」

芥川「…そういう事か!」

ルーシー「そう、開けられれば、勝ちよ。こんな鍵をどう使うのかあたしにも見当がつかないけど。」

鍵?「ケケケケケケ」

芥川(完全にはめられた…最初から勝つ方法など存在しなかったのだ!)

ルーシー「どうしたの?お遊戯はこれからが本番よ!貴方は鬼遊の天才みたいだけど、この状態で何分心が持つかしら」

芥川「く…!」


芥川「ゴホッゴホッ」

おじさん「少年!」

芥川「羅生門!」

アン「ガッゴォッ」

黒獣「グォッガッ」

芥川「タッタッフラフラ」

芥川(打つ手がない…もう体力的にも限界で、何時かは捕まってしまう。ここから逆転など、僕には出来ない。ここから出たところでこの事を忘れてしまえば意味がない…いや、でも中原さんなら、どうにか…否、仲間を捨てて逃げるなど…)

アン「ガッ 」

芥川「…羅生門!」

黒獣「ガキンッ 」

芥川「スッタッ」

芥川(どうすべきだ。この状況であったらきっと中原さんなら手を思いつく。だが、それでいいのか?探偵社員としてこのようなことは…このような場所に己がいる資格など…無かったことになってしまう。そんなこと…)

芥川「う…スッ」


伸ばしかけた手を引っ込める。


おじさん「そうだ、少年。敵はあっちだ。ぐいっ」

芥川「グラッケホッ」

ルーシー「ポカン」

街医者「この場合ケエスでの逃亡はお勧めできない。その…高が街医者の言葉を信じてもらえるのならばだが、彼女の言葉を信じるならそのドアから逃げれば君は記憶を失う。敵の手管も捕らえられた仲間の危機も忘れ敵は進撃を続ける。佳いことを教えよう。戦戯ゲエム理論研究では己亥を加えて来た敵には徹底反撃を行うのが論理最適解とされている。二度と反逆されぬよう此処で徹底的に叩くのだ。 」

芥川「然り。だが方法が…」

街医者「絶対に敗けぬと高を括るほど容易い相手はいないよ。抑も…先程聞いた所ではあのへやに居る彼等は君が囚われた時必死に助けたと云う話ではなかったかね?パシッ」

芥川(そうだ…皆は僕を。ならば今回は!)

ルーシー「お話は終わり?やる気は戻ったかしら。そうでなくっちゃ面白くないわ。でも終わりよ。」

アン2「ズッズズ」

芥川「!」

アン2「ガシッ」

芥川「羅生門!」

アン「バッ」

芥川「もう一体か!?」

ルーシー「そちらは二人なのだから当然でしょ?」

アン「ガシッ」

芥川「しまっ…」

バンッオオオオオォォザッオオオバタンッ

ルーシー「はい、おしまい☆ワーイそれでおじさまはどうなさるの?」

街医者「…」

ルーシー「おじさまの言葉のおかげで狂犬の彼に逃げられずに済んだわ。だから感謝の印に見逃してあげてもいいわよ。どうせ捕まえる指示のないこきたない中年一人見逃したってフィッツジェラルドさんは怒ったりしないもの。それとも…おじさまがアンに捕まった時の絶望の顔を見てみようかしら」

アン「ズズズゥ」

街医者「試すかね?」

ルーシー「!?ゾワッ」

ルーシー(何?何なのこれ?脚が震えて動けない。これは…殺気?でも…アンまで動けないなんて)

街医者「無理だな。何故ならば君は既に敗けている。スッ見ると良い。 」

ユラッ

芥川「ギッ」

ルーシー「どうして…ドアは確かに閉まったはずなのに!」

芥川「貴様の見落としは一つ。この闘いは最初から二対一だ」

ルーシー「!」

芥川「ドアが開いた瞬間に谷崎さんの細雪で扉の映像を偽装した。コホッ」

ルーシー「そんな…そのうえに部屋に吸い込む力に犬だけで対抗したの?そんな事出来るわけが」

芥川「貴様は…思い違いをしている。僕は強くも人気者などでもない。むしろ生きることなぞずっと呪いだった。故に他人を妬み怨む貴様の情動きもちはよく判る。実を云えばこの作戦に失敗なぞして欲しくない。居場所を失って欲しくない!だが僕は弱くて未熟故、他の方法が思いつかない。」

ルーシー「カクッ!?ズザザザザこれは…!」

芥川「飾帯リボンを貴様に結んでおいた。引き込まれる直前に。」

黒獣「ガッ」

ルーシー「…っ!」

黒獣「シュルッガシッ」

ルーシー「はっ離しなさい!」

芥川「異能を解除し、皆を解放しろ。でないと貴様を部屋の奥へ引きずり込む。」

ルーシー「そんなっ…!」

芥川「鍵がなければ扉は開かない。なら貴様がこのへやに幽閉なぞされれば扉を開けれる人間は誰も居なくなる。そうなってから能力を解除したとて貴様は元の世界に戻れぬ。違うか?」

ルーシー「それは…」

芥川「異能は便利な支配道具なぞではない。そのことは僕が身を持って善く判っている。自分の創った空間に死ぬまで…否、死んだ後も囚われ続けたいか?」

ルーシー「あたしは…失敗するわけには」

芥川「今から手を離す。決断の時間は扉が閉まる一瞬だ。」

ルーシー「だめ!待っ」

黒獣「パッ」

ゴオオオオオオ


〜街〜


気づけばそこは街の中。ナオミ、賢治のほかとられ獲られていた人々は無事に皆出れたようだ。


市民「 ザワ」

芥川「…ハッ」

ルーシー「ブルブル」

芥川「…すまぬ。 」

ルーシー「キッダッ」

芥川「…」

街医者「あああっエリスちゃん!」

芥川「!」

街医者「大丈夫だったかい。何処に行ってたのだい。ブワッ心配したのだよう、突然居なくなるから」

エリス「急に消えたらリンタロウが心配すると思って。」

リンタロウ「そうだよ。心配したよう、泣くかと思ったよう。もう泣いてるけど」

エリス「そしたら泣かせたくなった。サラッ」

リンタロウ「ガーン非道ひどいよエリスちゃん!でも可愛いから許す!パァッ 」

泉「タッタッタッドン」

芥川「!鏡花か。それに銀も。 迎えに来てくれたのか?」

銀「はい。」

泉「…心配した」

芥川「すまぬ。ありがとう」

リンタロウ「それでは私達は失礼するよ。」

芥川「助言アドヴァイスありがとうございました。そういえば医者なのですか?」

リンタロウ「元医者だよ。今は小さな寄合の仕切屋中年さ。少年。そんな困難な戦局でも必ず論理的な最適解はある。混乱し、自棄やけになりそうな時ほどそれを忘れては不可いけないよ。」

芥川(困難な時でも道はある、か…)

瞬間、携帯を落とす鏡花。酷く顔を強張らせ、動揺してるようだ。

泉「ゴトッ」

芥川「…鏡花?」

泉「ハァハァッガクッ」

銀「鏡花さん!」

芥川「どうした!」


〜???〜


コツコツ

リンタロウ「楽しい一時ひとときだった。私も童心に帰って異能で敵をばっさばさと遣っ付けたくなったよ。」

エリス「中年には無理」

リンタロウ「非道い! 私はこれでも…」


〜倉庫?〜


複数の黒服と黒蜥蜴、梶井基次郎、太宰治が一つの亡骸を中心に立っている。そこに、リンタロウと呼ばれた男とエリスと呼ばれた少女が現れた瞬間…


ザッ


一人を除きしゃがみ頭を下げる。その一人は気怠げにいやいやとリンタロウを見る。それは太宰治だった。


リンタロウ「これが組合の刺客かね?」

太宰「うん。」

リンタロウ「探偵社に組合、我々も又困難な戦局と言う訳だ。最適解が必要だね。ザッ」

太宰「はぁ?どうせ組合も探偵社も敵対者は徹底的に潰して殺す〜とか言うんでしょ?」

リンタロウ「ニコッ善くわかってるじゃないか。」

太宰「はーやだやだ。これだから中年は。細かな立案は?」

リンタロウ「太宰くんに一任する。まぁ、でも後で首領室来てね。」


ポートマフィア首領ボス

__森鴎外もりおうがい

_能力__『ヰタ・セクスアリス』


〜事務所〜


中原「チッ面倒くせぇ事になってんな…」

国木田「?資料でも行き詰まって居るのか?」

中原「あっあぁ、ンなとこだ。簡単だが面倒な類なだけだから大丈夫だよ。」

国木田「そうか」

中原(彼奴…何が目的で芥川に接触した?何処から意図してた?流石にあそこまでの頭脳なんぞ持ち合わせてないが…くそっ。会ってから?会う前から?わからねぇな…)

江戸川「中原くん、何であんな感じなの?」

国木田「資料に行き詰まっているらしいですが…」

江戸川「資料に行き詰まってあんなんになるっけ?」

国木田「いや…」

江戸川「中原くーん、どうしたの?」

中原「あぁ、江戸川さん。いえ、何でも無いですよ。」

江戸川「ふーん…これならほっといても大丈夫そうだよ。」

国木田「そうですか…」


〜寮〜


_203__谷崎__


谷崎「ジュー〜〜♪」


谷崎「はい、お待ちどお様〜今日は早矢仕飯ハヤシライス

ナオミ「♪兄様、昨日港近くのお店で見つけたバウムクーヘン、購って来てくれました? 」

谷崎「ピタッあ」

ナオミ「忘れたの?もう…云ったでしょう?今日は絶対あれを食べたいって」

谷崎「ご免…所で〝あれ〟ってこれ?」

ナオミ「ニコーもう莫迦!こうしてやる!ガッ」

谷崎「うわふっ!?待っ今は拙いッて!先にご飯!」

ナオミ「♪兄様ったらお食事中まで仕事?お行儀悪い! 」

谷崎「市警から聴取記録が届いたンだ。鏡花ちゃんの。」

ナオミ「ピラッあの子の?確かにマフィアに拾われる前は孤児だったって」

谷崎「孤児になった理由さ…ご両親が殺されたンだ。」

ナオミ「え!?」

谷崎「犯人は…」

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