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『 懐かしき駄菓子屋 』
チャリンチャリンと涼しげな音を立てた、風鈴が玄関で揺れる
ドサドサと物が置かれる物音が静かな部屋に大きく響き渡る
一通りの作業が終わったと思うと一気に安心して、急に力が抜ける。
m「ありがとうなぁ…」
桃「…ほんっっっっとはやりたくないんだけどね??」
m「…w、そりゃあ、儂やって自分でできるもんならやりたいわい。」
苦笑い気味にそう返される。
ここは小さい頃、それこそまろと何回も通い詰めた思い出のある駄菓子屋。
そんな駄菓子屋、年老いた素敵な夫婦が経営していたのだが、以前奥さんの方が病気で亡くなってしまい、目の前に居るおじいちゃんもやっぱり、続けていくのは難しいと考えたらしくて閉店。
名残惜しい気持ちはもちろんある。小学生の頃からずっとずっとずっと通ってた大切で大好きで思い出のある駄菓子屋だもん。
桃「っ…、はぁ……」
m「…なに泣きそうになっとんじゃ…w」
桃「…いや、泣かないですよ!!w」
笑って返す。
本当は泣きたい、おじいちゃんの胸に飛び込んで「寂しい」って思いっきり伝えたい。
でも、俺…高校生だもんな。恥ずかしよな。
それに俺もそういうキャラじゃない。
m「…今までありがとうな…、ここ。儂らの家として普通に過ごしてくから。」
m「よかったらまた、遊びにおいで」
目元にシワがよって優しく微笑みかけられる。
心の底から温まって、暑かった体がホカホカと暖かくなってくる。
桃「……ダメだよなぁ…っ、…もうっ…じいちゃん……っ」
一滴の雫がつー、と頬を伝う。
泣いてしまった、溜め込んでいたものが全部出てきた。
俺がしたかった行動、おじいちゃんの胸に飛び込んで思いっきり泣く。それを今現実にして思いっきり、目が腫れるまで泣いた。
明日ぱんっぱんに目が腫れていたとしても構わない。
今、ここで泣かないほうが損な気がするからだ。
m「……わ…しも……寂しいよ…っ…」
あの後泣きまくった後も、すこいだけ後片付けしてお店を後にする。
また、手伝いに来る予定だ、まだ2週間の猶予が残されている。
その2週間でここを存分にお礼を言おう。
桃「…うわー、目がめっちゃ腫れてる…w」
桃「………親になんて言おう…w」
ぼそぼそと独り言を呟く。
その後はただひたすら考え事をしながらゆっくりゆっくり一歩一歩辿る。
しばらく歩いていると、後ろから軽くポンポンと肩を叩かれる。
桃「…?」
びっくりして振り返ると後ろに居たのは綺麗な紫色の瞳の白髪
…と、俺の幼馴染
「よー!」と元気に大きい声で白髪の方が声をかけてくる。
桃「初兎ちゃん……と、まろ…。」
桃「って、俺めっちゃ目ぇ腫れてる時やん!?!?」
思いっきり目を隠して見るなってジェスチャーをする。
…あまり話していなかった友人2人。
これくらいなら話してもいいのかな。
続く…