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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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「ゆーいちろーだ! ちゅーにびょーが来た!」
「黙れガキ共! この道場の一番弟子に対して、頭が高いといつも言ってるだろうが!」
初対面の人が急に現れたので、あと凄いテンションだったので。
自己紹介もままならぬまま、そして黒沢君の後ろに隠れたまま。
お風呂上りに皆が集まっている客間へと踏み込んだのだが。
佐々木 雄一郎君? を見た瞬間、子供達が一斉に襲い掛かっている。
わ、わぁ……大人気だぁ。
「すみません、お二人共。ウチの馬鹿孫が……お騒がせしました」
テンに関しては、私と黒沢君に何度も頭を下げて来るけども。
むしろ此方が慌ててしまい、いえいえいえ……なんて、何度も首を横に振って応えてしまう。
「あ、あの佐々木さん……ちょっとだけ、お聞きしたい事があるんですけど……良いですか?」
「はい、白川さん。なんでございましょう?」
「え、えぇと……少しだけ、こっちに」
子供達と戯れている佐々木君……あぁ、ごっちゃになっちゃうか。
雄一郎君に対して、他の皆が唖然としている所悪いが。
あと、黒沢君も残してしまって申し訳ないけども、一旦彼だけを引っ張って廊下まで出てから。
「ぁの……お孫さん、雄一郎君? 自分はガンサバの賞金首だぁって、言ってましたけど。ほ、本当なんでしょうか? あと、良いんですか? 規約的に……その」
「ブフッ! ま、またあの馬鹿孫はぁぁぁ……」
コレに関しては、テンの方もどうやら初めてではないらしく。
ちょっとプルプルしながらも振り返り、ノッシノッシと部屋へと戻ったのだが。
私も彼の後に続くと、そこには最悪の光景が広がっていたではないか。
「我が名は佐々木……いや! 貴様等に対して本名など不要だな! 俺はガンサバイブオンライン、賞金首の一人! ナンバーズ最強の男……その名も“only one”だ! 跪け、一般プレイヤー共ぉぉ! 頭が高ぁぁい!」
あ、うん。
これは、ホントに良くないヤツなんじゃ。
あと確かに、リストの中でその名前は見た記憶がある。
実際に話した事とか、一緒に戦った事も無かったので、詳細は知らなかったけど。
最後の一人、見つけちゃった。
というのと、今回もまたリアルの方で先に会っちゃった。
などと考えている内に、彼の前に立ちはだかったのは――
「フッ……それが本当なら、実に都合が良い。確かに貴様からすれば、“所詮”一般プレイヤー……だがな、俺達のパーティは既に確たる地位を手に入れている」
似た様なテンションの出っ歯さんが、腕を組んで真正面から向き合ったではないか。
凄い、あのテンションに真正面から付いて行けている。
私には絶対無理だ。
思わず出っ歯さんの大物っぷりに、「お~」なんて言いつつ拍手を送りそうになってしまったのだが。
「な、なんだと!? まさか貴様……運営が言っていた、今後選ばれるという……あの、新しい――」
わぁぁぁぁ! それは本当に言っちゃ駄目なヤツ!
私もこの前早乙女さんから聞いたばかりだけど、11番目の選抜の話しようとしてない!?
ソレ本当に社外秘! 漏らしたら不味い情報!
とかなんとか慌て始めたところで、いち早くtimelimit:10が動き出し。
これと同時に、浴衣の帯紐を解いた出っ歯さんがバサァッ! とソレを派手にはためかせながら。
「我等パーティは、“ナンバーズキラー”! 既に運営も目を付けているであろう、賞金首専門の殺し屋部隊と言っても過言ではない! つまり、貴様は俺達の獲物でしか無いと言う事だぁ!」
トランクス姿に羽織った浴衣をはためかせているという、物凄い格好の出っ歯さんが宣言した瞬間。
素早く動く超近接戦の専門家が、スリッパでお孫さんの頭をスパーン! と良い音を立てながら引っ叩いた。
危ない発言をしようとしていた賞金首はすっ転び、高笑いを浮かべる危ない格好した出っ歯さんに関しましては。
「どうした、オンリィィィ・ワン! 戦う前から、ひれ伏したのは貴様の方であったな?」
「ク、クソッ! 隠密ジジィめ、余計な手出しを……だったら、俺と勝負だ! ナンバーズキラーの実力、見せてもらおうじゃないか! 貴様のプレイヤーネームを教えろ!」
お爺様の乱入が入ったにも関わらず、止まらない1も凄いけど。
この状態でノリについて行ける出っ歯さんも凄いと思うんだ。
ちょっと二人の間だけ、別空間みたいになってる。
「良いだろう……我の名を、その魂に刻むが良い。俺のプレイヤーネームは……“death bullet”! 通称、“出っ歯”だ!」
これに対し、子供達は出っ歯出っ歯~! と楽しそうに騒ぎ、対する賞金首の1番は。
「クッ! なかなか、良い名前じゃねぇか。死の弾丸とは、恐れ入ったぜ。だが満月の夜に俺と出会っちまった事、それが貴様の人生最大の不運だったな!」
「貴様の昔のプレイヤーネームも、覚えているぞ? “shining bullet”だったな……光の弾丸か、まさに俺とは真逆。今宵、光と闇が交わる戦場が幕を開けると言う訳だ。さぁ……闘おうではないか! 賞金首! 我が奏でる狂詩曲は、貴様が死ぬまで鳴りやまぬと思え!」
ごめんなさい、この中に通訳の方はいらっしゃいませんか。
私には、この二人が何をどう盛り上がっているのか、全然分からないんですが。
という事で、only oneの方はtimelimit:10がスリッパで追撃。
出っ歯さんの方は、グレーさんに座布団で顔面をぶん殴られていた。
げ、元気だなぁ……二人共。
◆
「いやぁ、皆さんが実際の訓練に凄く夢中になっていたので。コイツの出番がないんじゃないかとヒヤヒヤしていましたよ。ハッハッハ」
何やら嬉しそうな様子で、息子さん夫婦がパソコンを用意している。
なんか凄い、電源入れた瞬間物凄く光ってる、色んな所が。
これに対して子供達が集まり「スゲースゲー」と声を上げているが。
ごめんなさい、私もちょっとそっちに混じって良いですか。
なんか強そうなパソコンって言うのと、こっちの解読不能の会話より楽しそうなので。
「クククッ、さぁ勝負だ! 言っておくが……俺は、強い! 賞金首だからな、当たり前だが!」
「知っているさ、“only one”。お前の情報は……全て、ココに入っている。いや、お前だけではない……全ての賞金首の情報が、だ」
何やら自信満々な様子で、とんとんっとこめかみを人差し指で叩く出っ歯さん。
そろそろちゃんと服着て下さい。
コートの代わりに浴衣ふぁさふぁさしてますけど、その下パンツです。
トランクス一丁です。
そんな彼に対して。
「な、なんだと!? フッ、ナンバーズキラーの名は伊達じゃないって訳か……良いぜ、殺ろうか! だがここには爺さんと親父のパソコンしかない。タイマンだからって、負けても泣くんじゃねぇぞ?」
「笑止! 例えこの身に風穴が空こうと、俺は高笑いを浮かべながら銃口を貴様に向けよう……貴様が最後に見る光景は、俺の二重属性ハンドガンが放った弾丸だと知れ!」
相変らず、良く分からない会話を繰り広げていた。
ガンサバの弾丸に、属性とか無いです。
あえて言うのなら全部鉛属性です。
鉛なので、Pbです。
というのと、何だか聞いてて恥ずかしくなって来たのは私だけでは無い様で。
グレーさんと黒沢君は全力で視線を逸らし、ナナさんは爆笑しながらカメラを向けている。
いくら撮っても、相手が賞金首の名を出している所は全部カットだろうけど……。
ついでに言うと、テンに関しては廊下に出て電話中。
すごく「すみませんすみません」って声が聞こえて来るので、多分1の担当さんに事情説明でもしているのだろう。
なんでしょう、ここは地獄かな?
「はーい、準備出来たぞー? さてさて、お二人はそっちのソファーで悪いんだけど。皆こっちなー? でっかいテレビに、二人の対戦が映る様に設定したぞー」
「「「わーい!」」」
まるで皆で映画でも見るかの様に、テレビの前に集合する子供達。
そしてワンと出っ歯さんはお互い部屋の反対側にあるソファーに身を沈め。
両者共VRゴーグルを被ってから。
「起動! ガンサバイブオンライン!」
「行くぜ! リンク開始!」
あの、ログインに掛け声って必要でしたっけ。
などとツッコミを入れたくなったけど、その後スンッて大人しくなった。
どうやら無事ログインした様で。
や、やっと静かになった……。
思わず疲れた息を零してしまったが、どうやら他の皆はちょっと違うらしく。
「クロ、どう思う?」
「今回の対戦は、イベントの時みたいにかなり広いとか、相手にとって有利なステージじゃない。普通の対戦、なら……フィールド次第で、もしかしたら」
男子お二人は、真剣な表情でモニターを見つめながら静かに呟いた。
お、おぉ……意外な程皆真剣に見るみたいだ。
なので、私も思わず背筋を伸ばして一緒に座ってみたのだが。
「シロちゃん、分かってると思うけど……この後対戦を振られても、絶対“メイン”でログインしちゃ駄目だからね?」
「は、はいっ! 分かってます!」
私の隣に座ったナナさんからは、コソッとそんな事を耳打ちされてしまった。
そ、そうだよね。
もしかしたら、この後私達まで対戦する可能性は十分あるんだよね。
画面に関してはテンの息子さんが操作しているらしく、対戦の観戦モードみたいな映像が映し出される。
個別の特殊フィールド対戦って、運営さんが用意してくれた所以外でやった事無かったけど。
普通はこんな感じになるんだぁとか思いつつ、じーっと見つめていると。
『“only one” VS “death bullet”』
観戦者にも分かりやすい様に、画面中央にそんな文字が表示される。
いや、うん。
何となく予想はしていたけど、あっちの彼は普通に賞金首アカウント使って来たよ。
これは……良いんでしょうか? などと思いつつ、廊下の方をチラッと覗いてみると。
「本当にすみません、はい。こちらでも言い聞かせておきます、申し訳ありません。今夜だけは、賞金首に負けた時のバッドステータスを、はい。本当~に、本当に申し訳ありません。皆様にも口外しない様、私の方から強くお願いしておきますので。はい、大変ご迷惑を――」
テン、未だに物凄く謝ってた。
た、大変だぁ……。
コメント
1件
いやあ、今回も面白かったです! オンリーワンと出っ歯さんのノリ、完全に別空間でしたね(笑)。白川さんの「通訳求む」に全力で共感しつつ、でもあの掛け合いのクセになる感じ、たまりません。現実で賞金首と直接対決しちゃう展開が続いてますけど、テンさんが電話で謝ってるシーンが妙にリアルで、笑いと同時に「大丈夫かこの家」って思いました。次が気になる!