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──それは、まだナマエがボーダー入りして間もない頃。
今日も今日とて、個人ランク戦の見学中だったナマエ。
ふとした手違いで、モニター室から誤って侵入してしまう。
『えっ、ちょ、今入っちゃダメなやつじゃない!?!?!?』
あわてて出口を探すも──目の前に飛んできた光弾。
「ってあぶなっ!?!?!?」
華麗に横っ飛びで避けると、その後ろからやってきたのは……
「……あれ? 君、誰?」
ちょっと背の高い男子。A級1位のエンブレム。猫みたいな目つきと、ヘラッとした笑顔が妙に似合っていた。
「ごめんごめん、トリオン体だったから撃っちゃったけどC級?」
『……っ、はい。すみません、間違えて……』
「そっかー。大丈夫? 怪我ない? ……にしても避け方すごいね。センスあるじゃん、名前なんていうの?」
「……あ、、と、、ミョウジナマエです』
「ふーん、ナマエちゃん。覚えとこ。じゃ、案内戻してもらおっか。これ以上いたらまた撃たれるよ?」
そう言って、にやっと笑ってくれた彼。
(誰……この人……)
どこか余裕を感じさせるその佇まいに、妙にドキドキしていた。
──で、数日後のこと。
いつものように学校の廊下を歩いていたひより。
曲がり角で、どんっと誰かとぶつかってしまう。
「うわっ、ごめんっ!」
「っと……って、あれ、君……?」
見上げると、そこにはあの日の彼。
『えっ!? あの時の……!?』
「うんうん。ナマエちゃんだよねー? まさか同じ学校だったとは。」
『えっ、あ、……ほんとだ……えっ、えっ、えっ!?!?!?!?』
「俺、出水公平。2年ね。ま、よろしく後輩ちゃん」
えええええええ!?!?!?!?!? 先輩だったんですかあああああああ!?!?!?』
大声を出してしまい、周囲の注目を集める。
「ひそひそ……何あの1年……」
「出水先輩にすごいテンションで絡んでる……」
「新手のファンか?」
『ちょ、先輩ちょっと!? なんでその顔で先輩!? うそ、まってむり、え、え、これ夢じゃ──』
「落ち着いて、後輩ちゃん」
と、出水はくすくす笑う。
「なんなら、今日から“出水先輩”ってちゃんと呼んでくれてもいいよ?」
『無理です!!!』
ナマエの叫びが、校舎に響き渡った──