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ラウール side
頭痛と胸焼けで起こされる朝
最悪のコンディションの割に心が温かいのは、酔った勢いでついに翔太くんにキスしたからだ。
人目も憚らずエレベーターホールでキスをした。
翔太くんはいつもの優しく下がった目尻を、目一杯上へ挙げると潤んだ瞳で僕を見つめて少し頰が赤らんだ。思わず〝可愛い〟と言ってしまいそうになる程可愛らしく僕を見つめる瞳に、吸い込まれるように大胆にも頰まで撫でちゃった。
初めて触れた翔太くんの頰は凄く柔らかくてもちもちしてた。危うくほっぺにもキスしちゃう所だった。あっキスの感想は僕だけの秘密です。
その後は 何事もなかったように翔太くんと別れるとエレベーターに乗るや否や大きくガッツポーズをした事は言うまでもない。
今年1番の歓喜の声を韓国のエレベーター内で叫んだ。翔太くんの好きな所は数多くあるけど、もちろんスベスベなお肌に薄い唇の横のほくろもチャームポイントだけど一番は可愛い小尻。翔太くんがダンスで僕の前にいる時なんか特等席で可愛い小尻を拝んでいる…まぁこれは見た目の事だけど。
翔太くんの事を好きになったのは進路で悩んでいた時の事だ。人付き合いが苦手な俺の相談相手はいつも翔太くんだった。人生の帰路に立ち悩むたびに翔太くんは僕の些細な変化に気付いて背中を押してくれた。そんな優しい翔太くんはいつもお兄さん風を吹かせてカッコよかった。
朝ごはんを翔太くんと食べようと万全じゃない身体を叩き起こしてホテルを出ると燦々と降り注ぐ眩しい太陽が、僕を歓迎してる。
僕の前を歩くめめに会うまでは、最高の 気分だった。 明らかに翔太くんのホテルの方向へ向かっている。どうやら考えている事は同じみたいだ。声をかけるべきか悩んだが、翔太くんと一緒に朝ごはんを食べたい思いが勝った。
ラウ🤍『おはようめめ』
蓮 🖤『あれ?おはようラウール…どちらへ?』
分かってるくせにこの態度…低い声で〝どちらへ〟と言っためめは明らかに僕を軽く牽制している。
ラウ🤍『翔太くんを朝ごはんに誘おうと思って!めめは?』
なんて言い訳するのか楽しみだな。めめは顔色一つ変えず真っ直ぐ俺を見ると淡々とした口調で答えた。
蓮 🖤『翔太が部屋に腕時計を忘れててね届けに行く所だよ…朝ごはん俺も一緒に食べに行っても構わない?』
メンバーといる時は〝翔太くん、しょっぴー〟と呼ぶくせに翔太だなんて呼び捨てにして完全に敵対視されている。昨日もしかして翔太くんとのキスを見られただろうか…それに昨日翔太くん、めめの部屋に居たってことだよね?目が笑ってないし、いつもと違って少し怖い。
ラウ🤍『そうだね3人で食べよう』
まさか2人付き合ってるとか…いや違うはずだけどな。さっきまで軽快に歩いていたホテルまでの道のりが足取り重く、長い沈黙をへてようやく着くと、めめはホテルのロビーのソファーに座った。
蓮 🖤『俺はここで待ってるよラウールが呼んできてくれない』
全ての言葉に何か意図でもありそうな不気味さを感じる〝分かった任せて〟と返事をすると翔太くんの部屋へと向かった。
いきなりインターホンを押すのも失礼かなと思いつつ電話を掛かるが応答がない。結局インターホンを押すハメになった。何度押したか覚えてないくらいインターホンを押した。最後の方は子供の悪戯のように連打するとゆっくりと開かれた扉から上裸なパンイチのセクシーしょっぴーのお出ましで完全ノックアウト状態。一瞬フリーズしたものの常軌を逸したキスマークの数に僕の顔が熱くなるのを感じた。
ラウ🤍『おっおはよっしょっぴー』
翔太💙『んっ?ラウ早いね…わぁっ!なに?』
正直冷静ではいられない。
めめって事だよね…この跡は。
これを見せたくてわざと僕に行かせたな!
嫉妬は人を大胆にする…気付いたら翔太くんを押し倒して上から跨っていた。
翔太💙『重いよ…ラウ…ンンッ///』
翔太 side
朝っぱらから何なの全く…柔らかいラウールのモチモチした唇が重なった。昨夜から最年少の求愛を受けてる。昨夜のフレンチなキスとは違って、少し重たいねっとりとしたキスだ…
俺ってモテモテなんだけど。
ラウ🤍『朝ごはん一緒に食べに行こう?』
おい!キスはスルーかよ。
と言うとアレだな…モテモテは単なる俺の勘違いだな!ラテンアメリカ特有のスキンシップ法か何かか?
腕を引っ張られて起き上がるとラウールはベットに座っている。どうやら俺が支度するのを待っているようだ。〝俺朝ごはん食べたくありませーん〟とラウールの隣に座って欠伸をすると、俺のカバンから洋服を取り出し乱雑に上からシャツを着せた。パンイチ姿の俺にジーパンを取り出すと〝はい右足上げて〟なんて言って朝食に連れ出す気満々で俺の意見はガン無視だ。
観念して足を通すと、ラウールの手が止まった。
ラウ🤍『誰にキスマーク付けられたの?翔太くん…気を付けなよ撮られたら大変だよ』
はっご忠告どうも…被告はメンバーなんで大丈夫ですって言ってやりたいけど最年少には刺激が強すぎるだろう。初心なラウール君に醜態を晒してしまった事を反省せねば…
〝だなっ〟とだけ返事をした。
翔太💙『ところで韓国の朝ご飯ってどんなんだ?』
連れて行かれたのはお粥の専門店だった。 何とも胃に優しく元気が出る味だった。 〝アワビ粥だよ美味しいでしょ人気なんだよ〟元気そうに見えるラウールだが今朝はずっと、胃の辺りを摩っている。二日酔いで胃腸の調子が悪そうだ。蓮に焚き付けられて飲みすぎるからだよ…
翔太💙『で、 何でお前が居るんだよ?』
ラウールがトイレに行っている間に飄々と隣でお粥を食べる蓮を睨みつける〝ねぇ可愛いから逆効果よ。睨んでるつもりだろうけど可愛い過ぎる〟何で全部思い通りに行かないんだよ…目の前にぶら下がる腕時計がさらに俺を落ち込ませる。昨夜蓮の部屋に忘れていた事すら気付いていない。無言で取ろうとすると〝ありがとうのキスは?〟なんてコイツ本当嫌な奴だ。やたら皆んなキスをしたがるのは何なんだ?仕事が忙し過ぎて頭イカれたのか?風紀が乱れてるぞ。腕時計を取り返し嵌めると、トイレから戻ってきたラウールが俺の腕を見て顔を伏せた気がした。
ラウ🤍『今日は晩ご飯何食べようか?』
翔太💙『朝ごはん食べたばかりだろっ…俺はまた焼肉がいい』
ラウールは信じられないと言ってまた胃を摩った。お店を出るとすぐ近くに薬局があるのが目に付いた。〝少し待ってて〟そう言ってラウールから離れると薬局で胃薬を探した。
翔太💙『何でお前がついてくるんだよ?』
蓮は〝薬だなんて翔太くんに任せられないだろ〟なんて言って、全く失礼な奴だ。薬を手に取ると〝買い物くらい出来るわ〟と薬箱を振って見せると腕を掴まれそのままレジまで引っ張られると、慣れたように英語で聞いている。
蓮 🖤『これ滋養強壮に効く薬だって。探してるのは胃薬だろ?』
恥ずかしいったらない…何もかも上手く行かない。買い物一つ自分で出来ないなんて情けない。蓮に腕を引かれて連れてかれると〝はいっどうぞ〟と言って胃薬を渡された。どうして胃薬探してるって分かったんだろう…それにムカつくくらいカッコいいじゃないか、イケメンで英語喋れるとかズルすぎだろ。
蓮 🖤『翔太これも買ってた方がいいんじゃない?』
顔を上げると俺の目の前で揺れる液体はコポコポと音を立てた。蓮は楽しそうにクスクス笑いを堪えながらローションを振っている。あぁ…頭痛い。
翔太💙『面白い面白い。お前にしては最高に面白い冗談だ!』
蓮 🖤『真剣に翔太のお尻を心配してる。一本で足りるかな?翔太』
よくも朝っぱらからこんな冗談が言えるもんだと感心すらする。とことん嫌な奴になる事を決めたらしい。黙ってりゃぁカッコいいのに…
思いっきり身体を蓮にぶつけるとレジに向かい、店内に響き渡るほどの大きな声で叫んだ。
俺には亮平がついてんだぞ、舐めんな!
くらえ!使える韓国語だ!
〝イゴジュセヨ(コレください)〟
蓮はお腹を抱えてずっと隣で笑っている。楽しそうでなによりだ!
翔太💙『ほらこれ飲んで少しは楽になるぞ』
ラウールは少し驚いたような表情をすると頭を掻きながら〝ありがとうバレちゃってた?…恥ずかしいなっ二日酔いで胃もたれなんて〟可愛らしい末っ子の成長ぶりにほっこりする。
翔太💙『お前もおじさんだなぁ』
心外だとばかり腕をバシバシ叩いてきて普通に痛かった。午前中は3人で韓国の街を観光すると午後からの撮影に備えて早めに昼食をとった。あと半日頑張れば亮平に会える。2人に伝えてた方がいいだろうか?何も知らないラウールは変に思うだろうか?
ラウ🤍『そう言えば今晩阿部ちゃんがこっちに遊びに来るって!韓国で行きたいところがあるらしくって一緒に晩御飯食べようってさっき電話があったよ』
さすが亮平くん。ちゃんと先回りして先手を打つなんて俺の彼氏は優秀だ。誇らしげな表情で、殺気立つ蓮を見遣る。
蓮 🖤『行きたいところねぇ〜?どこだろうね翔太くん』
翔太💙『さぁ?』
ラウ🤍『実は会いたい人が居たりしてね?』
蓮と同時にラウールの方を見ると〝何?俺なんかまずい事言った?〟最年少の鋭い発言に俺は何も言えず黙り込んでしまった。
ラウールは観光で来ていたと思われる日本人の女の子に囲まれ写真撮影を求められている。
巻き込まれたくない俺らは少し距離を取った。遠目にラウールが救いを求めてるのが見える。
これも社会勉強だラウールすまない・・・
蓮 🖤『ラウールの今朝の反応はどうだった?』
翔太💙『ん?何の事?』
蓮 🖤『随分とモテモテのご様子だからうちの翔太くんは』
いちいち不気味な奴だな…まさか蓮もキスの餌食に…そうか皆んなやられてんだな〝ラテンアメリカの血は恐ろしいな〜〟蓮は何故か頭を抱えながら俺に近づくと
蓮 🖤『天然もココまでくると重症だな…阿部ちゃんが気の毒だな…やはり今夜は一本じゃ足りなそうだ』
レジ袋を掲げた蓮はイヤらしい顔で俺を見ている。
翔太💙『お前馬鹿じゃないの?』
ラウ🤍『めめ何買ったの?』
まずい初心初心なラウールがローション入りのレジ袋目掛けて腕を伸ばしてきた。慌てて蓮のレジ袋を取り上げようとするものの間に合わなかった。袋の中身を覗き込んだラウールは〝なぁんだお水かぁ〜〟
翔太💙『えっ?』
蓮 🖤『はいっラウール。お水ないと薬飲めないでしょ!』
ニヤニヤ笑いながら俺の事を見て楽しそうだ。再び近づいてきた蓮は〝頭の中イヤらしい事ばかりだね期待はずれでごめんね〟なんて言ってラウールがいなきゃ殴ってるところだ。
蓮 🖤『俺は3人って言うのも全然アリだよ。そうなるとやはり2本は必要だね』
ラウ🤍『何の話?』
亮平が居ても居なくても、俺の頭の痛みは治りそうもない・・・
翔太💙『もう何とでも言ってくれ…』
もうお手上げだとばかり降参のポーズをして見せるとクスクス笑う蓮を他所に〝何何?何の話?〟とラウールはいつまでも俺ら2人の周りをうろうろしていた。
コメント
22件
うぶいラウールが純情で可愛いのと、蓮🖤くんの脇役いいわ。意地悪だし合ってる🤣🤣🤣
可愛い〜🤍🤍🤍 ちょっと電車でお代わりするから、👍待って🤣🤣