テラーノベル
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好きだ嫌いだ、愛だなんだと、言葉にするのは簡単だ。嫉妬や妬みはマイナスにしか働かない。
分かっていてもイライラしたり、人を羨んだり、自暴自棄になったり、歳を重ねても心はなかなか成長しない。同じ失敗を何度繰り返しても尚、成長しないのは、変化を恐れているからだろうか?
俺が韓国へ行くとラウールへ連絡を入れたのは、勿論翔太から蓮を遠ざけるためだ。
何を考えてるのか分からない蓮は不気味でしかなかった。翔太を手に入れるために手段を選ばない蓮の行動は浅ましく、常軌を逸している。
昨夜韓国行きを聞いた蓮からご丁寧にメールをもらった。
蓮📩『気をつけて来てね阿部ちゃん』
〝隙の向こう側〟と付けられた添付の写真は蓮がベットの上で撮ったと思われる翔太の写真だった。
ふーっと深呼吸するとお腹に力を込めた。
亮平💚『上手い事言ったつもりかよ!ふざけるな馬鹿!』
あースッキリした。翔太の居ないリビングに俺の強がりが木霊した。
写真を見れば何があったかは一目瞭然。
辛いのは俺じゃない。翔太だ。必死に自分に言い聞かせた。責めるべきは蓮であって翔太ではない。
揺さ振りをかけてるつもりだろうけど、こちらは熱々の愛を絶賛育み中で、まだ強靭ではないが絆で繋がっている…筈だ。
これはもはや救出任務だ。早く翔太を蓮から遠ざけなきゃ。
韓国行きを決めて良かった。パスポートを手に玄関扉に手をかける。昨日寂しそうに家を出て行く翔太を思い出す。
翔太💙『絶不調だよ…亮平の愛が足んない』
愛は多過ぎるなんて事はないのに、離れがたくなるのが嫌で、少し距離をとってしまった事を今更ながら後悔する。
もっといっぱい甘えさせてあげれば良かった…
いつもなら、心配かけまいと隠したり、我慢する翔太からの滅多にないSOSに悩んでる暇はなかった。正直ハードスケジュールだ。今朝は3時起きだったし仮眠する間もなく韓国行きだ。まぁフライト中の往復4時間程度は寝れるものの明日も午前中に翔太と帰国してすぐに午後から収録番組の仕事が入っている。その後もしばらく休みはない。唯一ゆっくりできる隙間時間だった。
翔太はと言うと昨夜の電話からぱったりと連絡が止まっている。撮影が忙しいのだろうけど帰りの便の連絡はなくマネージャーに確認するまで分からなかった。何事も起きていないといいのだけれど。
向こうに着いたのは午後5時過ぎでタクシーに乗ると3人が待つ焼肉屋さんへ向かった。
きっと翔太の要望だろう。あんなに毎日焼肉食べて平気な人はそう居ないだろう。
30分ほどかけて着いた焼肉屋さんの前でタクシーを降りると、長身の2人の前を闊歩する小柄なサングラス姿の翔太が店内に入るのが見えた。急いで追いかけるようにして店内に入ると3人同時に振り返った。
ラウ🤍『阿部ちゃん早かったね』
ラウールの大歓迎とは打って変わって〝もう来たのかよ〟と顔に書いてある蓮は素っ気なくお疲れ様と言うとイヤらしく翔太のお尻を撫で席へと案内した。俺とまだ抱擁してないんだけど…押されるように部屋に雪崩れ込んだ翔太と挨拶もできないまま、お互い視線だけ交じわすと、蓮は翔太を隣に座らせ必然的に俺とラウールが隣に座る羽目になった。
翔太💙『亮平お疲れ様…朝も早いのにご…』
言いかけてラウールが居ることにハッとした翔太は言葉を飲み込んだ。
蓮 🖤『何翔太くん?口籠っちゃってもしかして緊張してるの?阿部ちゃんに会えて』
蓮 side
ラブラブな夜をとでも考えて韓国入りしたんだろうけどそう簡単にはさせませんよ先輩方。
何故か阿部ちゃんが俺の事を好きだとラウールは勘違いしているようなので、上手い事利用させてもらう事にする。
ラウールは自分の事になると多くを語らない割に、他メンバーの動向については饒舌に語る傾向にある。やたら阿部ちゃんの事を俺に話すようになって3週間ほど経つだろうか。謎に阿部ちゃんの事をプレゼンしてくる。と同時に俺を翔太から遠ざけようとしてくる。阿部ちゃんの差金か、俺の気持ちに気付いているかのどちらか…いやその両方かもしれない。
まぁいずれにせよ翔太を好きなラウールの事だ、翔太の気持ちに気付いている筈だし恋路を邪魔してくるに違いない。
翔太💙『そっそんな訳ないだろっ何年来の付き合いだと思ってんだ…それより早く注文しようぜ腹減った』
亮平💚『なんかごめんね3人旅に割入っちゃったみたいで…』
ラウ🤍『僕たちのはお仕事だもん平気だよ。阿部ちゃんに会えて嬉しいよねぇめめ!』
ほら来た。俺と阿部ちゃんをくっつけようとしているに違いない。〝あぁ阿部ちゃんに会えてすごく嬉しいよ短い時間なのが残念だ〟ラウールは阿部ちゃんの方を見て良かったねと言いたげだ。阿部ちゃんは俺の目をしっかりと見据えて細かい変化をも逃すまいと必死だ。目が血走っていて怖いくらいだ。
翔太は相変わらず何も考えていなさそうで向かい合わせに座るラウールと2人でメニューを見て大盛り上がりだ。一人だけ頭がお花畑で能天気なところも可愛い。
注文は可愛い2人に任せる事にしてこちらは大人の話を・・・
蓮 🖤『随分と焦っているようだけど』
亮平💚『大事なものに手を出されたら、誰だって平静でいられない。それに人の大事なノートを勝手に覗いたようだけど?他人が弄っていいものじゃないんだけど』
〝隙の向こう側〟に随分とご立腹のようだ。そりゃそうだろう。とびきりエロい翔太の写真を特別に見せてあげたのだから…しかし以前の阿部ちゃんなら早々に根を上げて翔太から手を引きそうだが、随分と強くなったもんだ。〝他人〟だなんて冷たい言葉を浴びせるなんて優しい阿部ちゃんらしくない。意外と手強いかもしれない…
蓮 🖤『随分と翔太にとって思い入れのある言葉のようだから発言者として責任感じているんだよ』
亮平💚『それ以上喋らないで。怒りでどうにかなりそう』
怒っている阿部ちゃんはなかなか面白いし可愛い。このカップルは可愛いが渋滞していて見ていて飽きない。
翔太💙『ねぇねぇ亮平!冷麺食べるでしょ?半分こする?蓮も大好きだよね昔よく作ってくれて美味しかったよね〜懐かしいなぁ〜また作ってよ?』
すっかり我が家気分なのか、ラウールが居る事を秒でお忘れなのか、天然が炸裂していてツッコミどころが満載だ。ラウールはと言うと店員に声をかけられて聞いていなかったみたいだ。斜め向かいの阿部ちゃんが長い足を伸ばして翔太の脛を蹴り上げ〝痛っ!〟と声を上げた翔太はまずい事を言ったのだと分かると下を俯き大人しくなった。
蓮 🖤『ふはっ面白過ぎる…今度作ってあげるよ翔太。じゃぁ冷麺2つ向かい合わせで分け合いっこしよう。ねぇ阿部ちゃん』
ラウ🤍『うんうんいいねぇ〜じゃぁ僕は翔太くんと半分こね』
恋のキューピット役のラウールは嬉しそうだ。対照的に阿部ちゃんはつまらなそうな顔をしている。翔太は話にならない…二夜連続の焼肉にも関わらず目を輝かせて一枚一枚丁寧に焼いては、キラキラスマイルで皆んなのご飯の上にお肉を乗せている。〝いっぱいお食べ〟なんて言って可愛いくって今すぐにでも翔太を食したくなる。もう少し待っててね…
蓮 🖤『来た甲斐あった?』
亮平💚『今すぐ寝たいくらいには後悔してる💢』
翔太💙『大丈夫?やっぱり無理しすぎだよ。ホテル戻る?』
亮平💚『あんた黙ってな💢』
この二人ずっと見ていられる面白すぎる。翔太は泣きそうな顔して一気に落ち込むと、テーブルに箸を置いてしまった。一方の阿部ちゃんは飲まない筈だったお酒を煽っている。こうなればもうこちらのペースだ。それにしてもこの二人心配になるくらい脇が甘い。
ラウ🤍『翔太くんもたまには飲んだら?打ち上げだしさっ』
急に元気のなくなった翔太を必死で元気付けようと躍起になっている。いいぞラウールその調子。〝マッコリくださぁい〟
4人分のマッコリ片手に乾杯をすると阿部ちゃんは勢いよくマッコリを飲み干し、半分ほど飲んだ翔太のグラスを奪い取って飲んだ。
亮平💚『飲んだらダメって言ってるでしょ』
明らかに怒っている阿部ちゃんに翔太はもういつ泣いてもおかしくなさそうだ。テーブルに二杯の冷麺が運ばれてくると向かい合わせで分け合って食べる。分かりやすく落ち込んでいる翔太は、やる気なく口にただ冷麺を押し込んでいる。あんなに楽しみにしていたのに可哀想なくらいだ。
ラウ🤍『翔太くん大丈夫?具合でも悪い?』
翔太💙『トイレ…』
トボトボとトイレに向かう翔太を、追いかけようと3人の男が同時に席を立った。考えている事は皆んな同じらしい。
ラウ🤍『僕が見てくる』
まぁ阿部ちゃんに行かれるよりはマシだな。阿部ちゃんもこれには同意見のようだ。静かに二人着座すると仲良く二人で冷麺を啜った。
蓮 🖤『うまっ阿部ちゃんめっちゃ美味しいよ』
亮平💚『あっ本当だ。焼肉の〆に丁度いいね。さっぱりしてて美味しい…冷麺って家でも作れるんだね』
今彼と元彼の他愛のない謎の会話が始まった。〝ご飯どうしてるの?〟阿部ちゃんはほぼほぼ外食か出前だよと言うと少しは料理の勉強しなきゃねとバツが悪そうに微笑んだ。
亮平💚『涼太に料理を教えてもらおうかなって翔太と話しているところ…ずっとこのまま外食っていうのもね…不健康でしょ』
蓮 🖤『ふぅ〜ん俺が教えようか?…舘さんには気を付けた方がいいよ』
亮平💚『どういう意味?』
蓮 🖤『さぁ…ところで、、、遅くないか?』
すっかり可愛い弟くんだと油断した俺たちは翔太とラウールの荷物がなくなっている事に気付くまでに随分と時間がかかった・・・
コメント
22件
しょっぴー💙可愛いなあ😍
康二ですら行為中の写真を見せるのは躊躇ったのに、蓮くんは鬼畜ですな🤣🤣🤣