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涼香「ここから先は道が険しかったような…」
(下駄で行けるかな)
子供の頃は皆で探検と称して山の中を探索したり秘密の基地を作ったり、兎に角自然の中で遊ぶのが最高に楽しかった。
小3の夏、この山でタイムカプセルを埋めた。
各々が持ってきた大事な物と手紙を添えて箱に詰めあの秘密基地の下に埋めたのだ。
(何入れたっけなぁ…もう8年前だから忘れちゃった)
菜月「すずー!」
涼香「なっちー!と……拓海?!結構買ったね…」
拓海は片手に焼きそばと焼き鳥が入った袋をもう片手にわたあめを口にはイカ焼きを咥えていた。
菜月「あっち行ったりこっち行ったり大変だったんだから」
秀斗「沢山楽しんだんだね〜」
(保護者の方ですか?)
ー10分後ー
なかなかモリピー達は戻って来ず、私達は待ちくたびれていた。
拓海「モリピー達遅せぇなー。何してんだあの二人?」
涼香「?!……秀斗……秀斗! 」
もしかしたら二人はくっ付いたのかもしれない、二人は今夏祭りデートを楽しんでいるのではと思い小声で秀斗に呼び掛ける。
秀斗「僕もそうじゃないかなって薄々感じてた」
モリピー「ごめん遅れた!」
噂をすれば本人登場。
双葉「人が多くて辿り着くのに時間が掛かったの」
涼香「全然大丈夫!私達も今さっき来たところだから!」
双葉「そっかー良かった。皆待たせてると思って凄く不安だったんだ〜」
拓海「え?俺ら10分も待ってんだけど」
(余計なこと言うんじゃない!)
モリピー「え?!10分も待ってたのか?!」
涼香「違う違う!!拓海の体感速度で10分に感じただけで本当は10秒くらいだから!」
モリピー「そうなのか?」
拓海「え?いやでも」
涼香「拓海も花火が楽しみ過ぎて待ち時間が長く感じたんじゃない??絶対そうだそうに違いない!!!」
拓海「そー………だったかも…ま、どうでもいいから早く行こうぜ」
(単純で良かったぁ)
全員が揃ったところで拓海を先頭に私達は山の中に足を踏み入れた。
夜の山はカエルや鈴虫の鳴き声、祭囃子の音が響く。
現在の時刻は19時30分、 打ち上がるまで後30分。
携帯のライトを頼りに進むが参道のような平らな地面とは違い少しでこぼこ道なせいで足元がおぼつかない。
涼香「二人とも下駄歩きづらくない?」
双葉「私は平気だよ」
菜月「私も」
涼香「そうなんだ…」
意外と平気な二人をよそに私の足はもう限界を迎えていた。
(めっちゃ歩きづらい!っていうか下駄の紐緩くなってる気がする)
ガッ
涼香「っっ!?!?」
足元に生えていた気の根っこに躓き前に転倒する。
倒れているうちに皆は先に進んで行く。
立ち上がろうとするも足首を痛めてしまい上手く立てないので 近くの木を支え代わりにする。
涼香「皆ー!」
太鼓の音と被って声が掻き消される。
(倒れる瞬間に声出しときゃ良かった。あ!携帯!)
手探りで巾着袋を探すも見つからず。どうやら倒れる瞬間に手から離してしまったようだ。
涼香「最っっっ悪だ…人が来るまでここから離れないようにしよう」
と言ったものの大事な物は全て放り投げてしまった為時間を潰す事が出来ず暇を持て余していた。
やることが無いので気を背に寝ることにした。
秀斗「す……起き…涼香ちゃん!起きて!」
揺すられ目が覚める。
しかし、寝ぼけている為視界がはっきりしない。
ようやく視界が定まってくると秀斗の顔が見えてきた。
涼香「ん〜秀斗?……ハ?!
私足挫いて立てなくてそれでっっ!!」
秀斗「落ち着いてもう大丈夫だから。立てないよね、今おぶるから手貸せる?」
何年かぶりのおんぶに少し恥ずかしさを感じながらも重くないか心配だった。
涼香「ごめんね、私重いでしょ」
秀斗「何言ってんの軽いに決まってるじゃん」
涼香「……ありがと」
虫の音が響く中私達は秘密基地へと進んで行く。
(今何時だろう。皆心配してるよね…)
秀斗「皆には重要な電話に出てるって僕から伝えてるから。『かなりの長電話になりそう』ってね」
涼香「色々とありがとう。本当に助かった」
ヒュ〜〜〜……
涼香「もしかしてもう始まった?!」
秀斗「え?もうそんな時間?!」
独特の上がる音が聞こえてきて次の瞬間、炸裂の音と共に煌めいた大きな花が一瞬にして咲、静かに夜空へと消えて行く。
涼香「……綺麗…」
秀斗「ここは木が開けいてるから良く見える。けど秘密基地の方がより綺麗に見えるんじゃないかな」
涼香「あそこは私達しか知らない絶景スポットだからね」
次から次へと打ち上がる花火は足の痛さも忘れる程私を魅了する。
茂みを抜けるとあの秘密基地に辿り着いた。空き地のようになっておりここからだと町全体を一望できる。
あの頃と比べると少し狭く感じるがそれも成長した証だと思える。