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13 - 第13話 タイムカプセル☆

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2025年05月07日

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菜月「あーー!すず遅ーい!!どんだけ長電話だったのよ!もう半分くらい打ち上がっちゃったわよ!!」


涼香「ごめんごめん。相手の長話がなかなか終わんなくって〜……?!お、降ります!///」


秀斗「足はもう大丈夫?」


涼香「へ、平気平気!!大した怪我じゃないから」


モリピー「ってかなんで秀斗はおんぶしてたの??」


(ですよね。そりゃ聞かれますよね。兎に角弁明をせねば……!!)


秀斗「僕がつい声をかけてしまって……そのせいで涼香ちゃんの足を捻らせてしまったんだ 」


(違う。本当は私のせいなのになんでそんな嘘をつくの?)


涼香「ちがっ…」


周囲に向けて穏やかにそう言った秀斗の声には、どこか申し訳なさと落ち着きがあった。

彼のせいじゃない。そう言いかけた私に気づいて、秀斗はすっと視線だけを送る。


そして、やわらかく微笑みながら、唇に人差し指を添えた。


秀斗(――黙ってて。今はそれでいいから)


その仕草が、不思議と痛みよりも先に胸に沁みた。


拓海「なぁんだそういうことか。すず足大丈夫か?」


涼香「もう平気!」


ラストスパートに掛けて花火が打ち上がる。


パシャッ


何度観ても美しいその姿に私は静かにシャッターを押した。

最後の一発が打ち上がると静かに散っていった。


涼香「終わっちゃったね…」


菜月「綺麗だったなぁ〜」


拓海「そういえば、お前ら覚えてるか?ここで昔タイムカプセル埋めたこと」


モリピー「タイムカプセル…?あー!思い出した!確かあそこの下に埋めたよな」


モリピーの指差した場所には数年の時が経ったあの秘密基地があった。

雨風にやられボロボロになっていたがそれでも多少原型を留めていた。


菜月「懐かしい〜。皆でダンボール掻き集めてたよね」


秀斗「よくここまで運べたよね」


涼香「汗だくになって作っては改善しての繰り返しで、完成した後も皆でよくここに来てたよね」


双葉「天体観測したりピクニックしたり…あの時は楽しかったなぁ」


皆で懐かしさに浸っている中拓海がどっから持ち出したのかスコップを手に立っていた。


拓海「よしっ!掘るぞ!」


菜月「私何入れたっけ?気になるから私も掘っちゃう!」


双葉「じゃあ私も」


モリピー「駄目だ!せっかくの浴衣が汚れるからここは俺達に任せろ」


暫く穴を掘るとカチンっと固いものに当たる音が聞こえた。

慎重に掘っていくとようやく四角い缶が姿を現した。

地上に出し砂を払うと蓋には『タイムカプセル☆』と子供字で書かれていた。


拓海「じゃあ……開けるぞ」


期待が増しドキドキが止まらない。それはここに居る皆も同じだろう。


拓海「……くっ!」


錆で開けにくくなっていたがようやく開いた。


ガコンッ


蓋を開けるとそこには6つのガラクタと手紙が入っていた。

手紙にはそれぞれの入れた一番大切な物と10年後の思いが綴られていた。


拓海「うおー!これあん時見てた竜王戦隊のフィギュアじゃん!!懐かしい〜!」


双葉「私は…髪ゴム!このゴムに付いたお花の飾りが可愛くて一番気に入ってたんだぁ」


菜月「私はピンクのシュシュだ!雑誌の付録に付いてたやつでいつも結んでたんだよね」


秀斗「僕は万年筆だ。これ確か父さんからのおさがりだったような」


モリピー「俺の柿ピーじゃん!なんで俺これ入れたんだよ」


涼香「私のは…写真?」


裏返すとあの頃の秘密基地と私達が写っていた。


涼香「懐かしい。確か家にあったセルフタイマー付きのフィルムカメラで撮ったんだっけ。家からこっそり盗んだのも結局バレて怒られたんだっけ。現像した後で良かった〜」


拓海「10年前の俺今の俺への手紙に竜王戦隊に入れたか聞いてんだけど(笑)」


菜月「そういやずっと『おれは竜王戦隊に入る!』って言ってたね」


モリピー「昔のお前なら本当に実行してそうだな」


暫く思い出に花を咲かせていた。

そんな楽しい時間にも終わりを迎える。


菜月「もう22時だ!そろそろ帰んないとヤバいよね」


モリピー「そうだな。今日はもう帰るか」


涼香「あ!その前に最後にここで一枚撮らない?このポーズで!」


私の提案に皆は乗り気で応えてくれた。


涼香「丁度この辺り〜…かな?みんな準備出来たー?」


拓海「おうよ!」


モリピー「いつでも大丈夫」


涼香「3秒だからね! じゃあいくよ…はい!」


3、2、1……パシャッ


10年前と同じ場所、同じポーズで撮る写真は何故か新鮮に感じた。

山を出た辺りで祭りが終わっていることに気付き私達は帰宅する人並みに紛れ鳥居を出た。


涼香「じゃあ私こっちだから」


菜月「バイバイ!また明日」


皆と別れた後の帰り道先程撮った写真を見ながら余韻に浸っていた。

あの瞬間がとても名残惜しく感じた。

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