テラーノベル
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柔らかい午後の光が、静かなリビングを優しく包み込んでいた。
ソファの上では、ぷりっつを真ん中に挟んだまま、あっきぃとまぜ太がすっかり深いまどろみの中に落ちている。あっきぃの頭はぷりっつの頭にそっと重ねられ、まぜ太はぷりっつの手を包み込むように置いたまま「すぅ……すぅ……」と心地よい寝息を立てていた。
あっとに掛けられた大きなブランケットの下で、ぷりっつは二人の体温と、膝の上に戻ってきたフカフカの5人のぬいぐるみの感触を全身で受け止めていた。
(あったかい……)
夢の中でも、もう冷たい悪意の声や真っ暗な恐怖は追いかけてこなかった。
耳に届くのは、二人の規則正しい心音と、少し離れたキッチンでちぐさとけちゃが静かにお皿を洗う水の音だけ。
どれくらい時間が経っただろうか。
窓からは明るく暖かい光が入り込んでいる。ぷりっつの瞼がパチッとゆっくり開いた。
頭の上にはあっきぃの柔らかい髪の毛がふれる感覚。左側にはまぜ太の大きな体。
そして自分の腕の中には、ちぐさとけちゃがピッカピカに洗って乾かしてくれた、いい匂いのする大切なぬいぐるみたちが戻っていた。
ぷりっつは、握りしめていた二人の服の裾をもう一度ぎゅっと確かめるように掴むと、そーっと体を起こした。
あっきぃ 「……ん……んぅ……」
まぜ太 「……すぅ……」
二人を起こさないように、そっとブランケットから抜け出し、膝の上のぬいぐるみを両腕でしっかりと抱き直す。
(とて……とて……とて……)
ぷりっつが足音を殺して向かったのは、キッチン。
そこでは、ちぐさとけちゃが昼食の下ごしらえをしながら、あっとと静かに雑談をしていた。
けちゃ 「あ、ぷりちゃん! 起きたの?」
ちぐさ 「おはよう~! よく眠れた? ぬいぐるみ、綺麗になったでしょー!」
ちぐさがニコニコしながら屈み込むと、ぷりっつは抱きしめたぬいぐるみをギュッと自分に引き寄せてから、ちぐさとけちゃの顔を順番にじっと見つめた。
そして、胸の奥から振り絞るように、震える小さな声を紡ぎ出した。
ぷりっつ 「……ちぐ……けちゃ……っ」
ちぐさ 「え……?」
けちゃ 「……ぷりちゃん……?」
名前を呼ばれた二人が息をのむ。ぷりっつは少し緊張したように息を呑み込みながら、今度ははっきりと自分の足で一歩を踏み出し、二人のもとへ歩み寄った。
ぷりっつ 「……ぬぃぐるみ……ぁらってくれて……ぁりがと……っ」
かすれた、けれどしっかりと感謝の気持ちがこもった言葉。
感情を閉ざし、声すら出せなくなっていたぷりっつが、自分の意志で、自分の言葉で伝えてくれた「ありがとう」だった。
ちぐさ 「……っ! ぷりちゃん……!!」
ちぐさの目からぽろぽろと大きな涙がこぼれ落ちる。ちぐさはたまらずぷりっつの前にひざまずき、優しくその身体を抱きしめた。
ちぐさ 「うわぁぁん! 伝わったよ、伝わったよぷりちゃん……! どういたしまして……っ!」
けちゃ 「ふふっ、良かった……! 喜んでもらえて本当に良かったよ……!」
けちゃも目元を拭いながら、ちぐさとぷりっつの頭を一緒に撫でまわす。
後ろで見守っていたあっとも、組んでいた腕を解くと、どこか誇らしげな表情でぷりっつの頭をぽんぽんと強く叩いた。
あっと 「……頑張ったな、ぷり。ちゃんと伝わったぞ」
ぷりっつ 「……ん……っ」
その騒がしさに、ソファで爆睡していた二人がハッと目を覚ました。
あっきぃ 「……んあ!? え、なに!? ぷりちゃんどこ行った!?」
まぜ太 「うおっ、ぷりちゃんがいねぇ!? どこだ!?」
ガタッと立ち上がって慌てふためく二人に向かって、ちぐさが涙目になりながら叫ぶ。
ちぐさ 「あっきぃ! まぜち! ぷりちゃんが……ぷりちゃんが俺らの名前呼んで『ありがとう』って言ってくれたのー!!」
あっきぃ・まぜ太 「「ええぇぇぇーーーっっ!?」」
一瞬で覚醒したあっきぃとまぜ太がキッチンへ猛ダッシュしてくる。
あっきぃ 「ずるいずるい! 俺も名前呼んでほしい!! ぷりちゃん、俺は!? 俺の名前は!?」
まぜ太 「俺もだろ!! 筋トレ中断してソファで固まってやった俺の名前も呼んでくれよー!!」
二人が左右から押し寄せてくると、ぷりっつは一瞬びっくりしたように目を丸くしたが、二人の必死すぎる顔がおかしくて、ほんの少しだけ……本当にほんの少しだけ、口元を「ふふっ」と小さく緩めた。
ぷりっつ 「……ぁっ…きぃ……まぜ…た……」
あっきぃ 「ごふっ……!」
まぜ太 「……よっしゃあああ!! 言えた!! 俺の名前言えた!!」
あっきぃはその場に卒倒し、まぜ太はガッツポーズで叫び散らし、それを見たあっとが「うるせぇよ!」と突っ込む。
賑やかで、バカバカしくて、けれどどこまでも温かい仲間たちの笑い声。
ぷりっつは綺麗になった5人のぬいぐるみを胸に抱きしめながら、今度は逃げることなく、みんなの中心で静かにその温もりに包まれていたのだった。
コメント
5件

大丈夫ですかうちの墓の準備は尊死しますけど
足音すら可愛いprちゃん、、、、ゔぁっ(尊死
──読んでて、胸の奥がじんわり温かくなったよ🥀🤍 ぷりっつが自分から「ありがとう」って…それもぬいぐるみを洗ってくれたことに対して、ちゃんと自分の言葉で伝えたのが本当に尊くて。声が出せなかった子が、一歩踏み出して、みんなの輪の中で「ふふっ」って笑うところまで…もう、涙腺来た。 あっきぃとまぜ太のバカみたいな慌て方も、その後のあっとの「頑張ったな」も、全部がちゃんとぷりっつを包んでて、この作品の空気が本当に好きだって再確認したよ。 ぷりっつ、よく頑張ったね…って、心から思ったエピソードだった🌙