俺にとって感情とは、そこにあるだけの邪魔なものだった。
それより、元より感情を感じ難く、それを表現するのも苦手だった。
ただ、兄さん。主炎帝は、「感情は必要なものなんだ」と真剣な目つきで言った。
俺が生まれたすぐは感情を押し殺していた兄さんが……。
俺は、ソビエト社会主義共和国連邦の化身、ソ連様に使えるドール、主炎だ。
兄さんは、俺の凍り付いて静かに沈んだ感情を揺れ動かそうと、色んな事をしてみせた。
正直、鬱陶しかった。
だが、そんな兄さんの狙いは成功していたと言えよう。
俺の心は間違い無く揺れ動かされた。
庭の土いじりの楽しさを学んだ。土いじりが好きになった。
兄さんの温かい食事を食べた。心まで温まった。
黒歴史をばら撒かれた。羞恥心を学んだ。兄さんの口を閉じさせる方法を考えた。
俺が、兄さんに学んだ事は数知れなかった。
そんなある日、弟が生まれた。
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