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柔らかい感触に違和感を覚え、ゆっくりと目を開ける。
私は、ベッドに横たわっていた。
とても綺麗なシャンデリア。
とてもふかふかで包み込むようなベッド。
ここは天国なの?私は本当に死んでしまったのだろうか
そう考えるほどに暖かく綺麗だった。
手に違和感がある、、、
目線を横にやると
そばでは誰かわからないが男の人が手を握っていた。顔は酷くやつれていて目の下には隈ができていた。
状況が理解でない。
あなたは誰なの、私はどこにいるの、なぜあなたはそんなに悲しそうな顔をしているの?
知りたいことがたくさん。でもー。
声が、出ない。
当たり前の幸せが貰えなかった私でも息をするように簡単に出た声。
この世にはそれすらできない人もいる。
こうやってわかるのね。当たり前の幸せ。
さすがに知らない人にずっと手を握られているのは居心地が悪いので、手を離そうとすると、すごい力で掴まれた。
手の方向に目をやると、さっきは光のなかった目を希望が戻ったかのように光らせ、ありえないという顔で身を乗り出し私を見ていた。
なんて綺麗な目、、、
彼の目は薔薇のように赤く。透き通っていた。
「アムア!」
男の人は私をそう呼んだ。
どうやら私の名前はamour アムア。
なんて綺麗な名前なの。あんな過去を持つ私にふさわしくない。
その後は大騒ぎでよく覚えていない。まだ意識もほわほわしている。この状況を飲み込めていない。
でも、ただわかったことはある。それは。
私はこの王国の姫だということ。病気で何年も眠っていたこと。今やっと目を覚ましたこと。
国中が私が目を覚ましたことで大騒ぎ。
みな私の体を気遣って部屋にいるよう支持した。
またそれもきっと偽り。信じろという方がおかしい。
この世界にも、生贄は存在するのかな。
嘘だとわかっているのに、結局最後は捨てられるのに、何故かここにいたいと思えてしまう。
「体は大丈夫ですか?」
窓の外を見ていた私は静かに入ってきた彼に気づかなかった。
コクッと頷いた私に彼は優しい笑みを浮かべて
「それは良かった。紅茶はいかがですか?」
そう言ってティーポットの中の紅茶をカップに注いだ。
紅茶など飲んだことがない。
私が飲むものは水。それも、ある意味でとても綺麗にされた水。
もし毒が入れられていたら?怖い。怖い。
私の顔はあまりにも怯えていたのだろう。
彼は優しく言った。
「毒などは入っていませんよ。僕が先程入れた紅茶。飲んでみてください」
ニコッと笑いかけてくれる。これだけでだいぶ安心する。
私は静かにカップに手を伸ばした。
静かに口に運ぶ。
下に伝わる独特の旨味。
美味しい。
こんな美味しいもの、初めて。
嬉しくて、悲しくて、涙が出た。
彼は少し驚いた顔を見せた。
そして静かに私のそばまで来て、美味しいですか?と聞いた。
私は心の底から頷いた。
「それは良かった。僕、紅茶の腕には自信があるんです。」
とニコリと笑う
「全部飲んだら、外へ出ませんか?見せたいものがあります」
私は頷いて紅茶を喉へ運んだ。
あぁ、美味しい。
カップを置くと、彼は手を差し出した。
私はその手を恐る恐る握る。
ぎゅっと握られた手は暖かかった。
この人は、いいひとなのかも知れない。そう思っても、前世がよぎり私の心は暗くなる。
立ち上がろうとして、よろけて倒れてしまった。
何故だろう、立てない。
「大丈夫ですか!」
心配して駆け寄ってくる彼に大丈夫と言えない代わりに首を振って精一杯アピールする。
彼はほっとして「肩お貸しします。」と言った。
私は彼に肩を借りてあるいた。
この姫は何年も眠っていたのだ、歩けなくなっていてもおかしくは無い。筋肉も衰えているだろう。
時間はかかったがどうやら目的の場所に着いたらしい。
そこは、城の裏の庭だった。
たくさんのきれいな花が咲き乱れていて上も下も花だらけ。花のトンネルのようなものもあれば、ベンチに絡まるバラもある。
「ここの花は全て僕がそだてているんです」
彼は全て説明してくれた。
私にはなぜだから分からない。なぜ転生したと知らないはずのあなたがどうして私が全て初めて知ることだと知っているの?
聞きたくても聞けない。
花道を通ってさらに奥へ進み広いところに出た。
そこは花が円を描くように生えており、真ん中には小さな噴水があった。
綺麗、、、
心の底から思えた。これを言葉に出来たら、
「その水のそばに座って足を付けて見てください。とても冷たくて気持ちいいですよ。」
私は彼の言うとおりそばに座り足をつけた。
ほんとだ、冷たくて気持ちいい。
私の心の暗いものが流されてくよう。
しばらく私と彼は2人ですごした。
彼は絶え間なく話してくれた。この国の情景や言い伝え。そして彼自身のことも。
「俺の名前はカナタです。」
カナタ、いい名前。
「なんだかお腹すきましたね」
ハハッと、軽く笑い、「そろそろ食事の時間です。食べられますか?」
と聞いてきた。
そういえばお腹は空いている。
コクリと頷くと、彼はまたニコリと笑って
「では行きましょう。」
と立ち上がり、
「またここへ来ましょう。あなたが来たい時に。」
そう言っていた方を貸してきた。
彼の言葉のとおり、私はまたここへ来たいと思えた。彼と一緒に。
「ここのことは秘密ですよ?この噴水は他の誰にも教えたことがないのです。あなたにだけですよ。」
そう言って歩き出した。
【書く気わかないので♥多ければこれからも続き描きます。】