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HRが終わり、いつもなら皆で屋敷に戻るはずなのだが…
「どれにするか決まりましたか?」
なぜか、悠夜さんとデパートというところに買い物にきています。
「あの…なんでここに…?」
「泰揮が花火をやりたいそうです。さすがに協会に準備をさせるわけには行かないので買いに来ました。」
いや、そこではなく、何故私と2人で買いに来たのかを知りたいんだけど…
「皆、貴女を元気づけたいのですよ。昨日の今日で元気になったように見せているのでしょうが、本当はまだ辛いのでしょう。無理して笑わなくてもいいのに気を使わせてしまってすみません。」
「え…。」
「泣きたいときに泣けばいいですし、笑いたいときに笑ってください。誰も貴女のことを責めたりしませんし、独りにもさせません。」
「えと…ありがとう…ございます…。」
「で、どれにするか決まりましたか?」
「あ…じゃあ、この50連発で。」
「ねえねえ、あの眼鏡の人カッコよくない?超タイプなんだけど。」
「ほんとだ~!でも制服着てるから高校生かな?」
会計の場所に並んでいると、近くで黄色い歓声を上げながら話している人たちがいる。
眼鏡の人って悠夜さんのことかな…?
「どうかしましたか…?」
「いえ、すごい人気だな…と。」
「あんなもの、何の得にもなりませんよ。それに若い女性はすぐに目移りする。好きだなんて言っておいて他に行ってしまうことばかりですし簡単に失いもするものです。」
そう言う悠夜さんの顔は儚げでどこか寂しい。この人にも劉磨さんみたいに辛い過去があるのだろう。
「私は…側にいます。絶対なんて簡単には言えないことですが、勝手に消えたりしません。」
「それは攫われる前に伝えてほしかったですね。私の手を煩わせたのは貴女で2人目です。」
2人目…か。この人は本当にわからない。怒っているのか悲しんでいるのか、何を考えているのかも。
「お会計、1700円でございます。」
「はい。これでお願いします。」
「2000円お預かりいたします。300円のお返しです、ありがとうございました。」
「さて、こちらの用は終わりました。喫茶店で少し休憩しましょうか。」