テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

数日後、姬愛はいつもの古書店の前に立っていた。派手なロリータ服は今日も風に揺れる。

街の人々の視線は相変わらず冷たいけれど、姬愛の心はもう以前ほど揺れなかった。


店の中には、昨日と同じ少年がいた。


「また来たんだね」


少年は微笑みこそしないが、その視線には変わらない安心感があった。

姬愛は軽く頷き、棚から一冊の本を手に取る。


「これ、面白そうだから読んでみる」


少年は何も言わずに隣に立ち、静かにページを覗き込む。

言葉は少ない。けれど、その存在だけで姬愛は安心できた。


「……前も思ったけど、君の服悪くないね」


少年がふと口を開く。

姬愛は少し肩をすくめる。


「ありがとう……別に、他人に褒められたくて着てるわけじゃないけど」


少年は頷き、微かに笑ったように見えた。

その一瞬、姬愛は心の中で静かに笑う。

完全な友情でも恋でもない。

けれど、互いを認め合い、孤独を抱えながらも少しだけ心を開ける関係。

夕暮れの光が二人の間に落ち、古書店の窓に反射する。

姬愛はその光を見つめながら、心の中でつぶやいた。


「孤独でも、悪くない……少しずつでも、前に進めるんだ」


少年もまた、言葉はなくても同じ気持ちを共有しているようだった。

それぞれの孤独を抱えながら、二人は静かに歩みを進めていた。

完璧ではないけれど、それでも確かに、自分の世界を少しずつ広げることができた。

そう感じながら。

loading

この作品はいかがでしたか?

412

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚