TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

ある高校生冒険者のAdventurer's Report 転載版

一覧ページ

「ある高校生冒険者のAdventurer's Report 転載版」のメインビジュアル

ある高校生冒険者のAdventurer's Report 転載版

77 - page.65 突撃!小野麗尾モンスターズ! ドワーフクラン編

♥

3

2024年03月30日

シェアするシェアする
報告する

「ウォォォォオオオオオオオ!者共!あの忌まわしき畜生門を打ち砕くんじゃ!突撃イィィィィイイイイイイイイイ!!!!!」


オオオオオオオオオオオオオオ!!! ドゴオオオオォォォォンンンンンンン!!!!!!


見慣れない…いや、見た覚えもない外壁と門の方からとんでもない騒音が響いてくる。近所迷惑ってレベルじゃねーぞ!!!


「すみません、物造さん。どうやら異常事態が起きているようです。大変恐縮ですが、今日の所は一旦お帰り頂いて……」


「いや、何を言っているんですか、小野麗尾さん! モンスターの領域に足を踏み入れたばかりじゃありませんか!?」


「残念ですが危険が危ないので……」


「大丈夫です!未だ未完成ながらこのトレジャーガードシリーズならモンスターに襲われても傷一つ付きませんよ!」


「分かりました。それでは此方の書類にサインを」


「何々、私、物造 矢瑠蔵は自身の死傷含むあらゆる損傷の発生に置いて小野麗尾 守に責任が無い事をここに認める……」


「すみません、私自身の召喚モンスターの不祥事でしたらいくらでも責任を負う積りですが、それ以外となると……」


「いえいえ、そのお気持ちは分かりますとも」


分かるんなら帰ってくれないかなぁ……!?


そもそも事の起こりは今朝、昨日頼んだばかりの銃器の入荷のお知らせの電話が掛かってきた事だ。

昨晩、お米の国のメーカーに発注したら、その日の内に空輸の手配が整えられて、送られてきたと聞かされた時の俺の心境たるや。

取り急ぎドワーフ達に依頼していたガンロッカーの進捗の確認を取ろうと思ったところで十文字君からDM社の話を聞いていたことを思い出し、物造さんに連絡を取った所、二つ返事で自分も是非伺わせていただきたいと打診を受けて、今に至る。


とりあえず、事態の把握と沈静化を図らねば。

ルドルフのじーさんか、リミカちゃんか、ヤドロクのおっさんorカーチャンでも捕まれば……

パッと見では近くにドワーフは居ない。となると、あの詳細不明の門に近づくしかないかー……

行きたくないなー……

そうこうしている内に、門から二度目の衝突音が。

門が内側にやや折れ曲がり、隙間が出来、大きな杭……破城槌!?の先端らしき物が見える。

すぐさま近くの家の扉を開けて、内部のクリアリング……クリア!


「物造さん! こちらに避難を! 私はあちらに確認に向かいます! 窓からここに来た時のゲートを見て、不安定化したら、すぐに脱出してください!」


本当ならすぐにでも逃げてほしいのだが、何か逃げてくれなさそうなんだよなぁ……


「分かりました! ハァハァ……あの、此方のお宅、少々内見させて頂いても……?」


「器物損壊や持ち出しをしなければ結構ですよ」


よく考えれば一寸処ではなく失礼な言葉だが、目をギラつかせてハァハァ言ってる人相手だとなぁ……


不安は尽きないが不審人物をその場に残し装備を保管している、村の倉庫に向かう。


倉庫の鍵の仕掛けを手早く解除して、奥に向かうと、何という事でしょう。


全体的に甲殻類チックな装甲の鎧の肩に

Z〇KUのアレよりも鋭さを増したTOGEが何本も生え、兜にも後方に向かって角らしき物が生じ、極め付きには左腕のボウガン付きガントレットが武器腕のような砲身状の異形と化しているではありませんか!?


思わず左胸を抑えてその場に蹲り、「なんじゃこりゃあ!?」とSATOU U-S〇KUごっこをしてしまうが、

今が非常事態なのを思い出し、気を取り直してMPを鎧に流すと、反応した鎧が自動的に俺に装着・最適化のフィッティングを開始する。

左腕は砲身の内部を支える感じに格納されていた。腕全体で照準を付ける感じか。

でもこれだと手が使えないから困るなぁ、と思ったら左肩のショルダーガードが持ち上がり、中からサブアームが一本展開された。

MPがパッシブ消費されるが、俺の左腕と同等に自在に扱う事が出来たのは不幸中の幸いだった。



問題は、この改修を依頼していない事だがな!!!!!



追及項目が一つ増えた事に頭痛が痛い。

とにかく今は急いで騒動の確認に向かうかと思って外に出たらまだ門は破られていなかった。面倒だしひとっ飛びでいけないかなぁ、と考えたのが失敗だった。


今度は足底の爪型の造形部分が前後にスライドしたかと思うと、またまたMPが吸われて、キュイィィィィィン、という不吉な音と共に、ルンバチックな空気の吸引が起きたかと思うと、爆発的な空気の噴射が発生した。

もう何が起きるか想像がついていたので、噴射前に移動方向の障害物の有無の確認とダッシュを始めていたのだが、訓練もしていないジェット移動等、当然まともにできるはずもなく、地面を4,5回転した後、スライディング土下寝をする羽目になった。


「フフ。フフフフフフフフフ」


初めてですよ、私をここまでコケにしてくれたおバカさんは………


「許さん、許さんぞルドルフゥゥゥゥゥゥ!!!!!じわじわと嬲り殺しにしてくれるぅぅぅぅぅぅぅううう!!!!!」


冤罪の可能性?〆てから検討する。


門の上でビクッとしたドワーフが居たので、多分ヤツだ。

移動経路を確認したが、えっちらおっちら階段を使っていると逃げられる可能性が高いので、再び足裏のジェット機構を起動する。

右の大爪もサブアーム代わりに使い、壁面を垂直上昇して最短距離で移動する。壁の縁をガッチリと掴み、


「ル~ド~ル~フ~」


と、ジャパニーズホラーを意識しつつ乗り上げると、


「な、何じゃ!?一体何故坊の鎧が独りでに!?」


と、腰を抜かしたヤツの姿が。


「目を開けて寝言を抜かすとは器用なやっちゃな。俺だ、俺」

「で、これは一体なんだ。まずはこの壁と門、今攻めてきている奴らと、壁の外のスラム街っぽいのは何で、最後に俺の鎧に余計な手を加えたのは誰だ!!!!」


「う~む…… 壁と門は村を守る防壁じゃ。外のスラム街は儂らの村に入れなった連中が居座っとるだけで、今打ち壊しに来ている連中もそいつらじゃ。鎧は知らん。いつの間にか勝手にそうなっとった」


「追加する。何で防壁が必要になった。連中が攻めてくる理由は?後、鎧が勝手にこんなポンコツ仕様になるわけないだろう、常識的に考えて」


思考制御とかAIとか勝手に生える訳がないし、機能追加とか起きる訳もない。


「まず坊の要求に応える為に人出が不足しそうじゃと思ったでのぅ、酒払いで報酬を払うからと人出を募集したら、そこかしこから湧いてきたでのぅ。有象無象を迎えても仕方が無し、村に入るために試験をする事にしたんじゃ。わしらの村の神器”ビールサーバー”の複製が作れるか否かをのぅ。しっかし最近のドワーフも質が落ちたのか、出来るのは10人居れば2,3人が出来るか出来ないか。

試験に落ちた連中は諦め切れんのか、村の外に居座ってのぅ。ワシ等の酒に万が一があっては事じゃから防犯の為に、村を囲う形で柵と門を作らざるを得なかったのじゃ」


高さ3Mで上から人が見回りできるのは柵と言えるのか……?


「状況は分かったが、この騒動はどう収めて、再発はどう防ぐんだ?」


「あんバカタレ共は叩きのめして次また面倒起こしよったら、村近辺からの永久追放でええじゃろ」


「それだとその場凌ぎにしかならんだろ。あいつ等は”伐採”と”素材加工”のスキル位は持っているのか?」


「待つんじゃ、坊。まさかわし等の貴重なシノギを!」


「木工は外注できるならそれでいいだろ。そろそろ本業の金属加工の仕事に取り掛かってもらう。今日はその為の取引先の人も連れてきたんだからな」


「ふん、やっとか!? 散々待たせおって。で、その客人は何処じゃ?」


「待て、まずはこの馬鹿騒ぎを収める。酒をそうだな……20樽程持ってきてくれ」


「ふぅ、勿体無いノゥ……わかったわ、待っておれ」


1時間後、適当な言いくるめと振る舞い酒で懐柔したドワーフ達に北海道狩猟の陣地等の木材加工を押し付け、物造さんを迎えに行ったのだが、そこにはドワーフ製の包丁に頬擦りしながら身悶える不審人物が。


ドワーフ達共々ドン引きしながら見なかった事にして帰りたかったが、これもお仕事と自分に言い聞かせて恐る恐る声を掛ける。


「あの、物造さん……?」


ビクッ!?っとなった物造さんが恐る恐るこちらを振り向いて、


「おや、小野麗尾さん。お早いお戻りで……」


主観的に一時間は経ってたかなー……

その後の交渉は此方に有利な形で進んでDM社の希望する情報・技術の供出の見返りに割のいい対価を頂ける事になった。


「それではまず私共の希望する技術ですが……」


要約すると、ダンジョンの宝箱に使われていると思わしき宝箱自身の”不壊”・宝箱の中身に対する”不変”の抽出・転用を求めているとの事だった。


「了解しました。それではこちらのドワーフから技術者を派遣して御社との共同研究と言う形では如何でしょうか?

開発できたスキル転用の運用に関してはDM社様側に商業利用・我々には実用と形で。

後、報酬に関しては、勤務実態に即した日払いと、成功報酬と言う形で……」


物造さんは大きくうなずくと、


「はい、こちら側としてはそれで結構です。具体的な金額に関しては、後日弊社営業部の者がお伺いして詳細を詰めさせて頂ければ……」


「坊、結局どうなったんじゃ?」


「”斬爪”の時と同じ。スキルの抽出と写しの開発。報酬の日払い分は俺が酒に換算して、働いたドワーフに手渡し。成功報酬も一旦俺が受け取って後日お前等の要望を聞いて物納」


「うむ。ならばええ」


「それにしても驚きですな」


「物造さん、何がですか?」


「いえ、こうして召喚モンスターの世界に入れた事もそうですが、仕事の遣り取りを成されている事がです。てっきり小野麗尾さんが一方的に命令して云う事を聞かせているのかと思っていたのですが。いや、これは失礼でしたな」


「いえいえ、お恥ずかしながら私も冒険者になる前はそういうイメージでしたが、こうして本契約してみますととてもとても……」


「弊社でも召喚モンスターの運用を検討していたのですが、こうなると根本から考え直さないとなりませんな」


一瞬産業革命時のイギリスの工場の実態が頭をよぎったが、気のせいだろう。

この工場では年平均8人死ぬから毎年8人雇いなさいとか……おお、怖い怖い。


あ、ガンロッカーの進捗を訪ねたら後1週間位だった。

予備の分は家に置くが、実際の運用分はここに置くからもう一つ宜しくー、と言ったら研究用に使わせてほしいとか言い出した。

予備分ならな、と言ったのだが聞いちゃいねぇ……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

[ランク] G → E → D

[種族] ドワーフ → ドワーフ・クラン → ドワーフ・ヴィレッジ

[名前] オノレオ・ドワーブス

[集団所属個体数] 1 → 300 → 550

[種族特性] 《重装可能》《酒好き》《酒神(しゅしん)の加護》

[個体特性] 多数につき個々による

[種族技能] 《匠》

[個体技能] 多数につき個々による

[契約義務]

・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低3回以上の食事を与えなければならない

・この個体の主人は、この個体に作業を依頼できるが、作業に応じた報酬を(酒!酒払いでじゃ!)支払わなければならない

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



スキル《匠》:クラフト系の総合マスタリースキル。素材全般の採取・加工が可能。

ダンジョン内の木材採取もこのスキルがあればこそ。

ある高校生冒険者のAdventurer's Report 転載版

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

3

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚