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[僕の居場所は、君だから]
涼架side
涼架の言葉に、いじめっ子たちは顔を真っ赤にして、何も言い返すことができなかった。
彼女たちの目には、怒りと屈辱で燃えていたが彼女たちが涼架から奪ったはずの”力”は、もう彼女の手の中にはなかった。
「なによ!二度と口きいてやんないから!」
いじめっ子たちは、そう捨て台詞を吐き捨てて、私と若井君から離れていった
いじめっ子たちが去った後、私は若井君の温かい胸に顔をうずめたまま、しばらく動けずにいた。
若井は涼架の頭を優しく撫でながら、もう大丈夫だと語りかける。
彼の温かい声と優しい手の感触が私の心に染み渡っていく
「よく頑張ったな」
若井は、そう言って涼架の体をそっと離した。
涼架は、若井の瞳を見つめたまま、もう何も言わなかった。
私は、彼の優しさがどれほど自分の心を強くしてくれたのかを、心から感じていた。
「よし、じゃあ」
若井君は、そう言って私の顔を両手で包み込んだ
そして、おもむろに顔を近づけ、私の頬にチュッと柔らかいキスを落とした
涼架は、驚きで目を丸くした。
私は、キスされた部分を両手で覆い、顔を真っ赤にして彼を見つめた
「これも…強くなれるおまじない…?」
私が戸惑いながら尋ねると、若井君は少し照れたように笑った
「違う」
彼の以外な返事に、私は首を傾げた
「え…?」
若井は、涼架の瞳をまっすぐ見つめ、優しく、しかしはっきりと告げた。
「これは、俺がしたかったからした」
その言葉に、私の心臓は激しく音を立てる
彼の言葉は、これまで私が経験したことのない
真っ直ぐな愛情表現だった
「若井君…それって…っ…」
涼架が戸惑いながら見上げると、若井は彼女の顔を両手で包み込んだまま、真剣な眼差しで言った。
「俺は、涼架が笑ってくれた時、本当に嬉しかった。
涼架が、俺を信じてくれた時、俺も初めて自分の居場所を見つけられた気がしたんだ」
彼の言葉は、まるで彼の心を映し出すかのようだった
「俺は、涼架が頑張ってる姿を見て、俺も頑張ろうって思えた。
涼架が、一人で泣いてるのを見た時、君のそばにいたいって心から思った」
若井は、そう言うと涼架の額に、そして頬に
もう一度、 優しくキスを落とした。
「あのさ…」
若井は、少し照れたように、しかし、はっきりと告げた。
「俺が、君の居場所になってあげたい。
いや、そうじゃなくて…」
彼は、もう一度、深く息を吸い込んだ。
「俺の居場所は、君だから」
その言葉は、まるで魔法の呪文のようだった。
私は、彼の真剣な告白に涙が止まらなくなった
私は、ずっと一人で、誰にも自分の居場所を見つけることが出来ないと思っていた。
しかし、若井君が私の居場所になってくれたのだ
「若井君…」
私は、若井君の胸に顔をうずめ彼の心臓の音を聴いた
若井は、涼架を優しく抱きしめ、涼架の頭を優しく撫でた。
「俺が、涼架の王子様になって、ずっと君を守るから。だから、俺のそばにいてほしい」
彼の言葉は、私を縛り付けていたすべての孤独と不安を完全に解き放った
私は、彼の腕の中で心からの安堵と、この上ない幸せを感じていた
私は、もう二度と一人ではないのだと。
次回予告
[エピローグ:僕らの新しい物語]
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コメント
1件
よかったー!!お幸せに!