俺と人質

注意喚起は1話にあり

スタート！

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「…」

「なるほどな…理由はよく分かった」

叶達がどうして犯罪に連れて行ってくれ無かったのか

どうして最近よそよそしかったのか

そしてとおこさんと俺の関係をどう思っているのか

「とりあえず全員MVKは決定な？」

俺の一言で鴉達がギャーギャーと呻き声を上げる。だがこれはお前らが悪いだろう

俺はボスとして当然の罰を下しただけだ。

(まぁでも……)

「確かにとおこさんには謝らなきゃなぁ…」

「あっボス､レストランのチケット使う？」

「あ〜……」

コイツらが今までこれ1枚の為に犯罪をしてきたと思うと申し訳ないが

こういうレストランのマナーが分からん

確かに魔界の方ではそれなりに地位はあるし

こっちで言う貴族ランクの吸血鬼だ

だけどレストランには１回も行ったことがない

家に専属のシェフみたいなのが居る

そもそも魔界とこっちのマナーが一緒なのかもわからん

それに

(とおこさんとそんな所言ったら黙食になる…)

一応でも謝罪と感謝を伝える為の食事なんだ

楽しくなければ､ただ嫌な奴ともくもくと飯を食うだけの時間になってしまう

それだけは避けたい

だとしても食事以外にとおこさんをどうやって誘うかだ｡

遊びに連れていくとかはレベルが高すぎる

引き際がわからん。

食事のように”食べ終わったら解散”みたいなめどがある程度ないと多分延々と遊び続ける事になる

それじゃあなにかプレゼント？

俺のセンスで彼女が喜ぶ物が買えるとは思えない。

それにプレゼントを渡すところを誰かに見られてたら俺のメンタルブレイクが始まってしまう

まぁ食事もそうなのだがそれ以前にセンスが皆無なのだ。

それ以外になにも思いつかない。

手紙？

いや誤解を産み､周りのヤツらに餌をやるだけだ。メールだけであれだけ悩むのに手紙という

長々と文章が続くものなんて不向きの特権だ

「うーん……」

まぁ食事に誘う事として進めよう

だけどとおこさんの好きな物を俺は知らな、

「…」

『好きな食べ物…っスか？』

『好きな食べ物？！えー…カレー！』

『何日くらいのカレーが〜…っスか？』

『えっ？えーっと…2日くらいのが！』

「……カレー」

そうだ､カレーがあるじゃないか

1番最初に彼女と交わした会話がここに生きてくるとは思わなかった。

流石に2日目のカレーを用意する事は難しいが

カレーを取り扱っている飲食店なんてゴミ程ある。

「…ボス？」

「あー､わり。そこ行くのはやめとくわ。

お前らで使ってくれ。」

じゃあいつ誘うか…今すぐ誘っても相手に迷惑だろうし､かといって時間が開きすぎたらそれ口実にタダ飯行きたいやつみたいになって気持ち悪い。

「…メールで聞くか」

「…ねぇ叶さん｡なんか上手くいってない？」

「多分カレー屋さん誘うよねアレ？」

「ボスが？自分から？明日は槍でもふるか？」

「ついに自分の気持ちを……？！」

「抱え込んでた気持ちを……？！」

「抱え込むなよ！エビオ！」

「なんで俺が出てくんだよ？！笑」

「…お前ら後で警察に突き出すからな〜」

「「「「「「ごめんなさーい！」」」」」」

「ほっ……」

それは平和な院内での出来事だった

今日は特に大きな事件も無く｡ただ平和でのどかな時がただ刻刻と過ぎていった

とあるメガネを掛けた声が大きい鴉の先生から

教えて貰ったエモートで椅子に座り､暖かいお茶を口に含んで一息ついていた

彼女の名前はとおこ｡

地球を侵略に来た侵略者。Ｎｏ．1005らしい

が､それにに似つかわない優しい性格､優しい声色｡

侵略者と言って信じているのは自分自身くらいだろう

ピロンッ

「ん？」

そんな彼女の日常を侵略しようとする1文が

メールに送られてくるとはこの時思いもしなかった｡

「なになにとおこちゃん？葛葉から〜？」

「な゛っ？！リオンさん？！違いますよ！まだ見てないけど…」

後ろから声を掛けて来た人は”鷹宮リオン”といい､なぜか侵略者と葛葉さんの事をからかってくる。

だけど一緒にいて楽しい､救急隊としても友達としても尊敬してて大好きな人｡

今日もまたからかわれながら､侵略者はスマホの画面を開き､メールを確認した。

宛先は

「へっ……」

「え､なに？ガチめに葛葉だったりして？！…

いや流石にか……」

そんなリオンさんの言葉と裏腹に､宛先には

“葛葉”と書かれていた。

なんだろうか。この前の事件の事だろうか。

いや､案外なんでもないただのメールだったりして。

期待。不安。恐怖。喜び。緊張。心配。興奮。

いろんな感情が混じって震えている手で､そっとスマホの画面を押して､メールを確認した。

そこに書かれていた文章はこうだった

〔週末空いてますか？

よければ一緒に食事に行きたいです。〕