怜 side
部活見学会の時、俺は最初に見に来ていた。後で、彼女…早苗が来た。とても明るい人だと、最初は、思った。
だが、部活動初日のこと。
早苗は、明るい人じゃないのだと感じた。
目は感情を映す鏡だ。彼女は表面上は笑っていても、目は笑っていなかった。偽装していることがバレバレだ。乗りたいと言って来た時は、嘘だと思ったが、本気だと分かって、少し、疑問に思った。本当に、明るい人じゃないなら、あんなこと、言う訳ないから。適当に嘘をついて逃れようとしたが、無理やり乗られた。
「重…くな…」
「おい!女子に対してそれは禁句だよ!」
遮られたため、重いと言ったと勘違いされたらしい。適当に合わせてやるか。
「知ってる。」
「私は軽い方だぞ?」
「急に力がかかって重力に負けるんだよ。今は重くない。」
「一瞬なら我慢してよね。」
「つい、声に出るだけ。」
「それでも!」
「そろそろ降りてくれ。」
「はーい。」
明るい人じゃないはずなのに、やってることは明るい人がやること。恥ずかしがる素振りも見せずに。慣れているみたいな…髪に触れられた。
「どうした?」
「髪にゴミがついていたから…」
「そうか。ありがと。でも、急に触られるとな…。」
「うん?」
「少し…恥ずい…。」
「何だって?」
聞こえなかったのか…。じゃあ、言わなくても良いか。
「何でもない。」
そう言ったら、彼女は、何も言わず、ぼーっとしてた。
会話の中で、不自然な部分は何もなかった。目が笑っていなかったのは、俺の勘違いか?でも、今は、なぜ、何かを探しているような感じなんだ?本当に、分からないな。…帰らないと…
「早苗、行くぞ。」
「ごめん。」
「大丈夫。」
早苗は、いったい、何を考え、何を思ってるのだろう?
少し、心配だ。目を離した隙に、どこか、遠くへ行ってしまうような…そんな感じがする。
いつか、きっと、聞くよ。君に、何があったのか、君の、本当の性格で。
人間の根本的な性格は変わらない。どれだけ猫をかぶっていようが、行動やることや性格で理解することができる。
彼女を、知りたい。
早苗、君はいったい……